皆さんは企画書や社内文書などの資料を作成するときに、どのようなフォントを使っていますか?
「初期設定のものを使っている」「今まで気にしたことがなかった」
そのように答える方も多いかもしれません。
しかし、資料の印象はフォントによって大きく変わります。
例えば明朝体のフォントは「上品」で「かしこまった」印象を、ゴシック体のフォントは「親しみやすさ」や「インパクト」を与えることができます。
また、見やすく読みまちがえにくいように設計された「UD(ユニバーサルデザイン)フォント」を使うことで、より読みやすい資料にすることができます。
以上のようにフォントは、相手や用途によって適切に使い分けることが大切です。
この記事では、PowerPointやWordでの資料作成におすすめのフォントをご紹介します。
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目次
明朝体とゴシック体
まずは、基本の「キ」である「明朝体とゴシック体」について解説します。
明朝体とゴシック体は「書体」の種類の1つです。
書体とは、広義には「ある一貫した特徴に基づき分類されているもの」を指し、他にも「行書体」「ポップ体」などがあります。
そして、似た言葉である「フォント」は、「組版に利用できる共通のデザインのひと揃いの文字の集まり※」を指します。
※ 「フォント用語集」株式会社モリサワ
明朝体
明朝体は、横線に対して縦線が太く、ウロコや角ウロコ・はらい・ハネなど筆で描いた文字を再現したような飾りがある書体です。
■明朝体の特徴
明朝体のイメージとしては、
- 上品・優雅
- 軽やか
- フォーマル
などが挙げられ、上品な印象・かしこまった場面での資料に向いています。
また、明朝体は、
- 飾りがあることで判別しやすく、飽きずに読める
- 線が細いので、読み手に負担をかけない
という特徴から、「可読性が高い(文章が読みやすい)」とされ長文の資料に向いています。新聞や小説などの読み物にも、明朝体が多く使われていますね。
さらに筆で描いたようなデザインのため、相手の感情に訴えかける挨拶状などにも向いています。
ゴシック体
ゴシック体は明朝体と対照的に、縦線と横線の太さがほぼ均一で、ウロコなどの飾りがないシンプルな書体です。
■ゴシック体の特徴
ゴシック体のイメージは、
- 親しみやすい
- 安定感
- 力強い
といった点が挙げられます。
シンプルで、ある程度小さい文字でも読みやすいことから「視認性が高い(文字が見やすく認識しやすい)」とされ、情報をわかりやすく正確に伝えることが目的の提案書や研修資料、チラシやパンフレットなど、幅広い用途に適しています。
また、縦横の太さが均等という特徴から、解像度が低くてもつぶれにくく、モニターに表示するプレゼン資料にも適しています。
利用シーン別 おすすめフォント
ここからは、利用シーン別におすすめのフォントをご紹介します。
① 一般的な企画書や社内資料には・・・メイリオか游ゴシック!
メイリオと游ゴシックは、ゴシック体のフォントです。
どちらも視認性が高く読みやすいため、幅広い種類の資料に適しています。
両者を比べてみると、メイリオの方が字面が大きく、丸みを帯びています。
一方で游ゴシックはフトコロ(文字の内側の空間)が小さくクセがないため、ゴシック体の中でも洗練された印象のフォントです。
一般的な資料の中でも、かしこまった印象を出したい場合には游ゴシックを使ってみるとよいでしょう。
メイリオと游ゴシックについては、当社が運営するブログ(つながるデザイン研究所)の以下記事もご覧ください!
〈プレゼン資料の強い味方!メイリオの特徴を知って、表現の幅を拡げよう〉
https://tsunagaru-design.jp/archives/992
〈色々な資料にマッチ◎游ゴシックのコツをおさえて、資料をさらに読みやすく!〉
https://tsunagaru-design.jp/archives/2347
② 挨拶状や文章量の多い資料には・・・游明朝!
游明朝は、游ゴシックと同じく字游工房が作成した明朝体のフォントです。
可読性が高く、美しいフォントなので、幅広い資料におすすめです。
前述のように、かしこまった挨拶状には明朝体が適しているケースが多いです。以下の2つを比べてみましょう。
お祝い品への感謝の気持ちを伝えるお礼状です。
ゴシック体でも悪くはないのですが、明朝体の方がより相手の感情に訴えかけるイメージを受けるのではないでしょうか。
一方で、すべての挨拶状に明朝体を使わなくてはいけないわけではありません。
今度は以下の例をご覧ください。
この例は、「臨時休業」という「事実」を伝える文章であり、感情に訴えかける必要まではありません。そのためゴシック体でも違和感はないでしょう。
明朝体を選ぶかゴシック体を選ぶかは、その文書の相手や用途によって選んでみてください。
③ より見やすくしたい場合は・・・UDフォント!
UD(ユニバーサルデザイン)フォントとは、できるだけ多くの人がわかりやすく、読みやすいように工夫されたフォントです。
UDフォントには厳密な字形の定義があるわけではなく、フォントメーカー各社からさまざまなUDフォントが開発されています。
以下は、株式会社モリサワのUDフォントの特徴の一部です。
(オレンジがUDフォントの特徴です)
【特徴1】文字のかたちがわかりやすいこと
空間が広くとられており、つぶれにくく見やすいつくりになっています
【特徴2】読み間違えにくいこと
濁点・半濁点を大きくして、区別をつけやすくしています
【特徴3】似た文字を判別しやすいこと
はなれが明確になると、シルエットの似た文字を判別しやすくなります。
https://www.morisawa.co.jp/about/resources/fonts/
数あるUDフォントの中で「BIZ UDゴシック」と「BIZ UD明朝」は、日常的な文書作成に活用できるようにモリサワから提供されているUDフォントです。
BIZ UDゴシックとBIZ UD明朝は、Windows10の2018年10月のアップデート以降に標準搭載されています。
これまでご紹介したメイリオや游ゴシック、游明朝も読みやすいフォントですが、UDフォントに興味のある方は、ぜひ使ってみてください。
〈BIZ UDについてはこちら〉
https://tsunagaru-design.jp/archives/1683
大切なのは相手や用途に応じてフォントを選ぶこと
今回はフォントについてお伝えしました。
どのフォントを使うか、ということに明確な正解はありません。
大切なことは、相手や用途に応じてフォントを選ぶことだといえます。
「大会議室でモニター表示するからメイリオを使おう」
「長年ご愛顧いただいているお客さまへの挨拶状だから、游明朝にしよう」
「統計データを用いた資料だからBIZ UDゴシックにしよう」
など、資料の作成前に考える習慣をつけることで、その資料が使われている場面をイメージしやすくなり、より効果的なデザインを考えながら資料作成に臨むことができます。
いつも同じフォントを使っている、という方は、是非意識してみてくださいね。
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