サードパーティクッキーとは?規制による影響と廃止までにやるべき対策を解説

サードパーティクッキーとは?規制による影響と廃止までにやるべき対策を解説
2023年6月19日
マーケティング

ターゲティング広告の配信やアクセス解析に活用されるサードパーティクッキーは、近年、プライバシー保護の観点から規制され、利用が制限されつつあります。そこで本記事では、サードパーティクッキーの詳細や規制後の対応について紹介します。今後のマーケティング業務に役立てたい!という方はぜひご覧ください。

サードパーティクッキーとは?

ファーストパーティクッキとサードパーティクッキの比較
↑クリックで拡大できます

まず、クッキー(Cookie)とは具体的に何を指すのでしょうか。
クッキー(Cookie)とは、ユーザーがWebサイト訪問時に入力したID・パスワードや、ECサイトでショッピングカートに入れた商品の情報、またはページの閲覧履歴といった、ブラウザ内の行動履歴・入力情報をテキストファイルとして一時的に保管する仕組みです。

これらの情報をブラウザ内に残しておくことで、ユーザーはサイトにアクセスする際にその都度同じ内容を入力せずに済みます。そして事業者は、各ユーザーの行動履歴をGoogleアナリティクスなどで確認することで、アクセス解析や広告のターゲティングを行うことができます。

クッキーは、ファーストパーティクッキー(1st Party Cookie)と、今回取り上げるサードパーティクッキー(3rd Party Cookie)に大別できます。

ファーストパーティクッキーとは、ユーザーが訪問したWebサイトの運営者(ドメイン)が発行するクッキーです
同一運営者であっても異なるドメイン間では利用できません。Webサイトへログインする際のID・パスワードの情報はファーストパーティクッキーに該当し、主に自社Webサイトでの用途に活用されます。

関連記事:Cookieとは?基本的な仕組みやメリット・デメリットを徹底解説!

一方サードパーティクッキーとは、訪問先のWebサイトとは異なる第三者(ドメイン)が発行するクッキーです。ターゲティング広告やWeb解析に用いられ、主にユーザーが訪問したWebサイト以外での用途に活用されます。

サードパーティクッキーの活用方法

サードパーティクッキーの用途は実にさまざまですが、具体的にどのようなものが挙げられるのでしょうか?

Web広告の効果測定

まず、GoogleやYahoo!などに代表されるWeb広告の効果測定に使われます。
広告運用において、各テキスト・画像広告の各数値(インプレッション数・クリック数・コンバージョン数)を見て数値解析を行う必要がありますが、この各数値はサードパーティクッキーを利用して訪問者の情報を獲得することで計測が可能です。

そのため、広告用LPや広告文、配信設定の改善はサードパーティクッキーを用いた数値計測ができない限り、難しいでしょう。

リターゲティング広告

リターゲティング広告とは、過去に自社サイトを訪問したユーザーに対して配信される広告です。
ユーザーの過去の閲覧履歴・購入履歴をもとに関心があると見込まれる商品・サービスの広告を表示させるため、コンバージョンにつながりやすく、費用対効果が高いメリットがあります

過去の閲覧履歴・購入履歴はサードパーティクッキーより情報を入手するため、サードパーティクッキーがなければリターゲティング広告を配信することはできません。

アトリビューション分析

アトリビューションは、コンバージョンへの”貢献度”を指す言葉です。
具体的にはユーザーが広告をクリックして商品・サービスを購入したとき、それまでユーザーが見た広告がコンバージョンにどれだけ貢献しているか、その度合いを指しています。

アトリビューション分析では、目的によって貢献度の割り振り方を変えており、その種類はさまざまです。例を挙げると、コンバージョン経路の終点にすべての貢献度を割り当てる「ラストクリックモデル」や、コンバージョンに近い接点ほど貢献度を割り振る「減衰モデル」などがありますが、このようなアトリビューション分析においても、ユーザーの行動履歴を取得する目的でサードパーティクッキーが用いられています。

アフィリエイト広告

アフィリエイト(成果報酬型)広告とは、商品の購入などあらかじめ設定した成果地点にユーザーがたどり着いたときに収益が生まれるタイプの広告です。たとえば、ブロガーが商品・サービスを自身のブログで紹介し、そのブログ経由で商品購入があった場合は、ブロガーに収益が入ります。そして事業者側は、サードパーティクッキーを用いて購入者がどのリンクを経由してコンバージョンに至ったかを把握します。

サードパーティクッキー規制による影響

サードパーティクッキーは多様な用途で用いられていますが、ユーザーの個人情報や閲覧履歴などプライバシーに関わる情報を保存しているため、言うなればユーザーの個人情報が第三者に漏れていることと同様です。
そのため近年では欧米諸国をはじめ、プライバシー・個人情報保護の観点からサードパーティクッキーを規制する動きが進んでいます

日本においても、2023年6月17日に施行された「電気通信事業法」の改正により、主にサードパーティクッキーが規制の対象になります。このサードパーティクッキー規制によって、いったいどのような影響が生まれるのでしょうか?

コンバージョンの計測が難しくなる

まず、商品・サービスの購入といったコンバージョンの計測が困難になります。
コンバージョンに至るまでの経路は、自然検索やターゲティング広告、他サイトからのリンクやSNSなどさまざまですが、このコンバージョン計測ではサードパーティクッキーに保存されている情報により、細かい経路を確認できました。

しかし、サードパーティクッキーの規制により、コンバージョンに至るまでのサイトアクセスの経路や、間接的に発生した成果(ビュースルーコンバージョン)が獲得できなくなるため、コンバージョン計測の精度が落ちてしまいます。

広告から直接Webサイトにアクセスしてそのままコンバージョンしない限り正しい数値を計測できないため、コンバージョン数増のための施策も打ちづらくなるでしょう。

リターゲティングの利用が難しくなる

同様にリターゲティング広告の配信も難しくなります。
リターゲティングはサードパーティクッキーに保管されたユーザーの行動履歴をもとに行うため、サードパーティクッキーが規制されてしまえば、ユーザーの行動・関心を追えなくなりリターゲティングができなくなります。今後はリターゲティング広告に代わる広告を配信するなどの施策を講じなければならなくなるでしょう。

ファーストパーティクッキーの利用機会の増加

このようにサードパーティクッキーは規制される方向ですが、ひとつのドメイン内で完結するファーストパーティクッキーは個人情報保護の対象となっておらず、当面制限されません。そのため、従来のサードパーティクッキーの代替として、ファーストパーティクッキーをアクセス解析などに利用する動きが広がっています。

サードパーティクッキー廃止までにやるべきこと

AppleのブラウザSafariを筆頭に、Google Chromeもサードパーティクッキーを2024年までに段階的に廃止することを発表しています。廃止時期が前後することはありますが、この流れは避けられないでしょう。

しかし、多くの企業は現在、サードパーティクッキーを利用したアクセス解析や広告出稿などを行っています。
直前になって慌てて対応策を検討することのないよう、完全に規制されてしまう前に以下のような対応を行うことをおすすめします

代替技術への理解を深める

サードパーティクッキーに代わる技術として、さまざまな分析技術が登場しています。

デバイスフィンガープリンティング

クッキーに保存されている情報に依存せず、ユーザーの使用しているデバイスのOSやブラウザ、そのバージョンやIPアドレスなどのデバイス特有の属性を掛け合わせてデバイスを同定する技術です。同じ属性のアクセスがあったときには同一のデバイスだと判断して追跡を行います。Google ChromeやFirefoxではすでにデバイスフィンガープリンティングを使ったユーザー特定を開始しており、今後は他のブラウザでもこの技術が採用されるでしょう。

OS独自の広告識別子(AAID・IDFA)

AAID(Google Advertising ID)・IDFA(Identifer For Advertising)はそれぞれiOS・Android OSの広告識別子です。
端末単位でユーザーの行動をトラッキングでき、その情報をもとに独自でターゲティング広告を配信できます。クッキーとは異なり、個人情報の特定はできないため、個人情報の保護規制に引っ掛かることもありません。

Topics API

Googleが開発した代替技術で、ある特定の個人が関心を持つであろうトピックをChromeが毎週5つ選定し、その情報の一部を広告配信に活用します。クッキーとは異なり、選定したトピックの情報は3週間で削除されるため、個人情報保護の観点からも安全性が担保されています。
クッキー廃止後にどのような技術が自社で利用できるか、将来的に規制の可能性があるかなど、代替となる技術についても理解を深めることが重要です。

ファーストパーティクッキーを利用する施策の検討

規制が敷かれていないファーストパーティクッキーを利用した施策を検討するという方法もあります。
各ベンダーからはファーストパーティクッキーを利用したデータ計測ツールなども提供されています。ファーストパーティクッキーはユーザー属性・関心を的確に把握できるため、今後のマーケティング施策には欠かせない存在となるでしょう

リピーターの獲得に力を入れる

サードパーティクッキーを必要としない広告を使ったマーケティング施策に注力するという選択肢もあります。
たとえば、新規顧客の獲得を重視する施策からリピーターを育成する方向性へのシフトが考えられます。

コンテンツマーケティングによるファン育成や、商品を購入してくれた顧客に対するサポート、クーポンや特別商品の提供などによりリピーターを育成すれば、安定した売り上げが見込める、ファンとして他のユーザーに商品・サービスの魅力を発信してもらえるなど、長期的な効果が期待できます。

まとめ

サードパーティクッキーはアクセス解析やリターゲティング広告などに活用されてきましたが、個人情報の保護の観点からサードパーティクッキーを規制する動きが強まっています。

事業者は「脱サードパーティクッキー」への転換が求められています。独自の対策を講じる際は、この記事で紹介した内容を参考にしてみてください。

弊社ではWebサイトの無料診断も行っております。
ご興味ある方は、下記からお問い合わせください。

お気軽にお問い合わせください

TEL:03-3269-6331

受付時間 9:00 -17:00(土・日・祝日除く)