「品質スコア」は、広告の品質を表す基準です。品質を診断するのに有効なツールですが、狙いを定めて高められるものではありません。仕組みを理解した上での取り組みを行うことで、自然にアップします。
本記事では、品質スコアの基礎知識から、重要視されている理由、改善により得られるメリット、最適な改善策まで、詳細に解説します。
目次
品質スコアとは
「品質スコア」とは、リスティング広告の品質を、数値に変えて示す判断指標です。品質スコアは、キーワードに対する広告文、ランディングページの品質の高さを1から10の段階に分けて評価します。
品質スコアは、以下3つの要素を広告との関連性の高さに表したものです。
■ 推定クリック率
■ キーワードと広告文の関連性
■ ランディングページの利便性
品質スコアは、「広告ランク」を決める要素のひとつです。広告効果を高めるためには、品質スコアの上げ方や広告ランクとの関係性を理解することが重要です。
Yahoo!広告は「品質スコア」ではなく、「品質インデックス」という名前が付けられています。
品質スコアの重要性
品質スコアは広告の掲載順位を決めるオークションの評価対象ではありませんが、広告ランクを上げる大きな要因のひとつとなっています。間接的に広告のパフォーマンスに影響を与えると考えられており、品質スコアを上げることで広告掲載に必要なクリック単価を抑えることができます。
品質スコアと広告ランクの違い
広告ランクは、リスティング広告の掲載順位の決定に用いられる指標です。広告ランクが高いほど、上位に広告が掲載されやすくなります。
広告ランクは、以下の計算式で求めることができます。
広告ランクを上げるには、品質スコア、もしくは上限クリック単価のいずれかを高くする、あるいは広告表示オプションの効果の追加が必要です。
品質スコアは、広告の品質を示す指標です。広告ランクのように上限クリック単価を高めることで指標を上げることはできません。この仕組みにより、広告予算の多い競合他社に広告枠を独占されることがなくなり、品質スコアを高めることで広告費用を抑えながら、広告を上位表示することができます。
品質スコアを決定する要因
広告効果を高めるために、これらの3つの要因を高く維持することが重要です。
推定クリック率(推定CTR)
推定クリック率とは、指定したキーワードが広告のクリックにつながるかどうかを予測した数値です。キーワードの過去の掲載結果を考慮に入れて判定され、検索キーワード・デバイスの種類・オークション時の要因に基づいて、より正確な推定クリック率が算出されます。
推定クリック率と実際のクリック率を高めるには、ユーザーの検索意図に合った魅力的な広告文を設定するなど、対策を講じる必要があります。
キーワードと広告文の関連性
広告の関連性は、ユーザーの検索キーワードと広告の内容との関連性の高さを示します。広告の関連ステータスが低い場合は、広告文の表現をユーザーの検索語句と一致させたり、キーワードをテーマ別にグループ化したりなど、関連性の向上を図ります。
たとえば、化粧品を販売している場合は、「レディース」と「メンズ」のグループを設けて、ビジネスの内容に応じたテーマ分けをします。テーマを分けて広告を管理することで、ユーザーと広告の関連性がわかりやすくなり、クリック率の改善などを行うことができるようになります。
ランディングページの利便性
広告をクリックした際に表示される最初のページが、ランディングページ(LP)です。
品質スコアは、ユーザーをサイトに連れてくることだけで評価が決まるわけではありません。サイトを訪れたユーザーに優れた体験を提供することも重要な指標となります。たとえば、ランディングページと登録されたキーワードや広告文との内容の一致、ランディングページ内のボタン配置、スムーズな操作性など、品質スコアを高めるにはランディングページの利便性の向上も重要です。
品質スコアの適正値
品質スコアは、1~10までの10段階に分かれています。適正値は5~7程度。数値が高いほど効果も期待できますが、10を目指す必要はなく、適正値を維持することを目指してください。
品質スコアの確認方法
Google広告の場合は、Google広告の管理画面。Yahoo!リスティング広告の場合は、広告管理ツールやレポートから確認できます。
Google広告
Google広告の管理画面にログインし、品質スコアと3つの決定要因についても確認します。
1.Google広告の管理画面にログインし、左側にあるメニューの「キーワード」を選択
2.画面中央にある「表示項目」→「表示項目の変更」→「品質スコア」を選択
3.掲載されている項目のうち、決定要因などの調べたい項目にチェックを入れて、「適用」を選択
「品質スコア」では1~10までの数値、3つの決定要因では、「平均より上」「平均的」「平均より下」と3段階の評価で品質スコアの状態を確認できます。
品質スコアの評価は、設定したキーワードとユーザーの検索したワードが完全に一致した場合のみ評価されます。部分一致では、品質スコアに変化はありません。
Yahoo!リスティング広告
Yahoo!リスティング広告の品質インデックスは、広告管理ツールで確認します。評価は、1~10の10段階で評価されます。
1.Yahoo!リスティング広告の「広告管理ツール」に、Yahoo!JAPANビジネスのID・パスワードを入力してログイン
2.「広告管理ツール」画面上の「検索広告」→「キャンペーン管理」を選択
3.「表示期間選択」で品質インデックスの確認したい期間を設定
4.「表示内容選択」で「キーワード」を選択し、該当期間におけるキーワードの結果を確認
5.「表示」にある「表示項目の編集」から、3つの決定要因にチェックを入れて「適用」を選択
また、Yahoo!リスティング広告の広告管理ツールでは、パフォーマンスレポートの「キーワードレポート」から品質インデックスの各指標をプリントアウトすることができます。
品質スコア改善のメリット
品質スコアを改善すると、掲載順位や広告ランクの向上、クリック単価が軽減などのメリットで、効率的に広告を運用できるようになります。
掲載順位の向上
品質スコアの数値が高まると、広告の掲載順位が上がります。掲載順位が上がると、ユーザーの目に留まりやすくなり、クリックされやすくなります。
クリック回数が増えると見込み度の高いターゲットからのクリック回数も増えるほか、自社サイトや商品・サービスの宣伝効果も高まり、コンバージョン率のアップにつながります。
広告ランクの上昇
広告ランクは、「品質スコア」「上限クリック単価」「広告表示オプションなどの効果」の3つの要素から構成されています。品質スコアを含めた3つの要素を高い状態に保つことで、広告ランクを上昇させることができます。
クリック単価(CPC)を下げる
クリック単価は、
「(クリック単価)=(掲載順位がひとつ下の広告ランク)÷ (品質スコア)+1」で算出されます。
広告ランクを上げて広告が上位表示されるほどクリック単価は下がります。クリック単価を低く抑えると、広告の費用対効果も大きくなります。
インプレッションシェアの損失を抑えられる
「インプレッションシェア」は、広告が掲載される可能性があった回数のうち、実際に掲載された回数の割合です。
インプレッションシェアは、
「インプレッションシェア)=(広告が掲載された回数)÷(広告が掲載される可能性があった回数)」で算出されます。
広告が掲載される機会が生じるたびに、広告オークションには参加していますが、実際にオークションで入札して、広告が掲載される可能性は、ターゲット設定や承認、品質スコア、上限クリック単価など、さまざまな要素をもとに計算されます。
損失率を改善するには、予算もしくは広告ランクの改善が必要です。
予算を増やし、広告にコストをかけると、日予算の上限に余裕ができ、損失を回避した広告配信を行えます。インプレッションシェアの改善方法がわからないときは、予算を増やして配信効率の変化を分析してください。
広告ランクによる損失率を改善するには、「入札単価」「品質スコア」「広告表示オプションなどの効果」の見直しが必要です。高すぎる入札単価は広告を表示しにくくします。入札単価を低めに設定しCPAを抑えれば、広告の表示機会が増えるので、インプレッションシェアの改善につながります。
広告表示オプションが表示されやすくなる
広告表示オプションは、「通話ボタン」や「住所」「サイトへのリンク」「追加テキスト」など広告と一緒に掲載される広告のオプションです。ユーザーのアクセスをサポートし、コンバージョンにもつながりやすいというメリットがあります。品質スコアを改善すると、広告表示オプションが掲載される可能性も高まります。
広告表示オプションは、広告の掲載順位と広告ランクが上位に入っているときに掲載されます。品質スコアを改善すれば、広告の掲載順位が向上し広告ランクが高まり、広告表示オプションの掲載回数も増える可能性があります。
品質スコアを上げるための施策と改善策
以下では、品質スコアを改善するために必要な方法を3つ解説します。
施策1.推定クリック率を改善する
推定クリック率は、過去のクリック率とインプレッションシェアによって決まります。推定クリック率が「平均より下」の場合、以下の2つの方法で改善できます。
■ キーワードと広告文の組み合わせの変更
■ 適正な広告グループを設定
ユーザーの検索キーワードに対し、興味を示す商品・サービスなどの広告文を掲載してクリック率を改善し、関連性が認められる広告グループをひとつにまとめて複数のキーワードを設定するなど、推定クリック率の改善はさまざまです。
施策2.ランディングページの利便性を向上させる
ランディングページの利便性が低いと、推定クリック率が「平均より下」になります。ランディングページの利便性を高めるには、情報の見やすさや商品・サービスを簡単に購入できる操作性の向上、お客様の声やよくある質問などのコンテンツを取り入れることです。
ユーザーの離脱率を抑えれば、品質スコアの改善につながります。
施策3.広告の関連性を改善する
広告の関連性を改善するには、以下のような施策が考えられます。
■ 検索キーワードを広告のタイトルや説明文に含める
■ キーワードや広告に沿った広告グループを作成する
■ LPに広告で提案した内容を掲載する
■ リンク先をテキスト広告と関連性の強いページに設定する
広告の関連性は、検索キーワードと広告、LPとの関連性を強めることで改善を目指せます。
まとめ
品質スコアとは、リスティング広告の品質を表す指標です。品質スコアの数値が高くなると、広告が掲載されやすくなり、ユーザーのクリック率の上昇など費用対効果の向上に期待が持てます。品質スコアを改善するには、推定クリック率や広告の関連性、ランディングページの利便性を改善する必要があります。検索ユーザーの意図を読み取り、ユーザー目線での広告内容を検討・改善していきましょう。
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