カーボンニュートラルとは?企業の取り組みや実現手法を解説!

カーボンニュートラルとは?企業の取り組みや実現手法を解説!
2023年8月28日
SDGs

近年、地球温暖化対策の一環として、カーボンニュートラルというキーワードに注目が集まっています。地球温暖化は世界が一丸となって取り組むべき課題ですが、とくに温室効果ガスの排出量が多い企業には積極的な対策が求められています。

今回は企業が取り組むべきカーボンニュートラルの基礎知識や、カーボンニュートラルが求められる背景、企業がカーボンニュートラルに取り組むメリット、実現させる方法などについて解説します。

カーボンニュートラルとは

カーボンニュートラルとは、地球温暖化の原因となる温室効果ガスの排出を全体としてゼロにすることを指します。carbonは「炭素」、neutralは「中性・中立」といった意味で、カーボンニュートラルはこれら2つの単語を合わせた造語です。

カーボンニュートラルが求められる背景

近年、カーボンニュートラルに注目が集まり、企業に対策が求められている背景には3つの理由があります。

1. 地球温暖化と気候変動の加速

温室効果ガスの影響により、世界では地球温暖化と気候変動が急激に加速しています
とくに顕著なのは気温の上昇で、2020年時点の世界の平均気温は、1850年~1900年の工業化以前に比べると、約1.1度も上昇しています。[注1]

このまま何の対策も講じず、温室効果ガスの排出が非常に多い状態が続いた場合、2050年には工業化以前に比べて気温が+2度以上、2100年には+5度近くまで上昇すると言われています。

とくに日本は現状、世界よりも速いペースで気温が上昇しており、長期的に見ると、100年あたり1.19度の割合で気温が上がっています。世界の年平均気温は19世紀後半以降、100年あたり0.72度の上昇とされているため、いかに日本の平均気温の上昇スピードが速いかがわかります。

地球温暖化にともなう気候変動はさまざまな気象災害と関連があると言われており、今後豪雨や猛暑などのリスクが高まることが懸念されています。大規模な自然災害は人命を危険にさらすことはもちろん、農林水産業や水資源、自然生態系、産業・経済活動等に大きな影響をもたらします。

これらの影響は私たち人間の生活と密接な関係があり、ゆくゆくは生存基盤を揺るがす脅威になると考えられています。気候変動への対策には長い年月を要するため、今から積極的にカーボンニュートラルに取り組み、将来の気候危機を回避する必要があります

[注1]環境省:気候変動の観測・予測及び影響評価統合レポート2018~日本の気候変動とその影響~ p2~3
https://www.env.go.jp/earth/tekiou/pamph2018_full.pdf

2. カーボンニュートラルの経済への浸透

カーボンニュートラルは地球温暖化対策に貢献するだけでなく、経済にもより良い影響を与える取り組みとされています。政府はカーボンニュートラルを企業の成長の機会と捉える「グリーン成長戦略」を掲げており、とくに以下14の分野を重点分野として選定しています。

● 洋上風力・太陽光・地熱
● 水素・燃料アンモニア
● 次世代熱エネルギー
● 原子力
● 自動車・蓄電池
● 半導体・情報通信
● 船舶
● 物流・人流・土木インフラ
● 食料・農林水産業
● 航空機
● カーボンリサイクル・マテリアル
● 住宅・建築物・次世代電力マネジメント
● 資源循環関連
● ライフスタイル関連

これらの分野の企業はカーボンニュートラルの取り組みによる恩恵を受けやすく、国際競争力の強化にもつながることが期待されています。グリーン成長戦略を実施した場合、2050年の経済効果は約290兆円、雇用効果は約1,800万人と試算されています。[注2]

また、政府はグリーン成長戦略を推進するため、企業のイノベーションに向けた政策を打ち立てています。たとえば、予算として2兆円のグリーンイノベーション基金を造成し、技術開発や実証・社会実装への後押し、最大10%の税額控除や50%の特別償却を盛り込んだカーボンニュートラル投資促進税制を導入するといったものなどが挙げられます。

これらの政策を上手に活用すれば、国の後押しを受けながら、時代に沿ったイノベーションの実現を目指すことができます。逆に言うと、カーボンニュートラルに向けて然るべき対策を講じない企業は、社会的な責任を果たしていないとみなされ、顧客や取引先離れの原因となる可能性があります。
国がカーボンニュートラルを推進している今、企業の今後の成長や発展と、カーボンニュートラルは切っても切れない関係性となりつつあり、企業存続のために率先して取り組むべき課題となっています。

[注2]経済産業省:2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略 P1
https://www.meti.go.jp/policy/energy_environment/global_warming/ggs/pdf/green_koho_r2.pdf

3. 2050年カーボンニュートラル宣言

2015年に採択されたパリ協定では、世界的な平均気温上昇を工業化以前に比べて2度以下に保つことと、カーボンニュートラルを達成することを世界共通の長期目標とすることが合意されました。このパリ協定のもと、現在は120以上の国と地域がさまざまな取り組みを行っていますが、日本はさらに2020年10月に、2050年までにカーボンニュートラルの実現を目指すことを表明しました。[注3]

宣言のあった2020年より5年間を集中期間と位置づけ、100ヵ所以上の脱炭素先行地域の創出や、全国で実施する重点対策に取り組んでいます。2030年までには、脱炭素先行地域からカーボンニュートラルの取り組みを全国に伝播させる「脱炭素ドミノ」を引き起こし、最終的には2050年を待たずにカーボンニュートラルを実現することを目指しています。

企業は国が掲げる目標に追随し、CSR(企業の社会的責任)の一環としてカーボンニュートラルに取り組み、自発的に行動を起こすことを求められています。

[注3]環境省 脱炭素ポータル:カーボンニュートラルとは
https://ondankataisaku.env.go.jp/carbon_neutral/about/

企業がカーボンニュートラルに取り組むメリット

企業がカーボンニュートラルに取り組むと、以下のようなメリットを期待できます。

企業のイメージUP

カーボンニュートラルは地球規模で取り組むべき課題です。国も具体的な目標や方針を掲げており、企業および個人に向けてカーボンニュートラル実現のための協力を呼びかけています。

カーボンニュートラルに率先して取り組めば、企業としての社会的責任を果たすことにつながり、企業やブランドのイメージアップに役立ちます。実際、多くの企業はコーポレートサイトなどで自社のカーボンニュートラルへの取り組みや、その成果を世間に向けて広く発信しています。

企業やブランドのイメージが向上すれば、市場競争力が強化され、新たなシェアの獲得やリピーターの増加による売上アップを期待できます。

コスト削減

温室効果ガスの多くは、化石燃料由来のエネルギーを消費することによって発生します。つまり、温室効果ガス排出量の削減は、化石燃料エネルギー使用量の減少にもつながります。

エネルギー消費量をカットすれば、燃料にかかる費用も削減できるため、コストの節約になります。もちろん、省エネ対策や再生可能エネルギーの導入には相応のコストがかかりますが、その後のランニングコストを考えれば、初期導入費を含めてもコスト減になるでしょう。

また、化石燃料は世界情勢の影響を受けやすく、急な価格変動に見舞われるおそれがもあります。実際、近年は燃料費の急騰が社会問題になりつつあり、経営難に陥る企業も増えてきています。省エネおよび再生可能エネルギーの導入を進めれば、燃料費高騰の影響を受けにくくなるため、経営の安定化にもつながります。

認知度向上

カーボンニュートラルは世界規模の取り組みであり、世間での認知度もかなり高い傾向にあります。内閣府が実施した世論調査によると、脱炭素社会について「知っていた」「言葉だけは知っていた」と回答した人は7割近くに達しています。[注4]

カーボンニュートラルに対して独自の取り組みを行ったり、画期的なアイデアを導入したりすれば、世間からの注目度が高くなり、企業の認知度アップにつながります。とくにテレビや雑誌などのメディアに取り上げられた場合、企業やブランドの知名度を一気に上げることも可能です。

また、環境省では気候変動対策推進の一環として、顕著な功績のあった個人や団体を表彰する「気候変動アクション環境大臣表彰」を行っています。[注5]

表彰された企業は環境省のホームページに受賞者として掲載され、カーボンニュートラルにおいて画期的かつ効果的な取り組みを行っている企業として認知されるようになります。企業としての知名度や認知度がアップすれば、問い合わせや資料請求などが増える可能性があり、新規顧客獲得につながることも期待できます。

[注4]内閣府:気候変動に関する世論調査
https://survey.gov-online.go.jp/r02/r02-kikohendo/2-1.html

[注5]環境省:令和5年度気候変動アクション環境大臣表彰
https://www.env.go.jp/earth/ondanka/min_action_award/about.html

カーボンニュートラルを実現させる方法

カーボンニュートラルを実現させるための具体的な方法を4つご紹介します。

1. 省エネルギー

カーボンニュートラルにおける省エネルギー(省エネ)とは、化石燃料等を使ったエネルギーの消費量を抑えることです省エネによって、温室効果ガスの排出量を削減できます

省エネの方法は複数ありますが、たとえばオフィス内の照明をLED電球に切り替えたり、業務に利用する機器を省エネ機能に優れたものに交換したりする方法が一般的です。

また、日々の業務の中で節電や節水を意識する、空調を適温に設定する、エレベーターを使用せず、なるべく階段を利用するといった省エネ活動を会社全体で行っているところもあります。大がかりな設備を導入するケースほど、高い省エネ効果を見込めますが、そのぶん初期費用も割高になるので、予算を踏まえながら慎重に検討しましょう。

2. 再生可能エネルギー

再生可能エネルギーとは、太陽光や風力、地熱といった自然界に常に存在するエネルギーのことです。有限の化石燃料のように枯渇せず、かつ温室効果ガスを排出しないことから、カーボンニュートラルの取り組みに欠かせないエネルギーとして注目されています。

企業の場合、オフィスや工場などに太陽光発電パネルを設置する取り組みが一般的で、自家発電することによって化石燃料の使用量を抑えることができます。省エネ機器同様、導入時には相応のコストがかかりますが、電気代の節約にもつながるため、長い目で見ればランニングコストを削減できます。

3. カーボンオフセット

カーボンオフセットとは、自身が排出したCO2を他の部分で埋め合わせ、相殺することです。たとえば、人間の経済活動や生活によって生み出されたCO2を、森林の保護や植林によって吸収するのはカーボンオフセットに該当します。つまりカーボンオフセットは、温室効果ガスの差し引きをゼロにするカーボンニュートラルの手段のひとつとなります。

カーボンオフセットについて、詳しくは「カーボンオフセットとは?必要性や事例、カーボンニュートラルとの違いなど、基礎を解説!」をご覧ください。

4. ネガティブエミッション

ネガティブエミッションとは、大気中に存在する温室効果ガスを回収、除去する技術のことです
カーボンニュートラルを達成するには、排出せざるを得ない温室効果ガスをいかに回収、吸収するかが重要なポイントになります。

ネガティブエミッションの一例として、大気中のCO2を直接捕集するDAC(ダイレクト・エア・キャプチャ)や、バイオマスエネルギーの燃焼によって発生したCO2を捕集・貯留するBECCS、ケイ酸塩鉱物などの岩石を粉砕して表面積を大きくし、風化を人工的に促進する風化促進などが挙げられます。

まったく新しい技術分野であるため、カーボンニュートラル達成に向けた実用化はこれからになりますが、今からネガティブエミッションに対する理解を深め、将来的な導入を検討しておくことが大切です。

研文社の取り組み

ここで印刷会社である弊社の取り組みを紹介します。

2023年4月から「環境配慮型プリント」のサービス提供を始めました。
「環境配慮型プリント」とは、印刷物のCO2排出量を算定し、実質ゼロにすることで、お客様のカーボンニュートラル対応をご支援するサービスです

環境配慮型プリントサービス紹介ページ

環境配慮型プリントサービスページ
「環境配慮型プリント」サービス紹介ページはクリック↑

「環境配慮型プリント」の印刷物には「削減できたCO2排出量」と、「CO2削減に貢献したことを証明するマーク」の表示が可能なため、環境対応の対外的なアピールや、ブランドイメージの向上も期待できます。

無料のCO2排出量算定シミュレーションも実施しておりますので、ぜひ下記よりお気軽にお申し込みください。

まとめ

カーボンニュートラルは、地球温暖化対策や気候変動対策として企業が取り組まなければならない課題のひとつです。日本では2050年までのカーボンニュートラル実現を表明しており、国内企業に対してカーボンニュートラルに向けた施策を講じることを求めています。

カーボンニュートラルは温暖化対策のみならず、自社の成長や発展、企業やブランドの認知度アップ、コスト削減などいろいろなメリットがある取り組みですので、事業の一環として積極的に取り組むことをおすすめします。

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