【これだけ抑えれば大丈夫】オンデマンドとオフセットの違い、メリット・デメリットや印刷案件ごとの目安を解説

【これだけ抑えれば大丈夫】オンデマンドとオフセットの違い、メリット・デメリットや印刷案件ごとの目安を解説
2021年7月19日
印刷・デザイン

印刷には大きく分けると「オンデマンド印刷」と「オフセット印刷」の2種類あることはご存じですか?

「オフセット印刷」は従来からある品質とコスト面に優れた印刷手法、「オンデマンド印刷」は近年の多様なニーズに対応すべく発展してきた印刷手法です。

これらにはちゃんと違いや向き不向きがあり、それぞれのメリット・デメリットを理解することで、目的や施策、部数によってどちらを選べばいいのかがわかるようになります。

どちらも経験豊富な印刷会社として、どちらを選べばいいのか迷ったときの判断基準も合わせて解説します。

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オンデマンド印刷とは?

オンデマンド印刷は簡単に言うと「必要な時、必要な分だけ印刷できる」印刷方法です。

身近なイメージだと、オフィスやご家庭にあるプリンターのハイクオリティ版といったところでしょうか。

近年のプロモーションでは、いかに「自分ゴト」に捉えてもらえるかが重要視されており、一定の定義で括られた“セグメント”や、ある対象の人だけの“個”といった、これまでに比べよりきめ細やかなプロモーションが求められてきています。

そんな背景もありオンデマンド印刷は、必要な時、必要な分だけの印刷することができるので、従来の大量に同じものをばらまくマスマーケティングではなく、ターゲットを定め顧客に届ける“セグメントマーケティング”や“One to oneマーケティング”を実現できます。

ちなみに、オンデマンド印刷には「トナー式」と「インクジェット式」の2つの印刷方式があり、それぞれの特長は以下の通りです。

トナー式(レーザー式)

「トナー」と呼ばれる粉末状のインクを吹き付けた感光体(ドラム)を、用紙に押し付けて印刷をする方法です。感光体にはレーザーで印刷イメージを描くので、レーザー式とも呼ばれます。

印刷直後の紙が温かいときがありますが、それはインクを熱で圧着させるためです。

トナー式はインクを乾かす時間がほとんどかからないため、短時間で大量に印刷することができます。

また、後述のインクジェット式よりも印刷の耐久性が高いので、その点でも低コストと言えます。

インクジェット式

インクカートリッジから用紙にインクを直接吹き付けて印刷する方法で、ご家庭向けのプリンターでもおなじみの方式です。

インクジェット式は色の再現度が高いという特徴があり、高品質印刷が行えるため、写真などの色彩のクオリティを保ちたい場合に向いている印刷方式と言えます。

オンデマンド印刷のメリットとデメリット

オンデマンド印刷のメリット

オンデマンド印刷には主に以下の4つのメリットがあります。

  1. 小ロット印刷に向いている
  2. 納期が早く急ぎの案件も対応できる
  3. 在庫コストがかからない
  4. 内容の変更に素早く対応できる

1つ1つ解説していきます。

メリット①:小ロット印刷に向いている

1つ目のメリットは、「小ロット印刷に向いている」ことです。何か印刷物を作る際、「そんな多くはいらないから50部だけ欲しい、100部だけ欲しい・・・」そんなシーンがよくあるかと思いますが、こういった小ロットだけ欲しいというニーズを実現できます。

オンデマンド印刷が普及する以前の印刷物の発注ロットは、少なくとも数千部から、というのがほとんどでしたが、小ロット対応が可能な「オンデマンド印刷」の台頭により、多品種少量印刷など多様なニーズに対応できるようになりました。

メリット②:納期が早く急ぎの案件も対応できる

2つ目のメリットは、「納期が早い」ことです。通常、オフセット印刷など通常の印刷では、印刷物ごとに「版」というハンコのようなものを作成し、それにより大量の印刷が可能になるのですが、オンデマンド印刷は「版」を使用せずデータを直接読み込んで印刷するので、版を作る工程がない分、スピーディーな対応が可能となるため、急ぎで印刷物を作りたい方にはうってつけの印刷方法となります。

メリット③:在庫コストがかからない

メリットの3つ目は「在庫コストがかからない」ということです。紙の保管って結構スペースを取るな・・・と思ったことはありませんか?

大量の印刷物を一度に作成した場合、自社で在庫保管スペースを用意して保管するか、印刷会社で在庫を管理してもらうか、のどちらかが多く、いずれにしても在庫コストがかかります。

しかしオンデマンド印刷であれば、必要な時、必要な分だけ印刷できるので、在庫コストが削減できます。

メリット④:内容の変更に素早く対応できる

メリットの4つ目は「内容の変更に素早く対応できる」ことです。オンデマンド印刷は「版」を作らず印刷データを直接出力して印刷するとお伝えしましたが、内容を変更したいときは印刷データを差し替えるだけなので、状況に応じた臨機応変な対応が可能です。

また柔軟性があるだけでなく、一度印刷したものを無駄にすることがなくなるという意味でも環境にエコである側面があります。

また、研文社にはオンデマンド工場(東京都新宿区)がございます。実際に稼働しているところや製品を見ていただくことも可能ですので、お気軽にお問い合わせください。

オンデマンド印刷のデメリット

では、逆にデメリットは何なのかもお伝えしていきます。

デメリット:ロット数によっては、コストが高くなる

今すぐ少量だけほしい!といったときにはオンデマンド印刷が向いていますが、逆に大ロットの印刷物をオンデマンド印刷にしてしまうと、コストが高くなります。

サイズなどによって変わりますが、数千部を超える場合は、「版」を作るオフセット印刷の方が割安になることが多いです。

オフセット印刷とは?

オフセット印刷とは、「版」を使用した印刷方法です。

版のイメージを直接紙に転写するのではなく、一度版に塗られたインクをゴムブランケットに転写(オフ)してから紙に印刷(セット)します。
そのため、インクが紙にしっかりと密着して写真や文字などを細部まで鮮明に表現でき、安定した品質で大量の印刷をすることができます。

オフセット印刷のメリットとデメリット

オフセット印刷のメリット

オフセット印刷の主なメリットは以下の3つです。

  1. 大きいサイズの印刷が可能
  2. 大量印刷に対応し、印刷費用を抑えられる
  3. 印刷物の色表現が拡がる

メリット①大きいサイズの印刷が可能

オフセット印刷機は物理的にも大きな機械なため、A0サイズなどの大きな用紙に印刷することが可能です。

また、チラシとリーフレットなど異なる印刷物の版を1度にセットして同じ用紙に印刷する「付け合せ印刷」という方法も可能です。印刷機の稼働率を高め、資材の無駄を省くことができるので、コストを抑える効果があります。

メリット②大量印刷に対応し、印刷費用を抑えられる

オンデマンド印刷と比べて版を作るため費用がかかるオフセット印刷ですが、大ロットの印刷であれば1部あたりのコストは抑えられるため、「オフセット印刷」が推奨されます。

メリット③印刷物の色表現が拡がる

カラーでの印刷はC・M・Y・Kの4色刷りで印刷するのが一般的ですが、オフセット印刷機は4色刷りでは再現できない特色(金や銀、蛍光、透明など)を使用でき、通常印刷にプラスして印刷することができます。

オフセット印刷機の中には6色対応のものもあるので、印刷工数を増やさず特色を使った印刷ができ、印刷物の表現が拡がります。

■関連記事:【色について】RGBとCMYKの違いとは?特徴や変換方法なども解説!

また、研文社にはオフセット工場(兵庫県尼崎市)がございます。実際に稼働しているところや製品を見ていただくことも可能ですので、お気軽にお問い合わせください。

オフセット印刷のデメリット

オフセット印刷の主なデメリットは以下の3つです。

  1. 納期が必要
  2. 製版費用が必要になる
  3. 多種小部数の印刷に向かない

デメリット①:納期が必要

データがあればすぐに印刷できるオンデマンド印刷に比べ、オフセット印刷は「版」を製作する必要があるため、その分の納期が必要です。

デメリット②:製版費用が必要になる

オフセット印刷は印刷に版が必要なため、版を製作する製版作業を行う必要があります。

そのため、製販費用(版自体の作成費用、製版用データに変換する費用、版を焼き付けるための作業費など)が必要になります。

デメリット③:多種少部数の印刷に向かない

チラシを地域ごとに掲載内容を変える、顧客ごとにQRコードを変える、など多種少部数印刷の場合、1種類ごとに版を作る必要のあるオフセット印刷は割高になってしまいます。

このような多種少部数で一部を可変した適用した印刷物を作りたい場合は、オンデマンド印刷が最適なので、目的に応じて使い分けをしましょう。

*Question* オフセット印刷のほうがきれいに仕上がるって聞くけど本当?

これはよく聞かれる質問ですが、結論から言うと「あまり差はない」です。
以前のオンデマンド印刷は、オフセット印刷に比べ粗さやテカリなど少しクオリティが低く見えることもあったようですが、今は印刷現場のプロですらよく見ないとわからないレベルまでオンデマンド印刷のクオリティが上がっています。
なので、『小ロットでお金かかるけどきれいに仕上げたいからオフセット印刷を・・・』と決めつけるのではなく、迷ったときはまず印刷会社に相談してみることをおすすめします。

オンデマンド印刷とオフセット印刷の違い

ここまでご覧いただいている方はお気づきかもしれませんが、オンデマンド印刷とオフセット印刷の大きな違いは「版の有無」です。

  • 版がないのが“オンデマンド印刷”
  • 版があるのが“オフセット印刷”

これらの違いがあることで、先述のそれぞれのメリット・デメリットにもとても関係してくるため、この違いを理解しておきましょう。

オンデマンド印刷・オフセット印刷の向いている印刷物

作りたい印刷物がオンデマンド印刷とオフセット印刷どちらが向いているのか・・・と、疑問に思う方もいらっしゃるかと思います。そこで、選ぶ際に1つの目安となる表を印刷物ごとに以下にまとめましたので参考にしてみてください。

印刷物印刷方式
名刺オンデマンド印刷
パンフレットオフセット印刷
カタログオフセット印刷
DMオンデマンド印刷
チラシオフセット印刷
ハガキオンデマンド印刷
マニュアルオフセット印刷
ポスターオフセット印刷

上記の表でオンデマンド印刷と記載のある印刷物の特徴として、

  • 可変要素がある
  • 用紙サイズが大きくない
  • 小ロットでの需要がある

などがあり、これらは顧客に合わせて掲載内容を変える必要性があるため、オンデマンド印刷を選ぶことで小回りの利く施策が可能になります。

逆に、オフセット印刷と記載のある印刷物の特徴には、

  • ページ数が多い
  • 用紙サイズが大きい
  • 色の表現が重要

などがあり、この特徴を持つ印刷物は、先述でお伝えしたオフセット印刷のメリットを最大限に活かし、期待しているような印刷物を作ることが出来ます。

これらを理解しているだけでも、印刷物で顧客に上手く訴求できマーケティング効果につなげることができるので、1つの目安として押さえておきましょう。

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<ケース別>オンデマンド印刷とオフセット印刷を選ぶ目安をご紹介

先述で印刷物ごとにオンデマンド印刷・オフセット印刷の向いている印刷物をお伝えしましたが、注意点が1つあります。

それは、「同じ印刷物でもケースによってオンデマンド印刷かオフセット印刷か変わることがある」ということです。
先ほどお伝えした内容と少し矛盾しているように感じる方もいるかと思うので、ここではよくあるケースの具体例をご紹介しながらイメージだけでも持っていただければと思います。

DM(ダイレクトメール)を送りたい

  • イベント用のバラマキ告知DMを10,000部配布したい → オフセット印刷
  • 顧客毎に遷移先ページを変えた10パターンのQRコードを配布したい → オンデマンド印刷

企業パンフレット

  • 今後変更することはあまりない汎用的な内容 → オフセット印刷
  • もうすぐ改訂をするが100部だけ必要になった → オンデマンド印刷

サービス紹介リーフレット

  • キャンペーンや展示会などある期間に集中して配布する → オフセット印刷
  • たまに訪問営業で使うことがある → オンデマンド印刷

チラシを配りたい

  • 対象地域全域にばらまくチラシを20,000部作りたい → オフセット印刷
  • チラシ内容を10の地域ごとにそれぞれ内容を変えてばらまきたい → オンデマンド印刷

カタログを作りたい

  • 一般的なページ数の多いカタログを作りたい → オフセット印刷
  • カタログの印刷データがあり30部ほど急ぎで欲しい → オンデマンド印刷

上記はあくまで一例に過ぎませんが、こういったイメージを持っていることでコストパフォーマンスの合った印刷物を作成することが出来ます。

また、“印刷物はオーダーメイド”と言われているくらい印刷物のサイズや形状によって値段の差異が出ることもあるため、施策内容や細かい仕様が決まっている方は、印刷会社に相談することが成功の近道になるでしょう。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

今回は、印刷物を作る上で知っておきたい「オンデマンド印刷」と「オフセット印刷」の違いや、メリット・デメリット、そしてどちらを選べばよいかの目安を解説しました。

それぞれ得意な領域があることや、「オンデマンド印刷」と「オフセット印刷」の主な違いとしては「版の有無」で、版がないのが“オンデマンド印刷”、版があるのが“オフセット印刷”など、オンデマンド印刷やオフセット印刷についてお分かりいただけたかと思います。

また、どちらを選べばいいのかという基準としては、しっかりと目的に合わせて使い分けをすることが重要です。

そうすることで、コストパフォーマンスの高い印刷物が作れるだけでなく、印刷物で顧客に響く訴求ができマーケティング効果を見込めるので、印刷物を作る際や、印刷会社に発注する際の目安としてお役に立てれば幸いです。

弊社でも対応可能ですので、お気軽にお問い合わせください。

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