デジタル時代に深く根ざしつつある昨今でも、紙媒体の重要性は決して薄れることはありません。それどころか、デジタル媒体との差別化を図る上で、紙媒体ならではの独自の魅力が再評価されています。
本記事では、紙媒体とは何か、その種類やメリット・デメリット、さらにはWeb媒体との効果的な使い分けについて詳しく解説します。広報や販促活動をより効果的に行いたいと考える皆さまに、ぜひお読みいただきたい内容です。
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紙媒体とは
紙媒体とは、情報を伝達するために紙に印刷されたメディアのことを指します。具体的には、新聞、雑誌、書籍、カタログ、チラシなどが含まれます。
紙媒体の特徴は、物理的な形状を持ち、手に取って見たり、触れたりすることができる点にあります。これにより、デジタルだけでは得られない感覚的な要素を取り入れることができ、特に感覚的なマーケティングに強みを発揮します。
紙媒体の種類

紙媒体には様々な種類があり、それぞれに異なる用途や特徴があります。以下では、代表的な種類について詳しく解説します。
チラシ
新聞の折り込み、自宅へのポスティング、街中での配布、店頭への設置など、非常に身近なチラシは普段から目にすることが多いのではないでしょうか。商品やサービスの情報を広範な人々に短期間で伝達するための広告媒体です。
配布エリアをセグメントしたエリアマーケティングや、店舗にご来店いただいた方に直接お渡しするなどのターゲティングができ効果をUPさせることができます。
パンフレット
企業や商品、サービスの概念を紹介するためのコンパクトな媒体です。展示会や店舗での配布、郵送による案内など、様々な場面で活用されます。特に初めて接触する顧客に対して、会社や商品の基本情報を伝えるのに効果的です。
■関連記事:パンフレットとリーフレットの違いとは?適切な活用法をわかりやすく解説!
カタログ
商品の詳細情報を視覚的に伝えるための媒体です。商品の写真やスペック、使用方法などを詳しく説明することができます。また、カタログは一度手に取るとその場で内容をじっくりと確認できるため、高額商品や内容が複雑な商品に適しています。
近年デジタルカタログも浸透しており、併用することでさらにマーケティング効果を高めることが可能です。
■関連記事:紙カタログとデジタルカタログのメリット・デメリットを徹底解説
ダイレクトメール(DM)
ダイレクトメール(DM)は、主に営業・宣伝を目的として商品やサービス・キャンペーンを紹介した印刷物をターゲットに送る手法で、紙媒体の中でもデザインなどの自由度が高く、デジタル主流の今、ダイレクトメール単体やデジタルとの掛け合わせで再注目されている効果が出やすいメディアの1つです。
ターゲットが開封してくれるか、行動してくれるかなどデザインや設計が重要なポイントです。
■関連記事:ダイレクトメール(DM)とは?メリット・デメリットや効果をアップさせる方法も解説します!
新聞
若年層へのリーチは今一つですが、中高年層に親和性の高いのがこの新聞。未だに電車や家庭で新聞を見ている人をご覧になる方も多いのではないでしょうか。
新聞の熱心な読者は毎日欠かさず目を通しており、中高年層のユーザーにとっては信頼できる媒体の1つといえるでしょう。
雑誌
文字の量は新聞に比べると少なめですが、その分写真やイラストが多く掲載されており、ビジュアル面での訴求がメインとなる紙媒体です。 多くの雑誌には広告枠が用意されており、雑誌によって購読者が変わることを把握した上で適切な雑誌に広告を出稿することで、狙いたいターゲットを選んで効果的なプロモーションをすることができます。
紙媒体のメリット・デメリット

紙媒体には、それぞれに特有のメリットとデメリットがあります。これらを理解することで、効果的な使い方が可能になります。
紙媒体のメリット

メリット①:信頼性が高い
なんとなく紙媒体の情報のほうが信頼ができる、というイメージをお持ちの方は多いのではないでしょうか。
紙媒体は“簡単に修正できない”からこそ発信する内容を精査し、正しい情報を届けることが重要な媒体のため、信頼性が高いイメージにつながっているのでしょう。
そのため、新聞や雑誌にサービスや商品の広告を掲載した場合、そのサービスや商品の信頼性も高まり、購入や導入を後押ししてくれる効果も見込めます。
メリット②:一覧性がある(視認性が高い)
PCやスマホでなにか閲覧するときはスクロールが必要な場合がほとんどで、一度に情報を読み取ることができません。
しかし紙媒体であれば、手に取ったときに一度で情報を読み取ることができる一覧性・視認性が高く紙媒体に軍配が上がります。
メリット③:保管性・再読性が高い
ご自宅に届くクーポン付きのチラシや、気になった雑誌を保管しておくことはありませんか?
中でも、特典があるDMやチラシは、「今すぐ購入」でなくても後から購入するパターンや、保管していたものを見つけ再認知してくれることが多くあり、Webにおける保管(スクリーンショットやブックマーク登録など)よりも優位な点があります。
このように紙媒体は“モノ”として手元に残るので、保管性や再読性が高くなります。
メリット④:紙ならではの表現ができる
紙の厚さや素材・加工などによって、与える印象を変えることができるのも紙媒体の大きなメリットです。
例えば、
- 和菓子店のチラシには和紙風の用紙を使いブランドイメージの演出やインパクトを残す
- ロイヤルカスタマーへのDMに厚紙や箔・ニス加工で特別感を演出する
このように、工夫1つで興味を惹いたり印象に残すことができる点は”紙だからこそ”表現できることと言えるでしょう。

メリット⑤:感覚マーケティングとの相性が良い
紙媒体は、視覚だけでなく触覚や嗅覚など、感覚的な要素を取り入れることができます。例えば、香り付きの紙や、特殊な触感を持つ紙を使用することで、消費者の感覚に直接訴えることができます。
■関連記事:人間の感性に訴求する「感覚マーケティング」の特長と活用例を解説!
紙媒体のデメリット

デメリット①:コストや時間が必要
紙媒体でコンテンツを作る場合は、印刷や製本などの工程が存在するので、これらの“モノを作る費用”が必要になります。
これまでは、その工程があることで情報発信のスピードにも限界がありましたが、オンデマンド印刷など印刷技術や流通の進化により、Webに迫る早さで印刷物をスピーディーに届けることもできるようになってきています。
デメリット②:修正のハードルが高い
紙媒体は、一度発信してしまうと容易には修正ができません。Webであれば間違いに気づいたときにサーバ上のデータを修正することで、正しい情報に差し替えできますが、紙媒体で修正したい場合は再度印刷し再配布する必要があるため、コストや時間が発生してしまいます。
しかし、簡単に修正ができないということは、逆に情報の信頼性の高さの裏付けにもつながっています。
デメリット③:情報掲載量に上限がある
紙媒体は、紙面の大きさという掲載できる情報の上限があります。一方Webは、どれだけ情報を掲載しても、スクロールしたり新しいページを追加したりして、上限なく情報を掲載することができます。
つまり、紙媒体の場合は「どんな情報」を「どれくらい」掲載するかという、情報の取捨選択と編集がいっそう重要となってきます。
紙媒体で効果を可視化したい場合は、QRコードを活用しましょう!
遷移先をLP*などのWebページにしたQRコードを紙面に配置し、ユーザーがQRコードを読み取ることでアクセスが発生、紙でも効果測定を行うことができます。
*LP=Landing Page。広告や検索結果を経由して訪問者が最初にアクセスするWebページのこと。

紙媒体とWeb媒体の違いは主に4つ

紙媒体とWeb媒体は、以下の4つのような異なる特性があります。これらの特性を理解することで、効果的な使い分けが可能になります。
- 掲載できる情報量
- 視線の動き
- レイアウト
- 色の見え方
掲載できる情報量
掲載できる情報量については、紙媒体は紙面サイズが限られているので、情報量に上限があり、Webはスクロールやページ遷移をさせることができるので情報量に上限がないといった違いがあります。
紙媒体には限られた「紙面に情報を適切に配置する工夫」が、Webでは「離脱されないように読み進めてもらう工夫」が必要です。
視線の動き
実は、ページを読む視線の動きも、紙媒体とWebでは変わってきます。
紙媒体の視線の動きは「Z型」と言われており、紙面に対して、左上→右→左下→右とZの動きで視線が動く特徴があるため、重要な情報ほど左上に近い順で掲載することが定石です。
一方Webの視線の動きは「F型」と言われており、初めに左上を見てその後右を見る→少し下に移動して右を見る、といったFの動きで視線が動きます。
ただ、Webの場合は最初に表示されたページの全体を把握するため「Z」の動きをしてから、詳細を見ていく「F」の動きになるという特性もあることを覚えておきましょう。
レイアウト
紙媒体の場合は、紙面サイズを考慮したレイアウト構成を考える必要があります。
視線の動きも重要になってくるので、「Zの動き」を念頭に起きながら、文字や画像などの素材を配置してデザインを表現するようにしましょう。
一方WEBの場合、視線の動き(「Z型」と「F型」)を考慮するのももちろんですが、PC・タブレット・スマホなどのデバイスによって画面サイズやレイアウトも変わるため、レイアウト構成後に全デバイスで正しく表示されるかという検証作業が必要となります。
また、現在ではどのデバイスで見てもレイアウトが崩れない「レスポンシブ対応デザイン」が必須であり、特に閲覧者の多いスマホ画面のデザインに気を配る必要があります。
色の見え方
紙媒体とWebでは色の見え方(表現)も変わります。
まず、紙媒体は“CMYK”のインクで紙に色を表現し、全体に落ち着いた色合いになります。一方Webでは、“RGB”でディスプレイに色を表現します。全体に鮮やかな発色です。
そもそもなぜ紙媒体とWebで色に差があるのかというと、目に届く光に違いがあるからです。
CMYKは光が紙に当たり反射して目に届きますが、RGBは発光するディスプレイから直接光が目に届きます。
そのため、暗闇では印刷の色(CMYK)は見えませんが、Web画面の色(RGB)は暗闇ではいっそう鮮やかに目に映ります。
ちなみに、RGBで表現できる色がCMYKでは表現できないといったことも多々あります。
特に蛍光色や明るいオレンジ色などはCMYKでの再現が難しく、プロモーションを実施する際に同じビジュアルをさまざまなメディアで展開する場合の色の表現は細心の注意が必要です。
■関連記事:【色について】RGBとCMYKの違いとは?特徴や変換方法なども解説!
このように、紙媒体とWebでは大きな違いがあるため、紙媒体とWeb両方を制作する際は「どちらも対応できる会社」に依頼すると失敗しにくいでしょう。
紙媒体とWebの使い分けの例

ここまで紙媒体とWebのメリット・デメリット、そして違いをお話しましたが、紙媒体とWebはどのように使い分ければよいのでしょうか。
それは、当たり前に思われるかもしれませんが「ターゲットや目的によって使い分ける」ということです。
紙媒体が有効なのにWebを使ったり、Webが有効なのに紙媒体を使うなどのミスマッチが起こると施策の成果が出にくくなります。
そうはいっても、イメージしにくい部分もあるかと思うのでここでは3つの例をご紹介します。
例1:シニア層向けにジム入会促進するためのアプローチ
シニア層はあらゆるメディアの中でも紙媒体に親和性が高く、申込みや問合せなどの行動も取りやすい傾向があるので、チラシやDMなどの紙媒体でジム入会促進を訴求。
また、詳しい情報を掲載したパンフレットやカタログも併用することで信頼性が高まります。
例2:学生向けにキャンペーン告知し再来店を促すアプローチ
学生向けには、SNSや待ち時間に閲覧できるWebページを利用してキャンペーンを告知するのが効果的です。さらに、店舗やイベント現場で配布するチラシやポスターを用いることで、現地での注目度を高めることができます。QRコードをチラシに掲載し、Webページに誘導する方法も有効です。
例3:企業の中間管理職向けに若手教育ソリューションのアプローチ
Webでの情報発信による接点を増やし、興味関心が高くなったタイミングを見計らってDMなどの紙媒体で訴求するWeb×DMのクロスメディアで効果的にアプローチ。
上記の例のように、紙媒体・Webのどちらか片方だけのパターンはもちろん、紙媒体とWeb両方を駆使して効果を最大化するクロスメディア施策など、ターゲットや目的によって紙媒体とWebを使い分けることが大切です。
■関連記事:クロスメディアとは?メリットや活用事例、メディアミックスとの違いを理解してマーケティングの効果UP!
まとめ
今回は、紙媒体とは何か、メリット・デメリットやWeb媒体との使い分けについて詳しく解説しました。
内容をおさらいしていくと、それぞれの媒体にはメリット・デメリットがあり、大切なのはその特長や違いを理解し、ターゲットや目的を踏まえたうえで「紙媒体かWebどちらかのみ」「両媒体を併用する」などと適切に使い分けることが重要です。
そうすることで、それぞれ媒体の優位点を最大に活かすことができ、顧客が必要としているタイミングで適切なコミュニケーションを実現できるので、結果的にプロモーションや営業活動の効果をUPさせてくれることでしょう。
紙媒体かWebか迷っている方はぜひ参考にしてみてください。
