パーソナライズとは?カスタマイズとの違いやマーケティングでの活用方法について解説!

パーソナライズとは?カスタマイズとの違いやマーケティングでの活用方法について解説!
2022年8月24日
マーケティング

多様化がますます進む現代において、効果的なマーケティング方法を取り入れることは、大切な要素の1つです。昨今、このマーケティング手法の1つであるパーソナライズが注目されています。

本記事では、パーソナライズの詳細について、重視される理由やメリット、デメリット、活用方法、事例を詳しく解説いたします。

パーソナライズとは?

パーソナライズの意味

一人の「人」を意味するpersonを語源としており、それぞれに合わせて最適な形に変更することを「パーソナライズ」といいます。

主にマーケティングにおいて、顧客が持っている属性や趣味嗜好、あるいは興味、行動といったものに合わせたぴったりのサービスや情報を提供することを指します。

パーソナライズを行い、一人ひとりの顧客に注目し、最適なアクションを選ぶことができれば、より効率的・効果的なマーケティングを実現することが可能です。

パーソナライズは、マーケティングのために最適な情報を提供する側が選ぶ点がポイントです。

一方で似た言葉に「カスタマイズ」がありますが、こちらは顧客自身が自分の求める形や好むように設定を変えられる点で異なっています。

■パーソナライズの意味

パーソナライズ
→それぞれに合わせて最適な形に変更すること

マーケティングにおけるパーソナライズ
→顧客が持っている属性や趣味嗜好、あるいは興味、行動といったものに合わせたぴったりのサービスや情報を提供すること

混在しがちな「カスタマイズ」と「レコメンド」の違い

マーケティングにおけるパーソナライズは、顧客一人ひとりの属性や嗜好、行動データに基づいて最適なサービスや情報を提供することを意味しますが、類似の概念である「カスタマイズ」や「レコメンド」とは異なる点があります。

それぞれの違いについて詳しく見ていきましょう。

カスタマイズとの違い

カスタマイズとは、顧客自身が自分の好みやニーズに合わせて商品やサービスを変更・設定することを指します。
例えば、自動車のカタログから色やオプションを自由に選べる場合や、Tシャツのデザインをカスタマイズできるオンラインショップがこれに該当します。

パーソナライズは、提供側が顧客のデータに基づいて最適なサービスや情報を供給する点が異なります。
パーソナライズは主に顧客の行動履歴や属性情報を分析し、その結果に基づいて個別の情報提供を行うプロアクティブなアプローチです。

具体例として、Eコマースサイトでの利用が挙げられます。顧客が以前に見た商品や購入した商品に基づいて、その顧客に最適な商品をホームページに表示するのがパーソナライズです。

レコメンドとの違い

レコメンドは、顧客の過去の行動や好みに基づいて、関連する商品やコンテンツを提案することを指します。レコメンドエンジンはアルゴリズムを用いて顧客が興味を持ちそうなアイテムを自動的に表示します。

パーソナライズとレコメンドは似ている部分もありますが、パーソナライズはより広範で包括的な概念です。
パーソナライズは、レコメンドに留まらず、メールキャンペーンやウェブサイトのコンテンツ、広告表示など、顧客体験を全面的に最適化することを目指します。

具体例として、Spotifyの楽曲レコメンデーションは、ユーザーが過去に聴いた音楽に基づいて新しいトラックを提案するレコメンドの一例です。しかし、Spotifyがユーザーのライフスタイルや特定の利用シーン(例えば、ワークアウトやリラックス)に基づいてプレイリストを提案する場合、それはより全面的なパーソナライズの一環といえます。

以上のように、カスタマイズとレコメンドはパーソナライズと密接に関連していますが、それぞれ異なるアプローチと目的を持っています。

パーソナライズはこれらの概念を包括し、最適な顧客体験を提供するための総合的な戦略として活用されています。

「BtoB」と「BtoC」それぞれのパーソナライズ

・BtoCのパーソナライズ

個人向けであるBtoCでは、「ECサイトでのおすすめ商品表示」や、「サブスク音楽配信サービスでおすすめの音楽表示」などで活用されています。

過去の購買履歴やサービス利用履歴を参考に、サービスを継続、もしくは今まで以上に利用してもらうための施策として使われることが多いです。

・BtoBのパーソナライズ

企業向けであるBtoBはBtoCと違い、購入までの検討期間が長く、複数のフェーズを経て購入に至るという特徴があります。そのため、その検討期間にどのような顧客接点をつくれるかが、最終的に自社の製品・サービスを購入してもらえるかどうかに大きく関わります。

上記のような特徴を持つBtoBでは、検討フェーズごとに顧客をセグメントし、そのセグメントが必要としている情報を求めているタイミングで提供することで、競合との差別化や受注確率をアップさせるといった活用方法でパーソナライズが使われています。

例)
フェーズ:課題解決のための情報収集 → 課題解決のヒントになるお役立ちコラムを発信
フェーズ:社内で複数サービスを比較・検討 → 費用対効果のシミュレーションを送付

現代マーケティングでパーソナライズが重視される理由

消費者のニーズが多様化してきている現代において、この流れはますます加速していくことが予測されています。そんななか、マーケティングの手法としてパーソナライズがとても重視されています。

これからの時代を生き延びていくためのマーケティング手法として、パーソナライズが重視される大きな理由について、3つ見ていきましょう。

マスマーケティングの衰退

20世紀に主流とされてきたマスマーケティングは、現在では衰退してしまいました。消費者のニーズが多様化した今、同じものを大量に生産しても、かつてのように大量に消費することが難しくなっています。

マスマーケティングによる大きな成功例の1つとして、コカ・コーラが挙げられます。世界中に向けた万人を対象としたマーケティング手法が大成功し、現在では知らない人はいないといってもよいほどの認知度を誇ります。

しかし、それはあくまでも過去の話であり、現在ではこの手法だけではあまり効果的とはいえません。顧客が求めるものが多様化していくなかでは、テレビCMや新聞の広告といった不特定多数向けのマスマーケティングよりも、それぞれに合わせた最適なパーソナライズのほうが効果的なのです。

ネットの普及による情報収集方法の変化

現在では、ほとんどといってもいいほどに多くの人がスマートフォンを所持しています。これは、ほとんどの人が手軽にインターネットを利用できるともいえます。人々が何を求めてインターネットを利用しているのか、その行動データを解析することで、今の時代に顧客が求めているものが具体的に見えてきます

特に、現在ではAIの技術が発展したこともあり、情報収集に加えて分析方法も発展しました。どこに住んでいて何をしている何歳の人が、この時間帯に何を調べているか、こういった情報を大量に集めて分析することが、今後の効果的なマーケティングにつながってくるのです。

既存顧客の維持・育成の重要性が増した

日本では特に、少子高齢化が進んでいます。人口が減っていくことを考えれば、新しい顧客の獲得は必然的に難しくなってしまいます。そのため、既存顧客をいかにして維持、そして育成していくかが重要になっているのです。

既存顧客の維持や育成のためには、パーソナライズが最適です。一度顧客がついたとしても、最適なアプローチを継続していなければ、簡単に離れてしまいます。だからこそ、一人ひとりの顧客に注目、最適な情報提供を行って企業やサービスとの結びつきを強化することが大切です。

パーソナライズのメリット

マーケティングの手法としてパーソナライズを活用するメリットについて、細かく見ていきましょう。

高いコンバージョン率が期待できる

パーソナライズを行うことで、顧客が必要としている商品・サービスやその関連情報を提供することができます。

精度の高いパーソナライズ施策を実施できれば、「顧客が確実に必要としている・興味がある提案」をお届けできるため、興味を惹ける可能性が高くなり、結果的に高いコンバージョン率が期待できます。

例)新しくパソコンを購入した顧客に対し、キーボードやマウス、そのほか関連商品を提案

ユーザーのニーズに応えられる

パーソナライズを活用することで、ユーザーそれぞれの過去の行動履歴や購入履歴、閲覧情報、個人の嗜好などを分析し、まさにそのユーザーが今求めている情報や商品をタイムリーに提供することが可能です。

ユーザーは自身の求めている情報や商品をスムーズに見つけることができ、ストレスなく購買活動を行うことができます。

例えば、過去に特定のブランドの化粧品を購入したユーザーに対し、同ブランドの新商品や関連商品を提案することで、ユーザーの興味を引き続け購入意欲を高めることができます。

効率的なマーケティング施策ができる

パーソナライズによるマーケティングは、限られたリソースを有効に活用し、効率的な施策を実現するための鍵となります。具体的には、顧客データを分析して各ユーザーのニーズや行動パターンを把握し、その情報を基にしてターゲットを絞り込むことが可能です。

これにより無差別に広範な層にアプローチするのではなく、興味や購買意欲が高い特定のユーザーに対して、ピンポイントで適切な情報を提供できる初期投資が大幅に削減されます。加えて、広告予算や労働リソースの有効性も大きく向上します。

顧客と良好な関係を構築できる

既存顧客の維持や育成が大切になるこれからのマーケティングにおいて、顧客と良好な関係を構築できることは、パーソナライズの大きなメリットの1つです。

パーソナライズをうまく駆使することで、顧客一人ひとりに対して最適なコミュニケーションが可能になり、「自分のことをよく理解してくれている」という印象を顧客に与えることができます。

こういったコミュニケーションを継続して実施していくことが、良好な関係の構築につながっていきます。

例)毎年の誕生日にお祝いDMと限定クーポンを配布

サービス解約や休眠化を防止できる

パーソナライズをうまく活用することができれば、サービスの解約や顧客の休眠化を防止することも可能です。

例えばサブスクリプションサービスの場合、最終サービス利用日・サービス利用頻度などから各ユーザーの「解約される可能性が高いタイミング」を導き出し、そのタイミングの前にサービスを再び使ってもらうような施策を実施することで、解約の可能性を下げることができます。

上記のような「○:毎日サービスを利用している」、「△:サービス利用が停滞している」、「×:解約が近い」などといったユーザーのステータスに合わせたパーソナライズ施策は、解約の防止やLTVの向上などにおいて非常に有効です。

例)過去の傾向から導き出した解約されやすいタイミングに、特別なプロモーションを実施

パーソナライズのデメリット

パーソナライズには、これからの時代に最適なマーケティング手法としてのメリットがある一方で、デメリットも存在します。

それぞれ、詳しく見ていきましょう。

顧客情報を正確に取得する必要がある

顧客一人ひとりが求めているものを分析するためには、まずは顧客の情報を取得しなければ始まりません。より正確に分析するためには、多くの情報を取得し、そこから必要なものを抽出する必要があります。

また、取得した情報がどのような場合でも信頼できるとは限りません。得られた情報から分析したのだからと偏った提供をし続けると、顧客から見た際に選択肢を狭められていると受け取られる可能性があります。

“今”求められている情報を予測する必要がある

パーソナライズでは、得られた情報に基づいて、顧客が“今”何を求めているかを予測することが必要です。

生活様式やライフステージの変化、感情の変化によって顧客の求めているものは日々変化していきます。これらの変化を無視して情報提供やサービス提供を続けてしまうと、ユーザーのニーズと提供サービスのミスマッチが発生してしまう恐れがあります。

よって、可能な限り顧客の変化を把握し、最新のニーズを導き出すことが大切です。

さまざまなパターンのコンテンツが必要

顧客の多様化するニーズを分析したところで、それに応えられるような商品やサービスを提供できなければ、意味がありません。企業として提供している商品数やコンテンツ数が限られている場合、パーソナライズによる効果は少なくなってしまうでしょう。

パーソナライズの活用方法と事例

ここからは、実際に採用されているパーソナライズの活用方法について、具体的な事例と合わせてご紹介いたします。

パーソナライズ広告

まずは、多くの企業が活用しているパーソナライズ広告について、見ていきましょう。

パーソナライズ広告とは?

ユーザーの検索履歴や閲覧履歴といった情報から、最適な広告を表示するのがパーソナライズ広告です。ユーザーにとっても、興味のない無関係なものではなく、今自分にとって興味がある広告が表示されるため、必要なものが得られるメリットがあります。

特に代表的なのが、Web広告やSNS広告で、GoogleやX(旧Twitter)、Amazonなどの媒体で多くの企業が採用しています。

パーソナライズによってターゲットを限定することで、WebサイトやX(旧Twitter)のタイムライン、Amazonのサイト内などに、ユーザーが求めているであろう情報をピンポイントで提供できます。

パーソナライズメール

続いて、パーソナライズをメールに応用した活用方法について見ていきましょう。

パーソナライズメールとは?

ユーザーの属性や興味、購入履歴といった情報に基づいて、最適なタイミングで必要となるであろう情報をメールで提供するのがパーソナライズメールです。メールによるアプローチは送信する回数も重要で、ユーザーに合わせて最適な方法を考案できます。

必要なタイミングで求めているであろう情報を提供することで、メールの開封率やコンバージョン率の向上が期待できます。

パーソナライズメールを効率的・効果的に運用できるツール
「マーケティングオートメーション(MA)」についてこちらで解説しています!

パーソナライズメールの事例

セレクトショップであるAnthropologieは、パーソナライズを上手く活用し、最適な形でメールを送信しています。

例えば、このサイトにアカウント登録をしたうえでネックレスについて検索してみると、ジュエリー全般に関するメールが送信されてきます。このように顧客が検索した商品、すなわち興味のある商品に関連するメールをパーソナライズで送り分けています

商品の購入を促すことに加えて、ピンポイントにネックレスの情報を送るのではなく、ジュエリー全般について紹介することで押し付けがましいイメージをもたれないようにしています。

パーソナライズDM

パーソナライズDMについて見ていきましょう。

パーソナライズDMとは?

パーソナライズDMは、顧客データベースやWeb行動履歴情報を基にその顧客にマッチした内容のDMを送るマーケティング手法です。

パーソナライズDMは「顧客一人ひとりに合わせた内容のDM」なので、パーソナライズされたDMは通常のDMに比べ訴求力が高いというデータが出ています。また、インターネットを中心に情報収集や比較検討をしているユーザーに対して、パーソナライズDMを送ることで行動喚起を促すことも期待できます。

パーソナライズ開封意向について

一般的な DM と比べて「パーソナライズされたタイプの方」を開封・閲読してみたいと答えたのは、「開封意向あり計 44.5%、意向なし計 19.0%」となり、全体的にはパーソナライズされたタイプのDMの方が訴求力が高いという傾向が見られた。

「DMメディア実態調査2023」(一般社団法人日本ダイレクトメール協会)
https://www.jdma.or.jp/upload/research/20-2024-000048.pdf

DMの効果を上げる方法については「DMの開封率や閲覧率を上げる方法とは?」でも詳しく解説しています!

パーソナライズDMの事例

国内のメガネ販売店として広く認知されているメガネスーパーは、パーソナライズDMを活用した成功事例の1つでもあります。

メガネスーパーでは、接客を担当したスタッフの顔写真をDMに掲載したり、過去の傾向から再購入の可能性が高いタイミングにDMを送付したりと、顧客一人ひとりに対し、最適なタイミング・効果的な内容にパーソナライズされたDMの送付を実施しました。

実際に、DMを送ることで多くの再来店につなげています。

パーソナライズDMに興味のある方は、データ連動で「送付タイミング」と「メッセージ」をパーソナライズ化するDMサービス「スマートプレス・ダイレクト」のサービス資料をぜひご覧ください!

【サービス資料】研文社のスマートプレス・ダイレクト
「スマートプレス・ダイレクト」のサービス紹介資料です。 データ連動による紙DM自動運用プラットフォームによりお客様にHOTなタイミングでパーソナルな情報を最短2…
www.kenbunsya.jp

パーソナライズ動画

4つ目に、保険会社で多く採用されているパーソナライズ動画について紹介します。

パーソナライズ動画とは?

ユーザー一人ひとりに対して、必要としているであろう内容を動画に取り入れるパーソナライズを活用したマーケティング手法です。本来、動画は誰が見ても同じものが再生されますが、パーソナライズ動画ではパーソナライズによってユーザーに最適な内容が表示されます。

パーソナライズ動画の事例

パーソナライズ動画と極めて相性がよいのが、保険会社です。マニュライフ生命保険では、顧客一人ひとりに合わせたご契約内容の説明のために、パーソナライズ動画を活用しています。

顧客一人ひとりに対して必要となる情報を動画で分かりやすく説明することで、より興味を持ってもらいやすくしています。

まとめ

パーソナライズを活用した顧客一人ひとりに注目したマーケティング手法は、これからの時代にますます重要とされます。広告やメール、DM、動画といったように、パーソナライズを活用したマーケティングの手法も多岐にわたります。時代の流れに合わせて変化する消費者のニーズに合わせて、企業に最適なマーケティング手法を考案しましょう。

メールマガジンで「マーケティング」に関するお役立ち情報を定期的にお届けしています!

▼メルマガ無料購読はこちらから!

お気軽にお問い合わせください

TEL:03-3269-6331

受付時間 9:00 -17:00(土・日・祝日除く)