知ると意外と面白い!印刷物ができあがるまでの工程を、ウラばなしもまじえてご紹介!

知ると意外と面白い!印刷物ができあがるまでの工程を、ウラばなしもまじえてご紹介!
2021年9月21日
印刷・デザイン

皆さんの中には、会社のパンフレットやチラシの製作に携わっている方や、直接印刷会社とやりとりをしている方もいらっしゃるかと思います。

しかし、実際にどういう流れで印刷物が出来上がるか、という事は案外知らない方がほとんどではないでしょうか?

今回は、印刷会社の営業パーソンが、ちょっとしたウラ話もまじえつつ印刷物が出来るまでの「仕組み」を分かりやすくお伝えしたいと思います。

※今回の記事は、オフセット印刷における工程の解説となります。オフセット印刷とオンデマンド印刷の違いなどはこちらの記事で解説しているので、あわせてご覧ください。

印刷工程は大きく分けて3つ

印刷物製作は大きく分けて以下の3つの工程で構成されています。

プリプレス工程

プリプレス(Prepress)とは、印刷機(Press)にかける前段階(Pre-)という意味で、一般的に「印刷前工程」と呼ばれています。主に、印刷する内容のデザイン作成やレイアウト作成から、印刷用の「版」を実際に作成するまでの一連の流れを指します。

プレス工程

実際に印刷を行う作業全般を指します。実際に印刷を行う作業全般を指します。一口に印刷と言っても様々な印刷方式があり、チラシやパンフレット以外でも、例えば名刺、複写式の帳票、ペットボトルのラベル、ゴルフボールのロゴなどは、それぞれ異なった印刷方式で作られています。

ポストプレス工程

印刷以降の、加工・製本や、梱包・セット作業、配送・発送といった完成品納品までの最終工程を指します。完成品の仕様にもよりますが、印刷工程と比べて多種多様な機械が登場したり、場合によっては多くの人間が関わったりする工程となります。

プリプレス工程の流れと発生するタスク

流れ

お客様からいただいた原稿を元に、デザインやレイアウトを作成。

できあがった校正データの修正や色調見本を確認しながら、校了(印刷しても良い状態)を目指して進めていきます。ある程度作りこむ作業が必要か、それともすでに完成に近いデータがあるかで、かかる日数は大きく変わってきます。

最近はコロナ禍で在宅勤務も増えましたので、以前のような原稿に直接修正指示を書く作業だけではなく、PDFの機能やパワーポイントに校正データを貼り付けて修正指示を記入するなど、ペーパーレスなやりとりも多くなってきました。

校了後は「版」と呼ばれる金属プレートを作成します。この作業を印刷用語で「下版」と呼びます。一度金属プレート版を作ってしまうとやり直しがきかないため、校了原稿と印刷用のデータに相違がないか、複数の人間によって確認作業を念入りに行います。

発生するタスク

  • デザイン作成やレイアウト作成
  • 校正
  • 下版

など

*ウラばなし*

今でこそ、パソコンなどデジタル化の進歩で修正作業もだいぶ簡単になりましたが、90年代以前は「フィルム」を使ったアナログなやりとりが主流でした。
そのため、修正があった場合はフィルムを細かく切り貼りをするなど緻密な作業が多く、案件にもよりますが印刷会社の人間はもちろん、チェックするお客さまも仕事が深夜まで及ぶことが珍しくありませんでした。
特に、画像の修正に関しては一定以上の経験と技術が必要であったため、熟練の専任職人が作業を行っていました。

プレス工程の流れと発生するタスク

流れ

印刷機に、作成した版を取り付け、各種インキをセットします。基本的には、家庭用プリンターと同じように「CMYK」と呼ばれる青(Cyan)、赤(Magenta)、黄(Yellow)、黒(Key tone)の4種類の版とインキを使いますが、書籍や説明書など文章中心のものであれば、黒1色だけとなります。その他、特色と呼ばれる特殊インキを使ったり、専用印刷機で5色以上のインキを使ったりしてより鮮やかな印刷をすることもあります。

印刷用紙はおおよそ60cm×95cm程度で、A4サイズが8つ付く大きさとなります。定期的に用紙を機械に積んだり、印刷後の用紙を運んだりと、割と体力仕事な一面もあり、印刷機1台当たりで約2~3名の印刷オペレーターが専属で作業にあたります。

機械の調整や設定など準備が整ったら、校了原稿または色調見本を確認しながら色調調整を適宜行い、印刷を進めていきます。企業ロゴ色や、化粧品デザインの肌色など色調要求度が高いケースでは、実際に営業担当者が印刷現場に立ち会ったり、場合によってはお客さまが立ち会って直接仕上がりを確認したりすることもあります。また、用紙やインキは外部環境の影響を受けやすいので、工場内は常に一定の気温と湿度が保たれています。

発生するタスク

  • 印刷
*ウラばなし*

実は、金属プレート版の印刷部分は全て「丸い点」で作られています。(※印刷方式によって一部異なります)そのため、虫メガネなどで人物や風景が入った印刷物をよーーく見ると、赤や黄の丸い点の集合体が確認できますので、ぜひ試してみてください。

また、色調の調整については、例えばパソコンの画像ソフトであれば、設定バーを動かすだけで明るくしたり、部分的に色を濃くしたりできますが、印刷工程では各インキ色の丸い点を濃くするか、薄くするかという地道な作業の繰り返しで色調調整を行います。経験を積んだ印刷オペレーターがこうした繊細な調整を重ねて、印刷物は出来上がっていきます。

その他、印刷機の性質上「顔だけ・服だけ」といった部分的な調整はできず、印刷用紙の縦の列ごとの調整となります。顔の肌色が赤っぽいので黄色く調整してみたら、今度は髪の毛が金髪ぽくなってしまった、ということもありました・・・。

ポストプレス工程の流れとタスク

流れ

プレス工程で印刷された用紙を「刷り本」と呼びます。その「刷り本」を、今度は加工工場または製本工場に運び入れます。この時点ではまだ用紙自体は大きいままで、ものによっては何千枚・何万枚の量のため、重さも数百キロから数トンにもなります。これを木製のパレットに適量ごとに載せて、トラックなどで各工場に運び入れます。もし、耐水性フィルムを貼ったり、箔押しなどがあったりする場合は、いったん別の専門工場に運んで作業を行ったのちに、あらためて加工・製本工場に入れます。

二つ折りや三つ折りなどの仕様がある場合

一旦広げたサイズに断裁した後に、専用の機械に載せて折り加工をします。製本用の機械は、加工機よりも設備が複雑で規模も大きく(長いものでは全長10mを超えるものもあります)、基本的には、製本工程の方が日数はかかります。また、製本の場合は役割分担も細かく、用紙をセットする人、出来上がった完成品をチェックする人、包装紙で梱包をする人といった具合に、一連の生産で3~5くらいのセクションに分かれて作業を行うため、関わる人間も多くなります。ひとまず、印刷物自体はこの工程で完成となります。

同梱作業やシール貼りなどがある場合

その後、もし同梱封入やシール貼りなどのセット作業がある場合は、さらに専門の現場に完成品を入れて作業を行います。機械で対応できるものもありますが、複雑な仕様の場合は人間が直接作業をするため、かかる日数やコストも大きく変わってきます。

そうしてようやく納品できる状態となった印刷物は、物量によって発送をしたり大きなトラックに積んだりして直接納品をします。これで、印刷物製作の一連の流れは全て完了となります。

発生するタスク

  • 加工
  • 製本/梱包
  • 配送
*ウラばなし*

従来の加工工程よりも色々複雑な製本工程ですが、中でも特に多種多様な工程で出来ているのが、皆さまも一度は手に取ったことがある「ハードカバー」と呼ばれる本です。
あの固い表紙は分厚いボール紙に別の印刷物をくるめて作られていますし、その他、紐状のしおりや(スピンといいます)、本の背の部分に装飾物を付けたり、カバー自体も耐水性のフィルムを貼ったり、用紙の種類もそれぞれのパーツごとで違っていたり、印刷も場合によっては複数の工場で作ったものをそれぞれ使用したりと、あらゆる工程を豪華に組み合わせて完成するのが「ハードカバー本」です。
もし、ご自宅や書店で目にする機会がありましたら、ぜひそういった視点であらためて見てみてください。

まとめ

今回は、印刷物製作の流れをご紹介してみましたが、いかがだったでしょうか?

例えば建物や車と同じように、実は印刷物も色々な工程、色々な人間が関わって出来上がっているということが、なんとなくお分かりいただけたかと思います。

ペーパーレスが進んできている昨今ですが、「印刷物」をこれまでと違った視点で見るきっかけとなれば幸いです。

もし、印刷会社をお探しの方がいらっしゃれば、下の無料でダウンロードできる資料もご参考にしてみてください。

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