インターネットが広く普及した現代においても、チラシやパンフレット、マニュアル、カタログなどといった紙媒体の需要は未だ高くあります。
これら紙媒体を作成する場合、印刷会社のほかに、オンライン上でやり取りをしたうえで発注が行えるネット印刷に依頼するケースも考えられます。
しかし、
「ネット印刷って便利なイメージがあるけどデメリットってあるの?」
「ネット印刷は安いって聞くけどなんで安いのか知りたい」
「自分は印刷会社とネット印刷どっちを選べばいいのかわからない」
このような疑問があるのではないでしょうか。
そこで本記事では、創業75年を越える総合印刷会社である弊社が、ネット印刷のメリットやデメリット、安さの理由、ネット印刷と印刷会社のどちらを選べばいいのかの目安について詳しく解説いたします。
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ネット印刷のメリット
まずは、ネット印刷のメリットについて詳しく見ていきましょう。ネット印刷には大きく分けて4つのメリットが存在します。
コストが安い
ネット印刷を活用する最大のメリットともいえるのが、コスト面の安さです。通常の印刷会社と比べると人件費を削減できる都合上、3割から半分ほどの価格で印刷を依頼できます。
24時間対応している
多くのネット印刷が24時間の発注依頼に対応しています。
どのような時間帯でも即時印刷作業に入れるとは限りませんが、業者によっては発注してから翌日には印刷そして発送までしてもらうことが可能です。
料金がすぐわかる
印刷会社を利用する場合、発注する前に見積もりを作成してもらう必要があります。
一方ネット印刷であれば、すべてのやり取りはオンライン上で完結でき、必要な情報を申し込みフォームなどに入力するだけで、かかる費用を速やかに確認できます。
時間を取られない
ネット印刷であれば、すべてのやり取りをオンライン上で行うため、通常の印刷会社に依頼するよりも時間が取られません。
印刷したいデータと完成後の仕様を伝え、かかる費用と納期にさえ納得できれば、あとはすべて業者に任せられます。
ネット印刷のデメリット
ネット印刷にはコスト面や手軽さなどで優れている反面、覚えておきたいデメリットも存在します。両方の面を理解したうえで、効果的に活用することが大切です。
サンプル作成や事前に仕上がりが確認できない
ネット印刷の場合、発注してからあとは完成したものが届くだけとなります。データ上での印象と実際に仕上がったものの雰囲気が必ずしも合致しないのは、印刷物の難しいところです。
発色具合や紙の触り心地など、これらが完成前に確認できないのはネット印刷のネックとなるでしょう。
色の再現度が高くない
業者に印刷を依頼したい方にとっては、完成品の色の再現度が気になる場合もあるでしょう。そのような色の再現度を意識する場合、あまりネット印刷はおすすめできません。
オンライン上でのやり取りに加え、実物は宅配便で送ることになるため、依頼者の意見をより正確に完成品へ取り入れるには多くの手間と時間を要するためです。
特殊加工(特殊印刷)に対応できない
ネット印刷では、業者によって大切にしている部分が異なります。
例えば“コスト面や納期の速さをウリにしている業者”の場合、基本的にはクオリティ面や細かな仕様、特殊加工といった部分には対応していない場合があります。
中には特殊加工も対応しているネット印刷もありますが、依頼者が思うような特殊加工になるかは別です。
細かい要望に対応できない
ネット印刷では、業者とのやり取りをオンライン上で行います。場所に縛られることがない点では優れていますが、最終的に完成した印刷物のやり取りがある都合上、どうしても細かい要望には対応できないのがデメリットです。
ネット印刷が安い3つの理由
ネット印刷と通常の印刷会社と比較すると驚くほどに価格が安い場合が往々にしてありますが、その安さにはちゃんとした理由があります。
ここではネット印刷が安い3つの理由を解説していきます。
営業の人件費がかからないから
ネット印刷は、通常の印刷会社と比べると営業の人件費がかなり抑えられているのがポイントです。
通常の印刷会社の場合、発注者とのやり取りのために業者が直接動く必要がありますが、ネット印刷の場合は、発注者とのやり取りは申し込みフォームなどから始まり、ほとんどがメールや電話で完結します。
また、機材のデジタル化も進み、印刷するために多くの人件費を必要としなくなった点もコスト削減に繋がっています。
類似商品をまとめて印刷しているから
ネット印刷では、複数の発注者からの依頼に対し、類似した商品をまとめて印刷=他の案件を同時に印刷することでコスト削減を実現しています。印刷費をシェアするようなイメージでしょうか。
これは、少ない量の発注に対してそれぞれ細かく対応していると、その分印刷機を稼働させなければならないため手間やコストがかかってしまうためです。
このことは納期にも影響しており、納期が伸びるほど他の発注者が類似した商品を依頼していることが増え、価格を下げることが可能な傾向があります。
提携印刷会社で印刷しているから
ネット印刷では、承ったすべての依頼を自社のみで対応しているわけではありません。
提携している印刷会社に印刷を依頼しているケースもあり、比較的発注数が少ない業者と提携を結ぶことで、印刷費を抑えることが実現できています。
ネット印刷と印刷会社の違い
これまで紹介してきた内容を踏まえ、ネット印刷と印刷会社の違いについては以下の通りです。
ネット印刷は、オンライン上でのやり取りを中心としており、何といってもコスト面の安さや24時間対応が大きな魅力です。
一方で、クオリティよりも大量発注に重きを置いている分、デザインや材質の決定など、業者側に柔軟性が少ない点において印刷会社と異なります。
印刷会社の場合、営業担当者と直接相談などのやり取りをして印刷物のデザインなど企画の段階から制作します。これまで多くの印刷物を手がけてきたからこそ、適切なアドバイスをもらえるでしょう。
ただし、サポートが手厚い分、どうしても価格がかかってしまうのがネックになりますが、よりよいものを作ろうとすれば、それだけ時間もかかってしまいます。
ネット印刷と印刷会社どちらを選べばいいのかの目安
ここまででネット印刷のメリットとデメリット、印刷会社との違いなどはご理解いただけたかと思います。
それらを踏まえたうえで「ネット印刷がいいケース」「印刷会社がいいケース」をそれぞれ3つずつご紹介するので、自社に適しているのはどちらかわからないときの判断基準にしてみてください。
ネット印刷がいいケース①:とにかくコストを抑えたい場合
兎にも角にも印刷物の作成にかかるコストを抑えたいのであれば、ネット印刷がおすすめです。印刷会社と比べて3割から半分ほどで大量に発注できるのはネット印刷ならではでしょう。
ネット印刷がいいケース②:営業の人からの提案・対応が不要な場合
チラシやフライヤーなど、すでに印刷物のデザインが完成していてあとはもう印刷のみなのであれば、ネット印刷がおすすめです。
ネット印刷では、オンライン上で印刷したいデータを送り、納期と価格を確認するだけで発注できます。
ネット印刷がいいケース③:必要最低限のクオリティのモノを短納期で欲しい場合
ネット印刷は低価格で大量に、かつ短納期での発注・納品が可能です。その分クオリティ面は最低限のモノになりますが、需要に合致しているのであれば、間違いなくネット印刷が最適となるでしょう。
印刷会社がいいケース①:初めて作る印刷物がある場合
通常の印刷会社では、営業担当者と相談しながら企画の段階から印刷物を制作できるため、初めて手がけるタイプの印刷物でも失敗しにくくなります。
印刷物というものは“オーダーメイド要素が強い”からこそ、プロからの意見があったほうが心強く感じられるでしょう。
印刷会社がいいケース②:印刷物の質を重視したい場合
印刷会社は、営業担当者と直接会って打ち合わせを重ねたうえで、依頼者が望む理想を最大限に実現すべく努めてもらえます。
特に印刷物のクオリティ面を大事にするのであれば、ノウハウが蓄積されている印刷会社に相談することで思い描く印刷物を作ることが出来る近道となるので、質を重視したい場合は印刷会社に依頼するようにしましょう。
印刷会社がいいケース③:特殊加工の印刷物を作る場合
印刷会社に依頼すべき理由としては、特殊加工の施された印刷物は“表現”がとても重要であり、依頼側が想像しているような表現ができているかという点を、制作の過程で実際にクオリティを確認・相談することで満足のいく仕上がりにできるためです。
特殊加工については、「特殊印刷とは?紙媒体の差別化に最適な特殊印刷の種類やオススメを解説します!」でも解説している通り、箔押しやホログラム箔押し、ニス厚盛、デボス、エンボスなどといったものがありますが、専門的に扱っている印刷会社だからこそ細やかな部分まで対応してもらえる場合がほとんどです。
先述でもお伝えした通り、ネット印刷の中にはある程度の特殊加工なら対応してもらえるネット印刷もありますが、特殊印刷ならではの表現の難しさ・繊細さがあるため、特殊加工の印刷物を作る場合は印刷会社に依頼することをおすすめします。
まとめ:大事なのは使い分けること
ネット印刷には「コストの安さ」・「時間がとられない」など多くのメリットがありますが、「サンプル作成や事前に仕上がりが確認できない」・「細やかな対応ができない」などの覚えておきたいデメリットもあります。
一方で通常の印刷会社には、ネット印刷と対になるようなメリットとデメリットがありましたね。
そうなったときに大事なことは「使い分けること」です。
例えば、
- 最低限のクオリティでコストを抑えて大量発注をしたいのであれば「ネット印刷」
- コストをある程度かけてでも高いクオリティを目指したいのであれば「印刷会社」
といったように、必要に応じて使い分けることが大切です。
このように、印刷物によって使い分けることが理想的な印刷物を作成でき、効果や役割を果たしてくれる近道となります。
もし、「自社はネット印刷より印刷会社がいい!」となった方は、次は“どんな印刷会社を選べばいいのか?”という疑問が出てくると思うので、もし印刷会社の選び方がわからない方は、以下の無料ダウンロード資料「印刷会社を選ぶときの7つのポイント」もぜひご覧になってみてください。