ツールの導入を検討しているマーケティングや営業担当者の中には、マーケティングオートメーションツール(以下MAツール)とメール配信ツールの違いがわからず困っている方も多いのではないでしょうか。
この記事では、各ツールの概要から機能や役割の違い、向いている企業まで紹介しているので参考にしてください。
目次
MAツールとは?
MA(マーケティングオートメーション)とは、マーケティング活動の自動化・効率化を図ることで、このために用いるシステム等をMAツールと呼びます。
MAツールによって、定型的な業務や顧客とのコミュニケーション、教育、集客といったあらゆるマーケティング活動を自動化または効率化できます。
マーケティングオートメーションを活用すれば、業務負担を軽減し、より重要な業務への注力が可能です。
関連記事:マーケティングオートメーション(MA)とは?SFA・CRMとの違いや導入のメリットも紹介
メール配信ツールとは?
メール配信ツールは、マーケティングを効率的に行う上で便利なツールです。メール配信ツールを検討するには、その概念と使用できる機能について理解しておく必要があります。
メール配信ツールの概念
メール配信システムはメールを送ることに特化したツールのことで、メールに関するさまざまな機能を利用できます。システムを利用するシーンには、新製品や商品の紹介、イベント開催のお知らせ、メルマガの配信などがあり、これらによってメールマーケティングが可能です。
メール配信ツールの主な機能
メール配信ツールの主な機能には、次のものが挙げられます。
1. テキストメール
テキストメールはテキストだけを用いた文面のメールのことです。テキストだけで構成されているため、送信先の受信環境に左右されることなく内容を届けられます。ただし、文字化けが起こる可能性はあります。
2. HTMLメール
HTMLメールは文面にHTMLタグを用いたメールで、文字サイズや字体、装飾などを施せます。送信先の受信環境によっては読めないこともあります。
3. ステップメール
ステップメールは、あらかじめ作成しておいたメールを、設定した配信スケジュール通りに自動送信する機能です。購読者に商品の前提知識がない場合に、段階的に商品に関する情報を送ることによって教育し、購買意欲を高められます。
また、購入者にメールアドレスを登録してもらい、商品のライフサイクルに合わせてサポートメールや買い替え情報を届けるといった使い方も可能です。
4. マルチパート配信
マルチパート配信は、送信先の受信環境に最適化した形式でメールを送信できる機能です。たとえばHTMLメールを送信したときに、相手側がテキストメールしか受信できない環境であれば、テキストメールに自動変換して届けてくれます。
イベント参加者へ開催日時の変更をお知らせするなどといった、確実に伝える必要のある重要なお知らせを配信する際に有効です。
5. 開封率の測定
開封率は、どのくらいの購読者がメールを開封したかを示すもので、メルマガがどのくらい読まれているかを確認できます。開封率を測定することによって、メルマガを読んでもらいやすくなるように、タイトルを改善するなどの施策が可能です。
関連記事:メルマガの開封率を上げる7つのポイントを解説!平均開封率やKPIの計測方法もご紹介!
6. クリック率の測定
メール文面にURLを付けた場合に、どのくらいの購読者がそのURLをクリックしているか測定する機能です。クリック率の測定の際には計測用のHTMLタグを用います。
7. メールアドレスの管理
購読者の登録や解除が自動で行える機能です。サイトに設置したフォームからの登録や、メルマガに記載した購読解除URLからの解除などの情報を自動的に購読者リストに反映します。
MAツールとメール配信ツールの違い
MAツールもメール配信ツールも、マーケティングに便利なツールではあるものの、搭載される機能や役割が異なります。自社に合ったツールを検討する際には、これらを理解しておくことが必要です。
機能の違い
メール配信ツールはメールマーケティングに特化したツールであり、メールに関するあらゆる機能が搭載されています。
一方、MAツールは、メールマーケティングを含むマーケティング全般を守備範囲としており、顧客情報のデータベースと連携することで、性別や年齢、住所、商品購入時期など、顧客の属性に合わせてメールを配信できます。また、Web上における行動履歴の記録が可能なので、メール配信ツールよりも詳細に属性の分類が行えます。
メール配信以外の機能として、登録フォームや問い合わせフォームの作成、ABテスト、ポップアップの表示またはプッシュ通知による登録フォームへの誘導などが搭載されています。
関連記事:マーケティングオートメーション(MA)の機能とは?7つのできることを徹底解説
役割の違い
MAツールでは、集客から見込み客の教育、営業までのマーケティングや定型作業の自動化が可能です。リードを獲得してからの管理も行え、教育の進展度合い、属性の更新などが自動で行えます。
集客においては、Webサイトの閲覧ページの傾向から、適切なタイミングでフォームに誘導するポップアップやイベント情報を表示することで、リードの獲得につなげられます。見込み客の教育は、ステップメールの配信によって可能です。Web上の行動履歴や購入履歴などの情報を基にして、購入意欲の高そうなユーザーへおすすめの商品情報やキャンペーン案内などの配信もできます。
このように、MAツールは、マーケティング全体を効率よく行うためのものであり、メールマーケティングに特化したメール配信ツールの機能に加え、集客やWebマーケティング、営業も可能です。
MAツールを選ぶべき企業
MAツールを選べきなのは、
・メール配信を実施しているが、成果につながっていない企業
・商談につながるリードを創出したい企業
・Web行動履歴を含むリード情報を一元管理したい企業
などの企業が当てはまります。
先述の通り、MAツールにはメール配信ツールに比べて多くの機能搭載されており、現在メール配信ツールで頭打ちになっている企業はMAツールを導入することで、メール配信の結果だけでなくWeb上の行動履歴なども加味した“複合的な判断”によって見込み顧客の興味度合いを可視化できるので、メールのみでのアプローチを行うメール配信ツールに比べて商談につながるリードを増やすことが出来ます。
また、MAツールではメール配信の結果はもちろん、Web上の行動履歴もツール上で一元管理でき、「顧客管理のデータベース」としても機能します。
例えば、「メールの結果は●●ツール」「Web上の行動管理は▲▲ツール」「顧客管理は■■ツール」など、マーケティング活動でありがちな管理面の煩雑さを解消できるため、マーケティング担当者は工数削減や効率化が期待できるでしょう。
このようなことから、上記に当てはまる企業は「MAツール」を選ぶとよいでしょう。
関連記事:MAツール「SATORI」を忖度なしで徹底レビュー!機能や活用方法も併せて解説!
メール配信ツールを選ぶべき企業
メール配信ツールを選ぶべきなのは、
・メールの効果測定やステップメールなどのメールマーケティングを始めたい企業
・メールマーケティングに予算や人員をあまり割けない企業
などの企業が当てはまります。
メール配信ツールの価格はMAツールよりもお手頃で、月額数千円から運用可能です。機能も限られており、使い勝手がよく、マーケティング初心者であっても扱いやすいです。これからマーケティングに取り組む企業は、メール配信ツールの導入から始めて、必要な機能の把握やマーケティング知識の理解が進んでから、MAツールの導入を検討するのがよいでしょう。
メール配信ツールによっては高機能なものもあるので、自社で使用する予定のある機能が搭載されているツールを選びましょう。
まとめ
メール配信ツールは、メールに関するあらゆる機能を持っており、「メールの効果測定やステップメールなどのメールマーケティングを始めたい企業」「メールマーケティングに予算や人員をあまり割けない企業」などに向いています。
一方、MAツールはメールマーケティングを含むマーケティング全般を支援する機能を持っており、「メール配信を実施しているが、成果につながっていない企業」「商談につながるリードを創出したい企業」「Web行動履歴を含むリード情報を一元管理したい企業」などに向いています。
ツールを選ぶ際には「安いから」「機能が豊富だから」「有名だから」といった理由だけで決めるのではなく、今回解説した両ツールを理解したうえで、自社がやりたいことや達成したいことを整理し、それを実現するための機能を持ったツールを選ぶことが重要です。
MAツールとメール配信ツール、どちらを導入すればいいか悩んでいる方は、今回の記事をご参考にしていただけると幸いです。