近年、“デジタルシフト”が顕著になっており、Webを活用した集客の重要性を感じている方も多いのではないでしょうか。
実際、幅広い業界でWebでの集客に取り組むことは当たり前と言っても過言ではありません。
事業の拡大を推進する上でのマーケティング戦略の立案・策定は非常に重要な経営課題であり、デジタルシフトが進む現代市場において、マーケティング戦略を効率的に展開するためにはWeb集客への取り組みが欠かせません。
しかし、
「今までオフライン集客中心でWebは取り組んだことないからやり方がわからない」
「Web集客を始めたいけど、どんな手法があるのか知りたい」
「Web集客の成功するポイントって何だろう」
このような疑問を持つ方も多いかと思います。
そこで本記事では、Web集客のメリットやどんな手法があるのか、成功するための戦略はもちろん、何から始めればいいのか具体的な目安も詳しく解説します。
Web集客とは?メリットと特徴

Web集客とは、オンライン上のサービスを活用して潜在顧客や見込み顧客を獲得する集客方法です。例えば、リスティング広告を用いたECサイトへの誘導、オウンドメディアやSNSを活用したリードジェネレーションなどが代表的な手法として挙げられます。
中でもマーケティングにおいて新規顧客の獲得は最重要課題といっても過言ではありません。実際、最も高いコストを要するのが新規顧客の獲得です。新規顧客の獲得に要するコストは、既存顧客への販売と比較して5倍の費用が必要といわれており、マーケティングの領域ではこの法則を「1:5の法則」と呼びます。そして売り上げを拡大するためには「新規顧客の獲得」とあわせて「顧客単価の上昇」「リピート率の向上」が欠かせません。
Web集客のメリットとしては、基本的に紙や場所などの物理的な媒体を必要としないため、雑誌広告やマスメディアを活用した従来のマーケティング手法よりもコストを抑えた集客が可能です。
また、オンライン上のチャネルを活用することで時間や場所などに縛られることなく顧客接点を創出し、不特定多数の見込み顧客にアプローチができます。さらに集客の成果を数字で割り出せるため効果測定しやすいというメリットがあります。
現代はスマートフォンの普及に比例してインターネットの利用率が爆発的に増加しているため、マーケティング戦略を展開する上でWeb集客は必須の施策です。
主なWeb集客の方法8つと費用
総務省の「令和3年版 情報通信白書」によると2020年のインターネット利用率は83.4%であり、モバイル端末の世帯保有率は90%を超えています。
このような社会的背景の中で、自社のプロダクト(商品やサービス)に関心をもつ見込み顧客を集めるためには、Web集客への取り組みが不可欠です。
そこで、ここでは主なWeb集客の方法8つのご紹介とそれぞれの費用イメージについて解説します。
SEO対策

SEOとは、「Search Engine Optimization」の略称で、「検索エンジン最適化」という意味を持ちます。「Google」や「Yahoo!(Yahoo! Japan)」といった検索エンジンからの評価を高め、検索結果の上位に表示されることで集客する方法です。
SEOの一番のメリットは「無料で集客できる」ことです。正確に言うとコンテンツ作成費用や、自社でSEO対策を実施する場合は、相応の知識を備える人材の確保などは必要ですが、基本的には特別なシステムや広告費は不要なので、有益なコンテンツを作成しWebサイトで発信することで集客することができます。
また、出稿を止めると集客効果がなくなってしまう広告と違い「作ったコンテンツは資産になる」ので、有益なコンテンツを作成し発信できれば半永久的に集客が可能な点もメリットの1つと言えます。
MEO対策

MEOは、「Map Engine Optimization」の略称で、「Google マップ」で自社の情報を上位に表示させることを指します。
現代は消費者の購買行動に「インターネットによる情報検索」が加わっているため、店舗型のビジネスを展開する企業にとって非常に重要な施策です。
基本的な対策としては「Google ビジネス プロフィール」に店舗名や場所、営業時間などの情報を正確に入力し、簡易的なホームページのような感覚で、関連情報を常に最新に保つことが重要です。MEOを自社で実施する場合のコストはSEOとほぼ同様です。
関連記事:MEOとは?取り組むメリットやSEOとの違い、具体的な対策をご紹介!
リスティング広告

「リスティング広告」とは、検索キーワードに連動して表示されるインターネット広告のことで、検索エンジン上に広告が表示されるだけであれば無料であり、クリックされることで広告費用が発生します。
見込み顧客が検索窓に打ち込むキーワードを逆算的に分析することで、特定の需要をもつ購買意欲の高い見込み顧客を集められる点が大きなメリットです。広告費用はキーワードの競合性によって大きく異なり、一般的には1クリックあたり数十円~数百円程度ですが、BtoBのような母数が少ないような市場やBtoCでも競合性の高いキーワードは競争頻度が非常に高くなり、1クリックの単価が数千円かかることもあります。
広告費用を抑えながら、広告を上位表示させるためには、広告の品質を示す指標である「品質スコア」を高める必要があります。下記記事では、品質スコアに関して詳しく解説しているので、あわせてご覧ください。

ディスプレイ広告

ディスプレイ広告とは、広告枠のあるWebサイトやアプリケーションなどに掲載されるインターネット広告のことです。「Google広告」や「Yahoo!広告」などがディスプレイ広告のサービスを提供しており、テキストだけでなく画像や動画による広告出稿ができます。
リスティング広告が特定の見込み顧客に特化してアプローチするのに対し、ディスプレイ広告は幅広い層の潜在顧客に広くアプローチできる点が特徴です。課金方法はリスティング広告と同様の「クリック課金」と広告が表示された回数に応じて費用が発生する「インプレッション課金」があり、前者は1クリックあたり50~100円で、後者は数十〜数百円程度が相場となります。
リターゲティング・リマーケティング広告

リターゲティング広告とリマーケティング広告は、自社のオンラインチャネルに関わりがあるユーザーに配信されるインターネット広告です。
例えば、Webサイトの訪問履歴があるユーザーや、自社のアプリケーションをインストールしたユーザーに対して再訪問を促す広告を配信します。リターゲティング広告とリマーケティング広告のコストは、基本的にはディスプレイ広告とほぼ同様の仕組みで単価も同じくらいです。
メール配信

メール配信は、その名の通りEメールを用いてお役立ちコンテンツや新商品、キャンペーンなどの情報を届ける手法で、Web集客では主にメールマガジンを活用します。
メール内にWebサイトのURLを設置しておき、メールを見た人がURLをクリックすることでWebサイトへの集客につながります。
メールというのはビジネスシーンにおいて馴染み深いツールなので、メールを上手に活用できればWeb集客としても大きな効果を見込めます。
メールの費用は、会社PCのデフォルトで設定されているメーラーで送る場合は一つ一つ手作業でメール作成・送信する作業が発生しますが「無料」で実施できます。
もしメール配信ツールなどを使うのであれば、機能の差で費用感は変わりますが、ミニマムで月額5,000円~のツールもあり、開封率やクリック率の定量的な計測やステップメールなどといったメールマーケティングを実施したい場合は、月額30,000円前後で手軽に始められます。
プレスリリース

プレスリリースとは、報道機関に向けた発表や告知などの広報的な手法です。テレビや新聞などのマスメディアにプロダクトや新規事業の情報を提供し、自社に関する情報発信を依頼するのが一般的なプロセスです。
マスメディアという巨大な媒体の影響力を利用できるため、多くの企業が新商品の発売やイベントの開催時にプレスリリースを活用しています。このプレスリリースは「広告」と異なるため、基本的に媒体側から費用の請求はありません。
オンラインイベント(セミナー・展示会など)

オンラインイベントは、オンライン上のチャネルを通じて見込み顧客や顧客との関係性を深める集客方法です。
オフライン(リアル)だと、会場を用意してのイベント・展示会の開催は出展料や設営費などのコストを要しますが、オンライン上で完結するオンライン展示会や、オンデマンド配信やライブ配信を用いたウェビナーなら、物理的な距離や時間に影響されることなく顧客接点を創出できるため、オンラインイベントは費用を最小限に抑えられる点がメリットです。
また、これらオンラインイベントを開催する際の告知も、ホームページやブログ、SNSといったオウンドメディアを通じて発信することで、従来よりもコストを抑えた集客が可能になります。
Web集客で成功するための戦略【4STEP】

デジタル化の進展に伴って変化の加速する現代市場で競合他社との差別化を図り、競争優位性を確立するためにはWeb集客の仕組みが欠かせません。そして、戦略的なWeb集客の仕組みを整備するためには、以下に挙げる4つの施策を段階的に実施する必要があります。
ここでは、Web集客を成功へと導く4つのステップを紹介しますので、マーケティング戦略を立案・策定する際の参考にしてください。
STEP1:目標・目的を設定する
Web集客を成功させるためには目標や目的の明確化が欠かせません。
Web集客を実施する主な目的として「見込み顧客の獲得」「売上高の増加」「認知度の向上」「コミュニティの形成」「潜在顧客のファン化」などが挙げられますが、目指すゴールによってそれぞれ必要な施策は異なります。
そのため、Web上での具体的な戦略や施策の方向性を定めるためには、経営ビジョンや事業目標に基づくWeb集客の目標・目的を定義しなくてはなりません。
例えば、保湿クリームや美容液などの基礎化粧品を販売している場合、ECサイトに商品を掲載するだけでは売上の増加は期待できません。現代社会は市場の成熟化に伴って商品やサービスが飽和状態にあり、消費傾向が物理的な価値を重視する「モノ消費」から、精神的な価値を求める「コト消費」へと遷移しています。
したがって、ECで基礎化粧品を売り込むだけではなく、お肌の悩みを解決する有益なコンテンツをオウンドメディアによって発信し、ファン化を促進することで購買意欲の醸成や売上の増加につながる可能性が高まります。
STEP2:ターゲットを決める
集客したいターゲットの属性を見誤ると、どれだけ優れた商品やサービスを提供しても購買意欲の醸成、成約にはつながりません。
基本的に見込み顧客には「Oblivious(無知)」「Apathetic(無関心)」「Thinking(関心)」「Hurting(悩み)」という4段階の問題意識レベルが存在します。
- Oblivious(無知)・・・問題そのものに気付いていない状態
- Apathetic(無関心)・・・問題を意識しながらも解決の意思がない状態
- Thinking(関心)・・・解決策を考えている状態
- Hurting(悩み)・・・問題を早急に解決したいと悩んでいる状態
これは「OATHの法則」と呼ばれるフレームワークで、見込み顧客の問題意識レベルによって必要なアプローチが異なることを意味します。
例えば、スキンケアに関心がない「Oblivious(無知)」や「Apathetic(無関心)」の見込み顧客に化粧水をセールスしても成約につなげるのは困難ですが、肌荒れに悩む「Thinking(関心)」や「Hurting(悩み)」のターゲットであれば購買に至る可能性が大幅に向上します。
こうしたフレームワークを用いてターゲットの属性を明確化し、自社が提供する付加価値と見込み顧客のニーズが交わるポイントを理解した上で、Web集客の方向性を定義することが大切です。
STEP3:カスタマージャーニーマップを作成する
「カスタマージャーニー(customer journey)」は「顧客の旅」と和訳される用語であり、プロダクトの認知から購買に至るまでのプロセスのことです。そして、顧客が商品やサービスを認知し、そこから購買行動に至るまでの道筋を可視化した図表を「カスタマージャーニーマップ」と呼びます。
具体的には、どのチャネルで自社のプロダクトと見込み顧客が接点を創出し、どのような商品やサービスに関心を抱き、どんなルートで購入や契約に至るのかを時系列順に整理するために用いられる図表です。
前述したように、現代は市場の成熟化とともに消費傾向が「モノ消費」から「コト消費」へ遷移していく傾向にあるため、その中で性能や価格などの機能的価値に基づく訴求では購買意欲の醸成は困難であり、差別化を図るためには感覚的価値や情緒的価値といった“体験価値”の提供が必要です。
その体験価値を実現するには、見込み顧客の潜在需要や購買心理、消費行動などを俯瞰(ふかん)的に分析が必要不可欠で、だからこそカスタマージャーニーマップの作成が必要であり、これにより自社のビジネスモデルに最適化された顧客体験の設計につながります。
STEP4:集客後の仕組みを考える
Web集客にはSEOの推進やインターネット広告の戦略的活用、SNSを用いた情報発信といったさまざまな施策が存在します。こうした施策の実施によって集客率を向上しても、商品購入や会員登録などといった成果(コンバージョン)に至らなければ意味がありません。
Web集客の本質的な目的は「収益性の最大化」であり、あくまでも「見込み顧客の獲得」はそのための手段です。したがって、Web上のチャネルを通じて獲得した見込み顧客を顧客化する導線を設計しなくてはなりません。
具体的な方法としては、マーケティング活動の効率化・自動化を支援する「MAツール」の導入、または獲得した見込み顧客のファン化を促す「ホワイトペーパーの提供」といった施策が考えられます。
その他にも、Webサイトを訪問したユーザーをコンバージョンにつなげる「サイトの導線設計」や、会員登録や資料請求などの入力フォームを最適化する「EFO(Entry Form Optimization)」などを実施し、集客後のコンバージョン率を最大化する仕組みを構築する必要があります。
Web集客は何から始めればいいか?
結論を言うと、「目的によって変わるので一概に言えない」です。
しかし、目安となる“軸”は存在するので、ここでは3つケースをご紹介します。
ケース①:短期的に売上をUPしたい
Web集客で短期的に売上をUPしたい場合は、有料の
- リスティング広告
- リターゲティング広告/リマーケティング広告
が最適です。
上記施策は「課題(ニーズ)が顕在化している=売上に近いフェーズの見込み顧客を集客できるから」です。
課題が顕在化しているということは、悩み度合いが高く課題解決の方法を探している可能性が高いので、Web上で検索した見込み顧客に対して広告で自社サービスを見つけてもらい、ニーズがマッチすれば短期的な売上に繋げることができるでしょう。
リスティング広告を例に挙げると、自社ECでビタミンサプリを販売していたとします。そこで「ビタミンCサプリ オススメ」と検索した人に広告を出すことができればビタミンCサプリの購入を考えている見込み顧客に自社の商品をリーチすることができるので、購入による売上UPに繋がる可能性が高くなる というイメージです。
ケース②:潜在顧客を集客したい(認知拡大をしたい)
潜在顧客を集客したい場合は、
- SEO対策
- オンラインイベント
- ディスプレイ広告
が向いています。
上記施策は「まだ課題が顕在化していない見込み顧客にアプローチできる」ため、効率的な潜在顧客の集客を期待できます。
そもそも潜在顧客というのは、自社や自社商品・サービスを知らない顧客層であり、 「課題(ニーズ)が顕在化している見込み顧客に比べ母数が非常に多い」「今すぐお客様にならないだけで”未来のお客様”になりうる可能性がある」という特徴があるため、上記施策によって潜在顧客を集客しておく必要性があります。
潜在顧客のWeb集客の例として、「金属部品メーカー(BtoB)」の場合でご紹介すると
- SEO対策では「フランジナットとは?」や「ネジ・ボルト・ビスの違いとは?」などのコンテンツをWebサイトで公開
- ディスプレイ広告ではバナー画像に「技術者向け用語集ハンドブック」という資料を用意し広告配信
- オンラインイベントでは「製造業特化のオンライン展示会」への出展
などがよいでしょう。
また、潜在顧客はすぐに売上に繋がる顧客層ではないので、“育成”が必要不可欠となります。 潜在顧客を集客および、顧客情報(リード)を取得できたあとはそのまま放置せずに育成をしていきましょう。
育成に関しては「リードナーチャリングとは?メリットや代表的な手法も解説!」の記事でも手法も解説しているので、合わせてご覧ください。
ケース③:自社のファンを醸成したい
自社のファンを醸成したい場合は、
- SNS
が最適です。
SNSは「1対1のコミュニケーションができる」という強みがあるため、ファンを醸成するにはうってつけのWeb集客の方法です。
例えば製菓のブランド(BtoC)では、自社商品の発信や定期的なユーザーとのコミュニケーションの他に、
- 「ユーザー参加型キャンペーン」
- 「自社商品を使ったアレンジレシピ」
など、ユーザーとのコミュニケーション促進施策や自社商品の魅力がより伝わるようなお役立ちコンテンツも発信できると自社のファンの醸成につなげることができます。
また、今ではSNSは日常の一部にまで浸透しているので、SNSの運用次第では「他のWeb集客の手法では接点の持てない見込み顧客」 「将来的に決済権の持つ若手層の見込み顧客」の集客も可能です。
このように、“とりあえずWeb集客”をするのではなく、目的によって最適なWeb集客の手法が変わるので、上記の例を参考にして自社の目的に合わせたWeb集客の手法を選ぶよう意識するとよいでしょう。
まとめ
Web集客とは、オンライン上のチャネルを戦略的に活用する集客方法です。事業活動において新規顧客の獲得は非常に重要な課題であり、デジタル化が進む現代市場でビジネスを拡大するためには、Web集客への取り組みを始めていくことが大切です。
だからと言って、やみくもにWeb集客を実施するのではなく、Web集客で達成したい目的や目標を定めるプランニング部分からから始め、その目的に応じた自社の状況に最適な手法を選ぶとWeb集客の効果が最大限に発揮されるでしょう。
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