CO2排出量の計算方法を解説!【排出量データシートサンプルあり】

CO2排出量の計算方法を解説!【排出量データシートサンプルあり】
2023年9月5日
SDGs

国内企業は、国が掲げる2050年までのカーボンニュートラル実現を目指し、さまざまな形でCO2排出削減に努めています。CO2排出削減に取り組むためには、まず自社がどのくらいCO2を排出しているのかをきちんと把握しておく必要があります。

今回は、CO2排出量を計算する理由や、CO2排出量の計算方法について解説します。また印刷物のCO2排出量を算定するデータシートもございますので、是非ご参考にしてください。

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CO2排出量を計算する理由

企業がCO2排出量を計算しなければならない理由は、大きく分けて3つあります。

脱炭素社会に向けた取り組み

地球温暖化の影響が年々深刻化している今、世界各国は互いに協力し合い、温暖化の原因となるCO2の排出削減に取り組むことで合意しています
各国はそれぞれ独自の温暖化対策の目標を掲げていますが、日本は2021年に開催された気候変動サミットにて、2030年度に温室効果ガスを2013年度より46%削減することを目指すとともに、50%削減にもチャレンジすることを表明しました。[注1]

また、2050年にはカーボンニュートラル、すなわち脱炭素社会を目指すことも目標に掲げており、国をあげてCO2排出削減に取り組む姿勢を見せています。CO2は生活の至るところで排出されますが、事業活動にともなうCO2の排出量は家庭の排出量を大幅に上回ります。

CO2排出量を削減し、将来的に脱炭素社会を目指すためには、企業が自社のCO2排出量を正確に把握し、然るべき対策を講じることが重要です

■関連記事:カーボンニュートラルとは?企業の取り組みや実現手法を解説!

[注1]外務省:日本の排出削減目標
https://www.mofa.go.jp/mofaj/ic/ch/page1w_000121.html

【省エネ法】エネルギー使用状況報告の義務

日本では、地球温暖化対策の一環として、エネルギー使用の合理化および非化石エネルギーへの転換等に関する法律(省エネ法)を制定しています。

省エネ法では、原油換算で1,500kl/年以上のエネルギーを使用する事業者を特定事業者とし、中長期計画の提出とともに、エネルギー使用状況等の定期報告を義務づけています。[注2]

定期報告書には、事業所全体のエネルギー使用量のほかに、CO2の排出量も記載しなければならないため、CO2排出量の計算は必須です。定期報告書は毎年7月末日までに前年度分を作成し、所管省庁に提出する必要があります。報告の義務を怠った場合、省エネ法第175条に基づき、50万円以下の罰金に処されます。

[注2]e-Gov法令検索:エネルギーの使用の合理化及び非化石エネルギーへの転換等に関する法律
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=354AC0000000049

【温対法】排出量報告の義務

温対法とは、「地球温暖化対策の推進に関する法律」のことで、地球温暖化対策に取り組むための規定を定めた法律です。平成18年4月1日には一部が改正され、CO2を多量に排出する特定排出者は、CO2の排出量を算定し、国に報告することが義務づけられました。[注3]

対象となる特定排出者は、すべての事業所のエネルギー使用量合計が1,500kl/年以上(エネルギー起源二酸化炭素の場合)になる事業者です。特定排出者に該当する場合、自らのCO2排出量を算定し、毎年7月末日まで(輸送事業者は6月末日まで)に、前年度の排出量情報を事業者単位で国に報告する必要があります。

報告義務があるにもかかわらず、CO2排出量の計算および報告を怠った場合や、虚偽の報告を行った場合は、温対法代75条の規定に基づき、20万円以下の罰金に処されるので要注意です。

[注3]e-Gov法令検索:地球温暖化対策の推進に関する法律
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=410AC0000000117

CO2排出量の計算方法

CO2の排出量を計算するには、活動量や排出係数、地球温暖化係数などの項目を活用します。

温室効果ガス排出量の計算式である、「活動量×排出原単位」に対して、地球温暖化係数(GWP)をかけることでCO2排出量(CO2換算排出量)を求めることができます

CO2の排出量を計算する際は、以下の計算式を使用します。

CO2排出量の計算式

CO2排出量(CO2換算排出量) =活動量×排出原単位(排出係数)×地球温暖化係数(GWP)

計算式に用いるそれぞれの項目について詳しく解説します。

活動量とは

活動量とは、事業者の活動の規模を数値化したものです。具体的には、事業活動に利用した電気の使用量や、貨物の輸送量、廃棄物の処理量などがこれに該当します。活動量を調べるためには、前年度に使用したエネルギーの種類(電気やガス、水道、ガソリンなど)ごとにデータを収集し、エネルギー使用量を集計する必要があります。

排出原単位(排出係数)とは

排出原単位とは、活動量あたりのCO2排出量のことで、排出係数とも呼ばれています
たとえば、電気1kWh使用あたりにどのくらいのCO2を排出したか、貨物輸送量1トンにつきCO2がどのくらい排出されたか、などが排出原単位となります。

排出原単位は環境省のホームページで公開されている排出係数一覧を用いるのが一般的です。[注4]

[注4]環境省:温室効果ガス排出量 算定・報告・公表制度 公表制度
https://ghg-santeikohyo.env.go.jp/calc

地球温暖化係数(GWP)とは

地球温暖化係数とは、CO2を基準として、ほかの温室効果ガスがどれだけ温暖化する能力があるかを表す数値のことです。英語ではGlobal Warming Potentialといい、頭文字を取ってGWPと略されるのが一般的です。

具体的には、単位質量(1kgなど)の温室効果ガスが大気中に放出された際、一定期間内(100年など)に地球に与える温暖化への影響を、CO2に対する比率として見積もったものになります。

地球温暖化係数については、国際的に統一された計算式はありませんが、日本では地球温暖化対策推進法施行令第4条において定められています。[注5]
(一例を挙げると、メタンの地球温暖化係数は25、一酸化二窒素係数は298です)

[注5]e-Gov法令検索:地球温暖化対策の推進に関する法律施行令
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=411CO0000000143_20230401_505CO0000000068

サプライチェーン全体のCO2排出量の計算方法

サプライチェーンとは、商品や製品が消費者の手元に届くまでの一連のプロセスのことです。具体的には、原料の調達、製造、在庫管理、配送、販売、消費といった一連の流れを指します。つまりサプライチェーン排出量とは、原材料の調達から消費までの一連の流れ全体から発生する温室効果ガス排出量を意味します

画像引用:排出量算定について – グリーン・バリューチェーンプラットフォーム | 環境省 (env.go.jp)

国では、自社内における直接的な排出だけでなく、事業活動にともなって間接的に排出される分も含めたサプライチェーン排出量の算出を推奨しています。

サプライチェーン排出量は、Scope1、Scope2、Scope3の3つで構成されています。

サプライチェーン排出量=Scope1+Scope2+Scope3

以下ではそれぞれの計算方法について詳しくご紹介します。

Scope1の計算方法

Scope1とは直接排出のことで、自社内におけるCO2排出量を意味します。Scope1排出量は以下の計算式で算定します。

Scope1排出量の計算式

Scope1排出量  = 燃料の消費量 × 燃料ごとの排出係数

燃料ごとの排出係数は環境省のホームページに掲載されています。
たとえばガソリンなら、燃料の消費量×2.32tCO2/klでScope1排出量を算定できます。[注6]

[注6]環境省:算定・報告・公表制度における算定方法・排出係数一覧 p7
https://ghg-santeikohyo.env.go.jp/files/calc/itiran_2020_rev.pdf

Scope2の計算方法

Scope2とは、エネルギーの使用にともなって間接的に排出される温室効果ガスの量です。
事業活動において、ほかの事業者から供給されたエネルギーを使用する場合は、以下のScope2計算式を用います。

Scope2排出量の計算式

Scope2排出量  = エネルギー使用量 × 供給会社ごとの排出係数

たとえば電気の場合、電気使用量(kWh)×電力会社ごとの排出係数でScope2排出量を算定します。

Scope3の計算方法

Scope3とは、Scope1、2以外で、自社の事業活動に関連して排出される他者の温室効果ガスの量です。具体的には、原材料の調達や生産設備の増設、廃棄物の輸送・処理などです。Scope3排出量は以下の計算式で求められます。

Scope3排出量の計算式

Scope3排出量  = 活動量 × 排出原単位

CO2排出量を求める際のポイント

CO2排出量を求める際は、環境省や自治体が提供しているCO2排出計算シートなどを活用すると便利です。必要なデータを入力すれば、Excelのマクロ機能によって自動で排出量が計算される仕組みになっているため、手軽に排出量を計算できます。

ただ、計算シートは簡易的なものが多く、算定される数値はあくまで推計となります。国に提出する報告書では正確なデータが求められますので、計算シートはあくまで参考値として日々の活動に役立てるとよいでしょう。

CO2排出量を算定する

弊社では「印刷物のライフサイクル(製造・流通・廃棄など)のCO2排出量」と、弊社の「環境配慮型プリント」で印刷した際の「CO2削減量」を算定し、下記のような形でご提供させていただきます。

●排出量データシート(イメージ)

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また、弊社では無料のCO2排出量算定シミュレーションも実施しておりますので、ぜひ下記よりお気軽にお申し込みください。

まとめ:CO2排出量を計算して地球温暖化対策への取り組みに役立てよう

自社のCO2排出量を計算することは、地球温暖化対策への取り組みを考えるうえで欠かせない要素のひとつです。とくにCO2をたくさん排出する特定排出者に該当する場合、前年度のCO2排出量を国に報告する義務があります。報告義務を果たさないと罰金の対象となりますので、CO2排出量の計算方法をよく理解し、正確なデータを算出しましょう。

なお、近年は原材料の調達から消費者のもとへ届くまでのサプライチェーン全体で排出されたCO2の量を計算するサプライチェーン排出量を算出する企業が増えてきています。サプライチェーン排出量は事業活動全体の把握に役立つほか、社外アピールにも効果的ですので、積極的に算出することをおすすめします。

弊社では、全事業所においてCO2排出量ゼロの運営を目指しております。また、環境対応商品の印刷物をお求めの際は、デザイン・素材はそのまま、カーボンゼロプリントやカーボンニュートラルプリントのマークを表示することが可能です。CO2削減に取り組む企業様は、ぜひご相談ください。

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