アップサイクルとは?リサイクルとの違いや取り組み事例を紹介!

アップサイクルとは?リサイクルとの違いや取り組み事例を紹介!
2021年8月16日
SDGs

環境問題への関心が高まる中で、「アップサイクル」という概念が多くの企業で注目を集めています。アップサイクルとは、廃棄されるはずの素材や製品を、新たな価値を加えることで高品質なアイテムとして生まれ変わらせる取り組みで、持続可能な社会を目指す上で欠かせない重要なコンセプトです。

本記事では、アップサイクルの概要からSDGsに貢献する理由、取り組みのメリットや課題、企業の取り組み事例、実践できるアップサイクルアイテムをご紹介します。

ぜひ、参考にしてみてください。

アップサイクルとは?

アップサイクルとは、“元の製品や素材よりも次元・価値の高いモノを生み出すこと”を言います。

廃棄されるはずだった素材や製品に新たな価値を付加し、本来の用途や品質よりも高い形で再生する取り組みです。

「リサイクル」や「リメイク」といった既存の廃棄利用の概念とは異なり、アップサイクルは環境負荷の軽減を目指しながら、デザイン性や機能性を向上させ、新しい価値を創出することを目的としています。

しかし、このアップサイクルという概念は、似た意味の言葉と混同されることも少なくありません。それぞれの違いについて解説します。

リサイクルとの違い

リサイクルとは使用済み製品を分解・加工し、原材料として再利用する取り組みを指します。例えば、プラスチック製品を溶かして再びプラスチック素材を生成することや、紙をパルプ化して新たな紙製品を作ることがリサイクルの具体例です。

アップサイクルとリサイクルの違いは、「もう一度資源に戻して製品を作るかどうか」です。

アップサイクルは資源には戻さず製品をそのまま活用し、より価値の高い別のものを作ります。リサイクルは、一度資源に戻し、そこから新しいものを作ります。

アップサイクルは、一度資源に戻すという工程がない分、持続可能な社会づくりに貢献しようという、よりサステナブルな考え方だといわれています。

リメイクとの違い

リメイクは、既存の製品や素材を加工して新しい形やデザインに生まれ変わらせることを指します。例えば、古い服をリサイズして再利用したり、デザインを変えて新たなファッションアイテムとして使ったりすることが典型的な例です。

アップサイクルとリメイクの違いは、「新しい製品の価値が元の製品より下がるかどうか」です。アップサイクルもリメイクと似た意味ですが、アップサイクルはより価値の高いものを作るのに対して、リメイクは価値が下がるものも指します。

ダウンサイクルとの違い

ダウンサイクルは、廃棄素材を加工して新しい製品に変える際、品質や価値が元よりも低下する形で再利用されることです。例えば、古い衣服を断裁してクリーニング用の布にすることや、廃プラスチックから品質が劣る再生プラスチックを作ることが挙げられます。

ダウンサイクルは、素材や製品を再利用する際に、「元々の価値や品質が低下した形で新たな用途に活用」されるプロセスを指します。

アップサイクルがSDGsに貢献する理由

SDGs目標12「つくる責任 つかう責任」は、持続可能な生産と消費を目指し、資源の効率的な利用と廃棄物削減を促進するものであり、アップサイクルと密接な関係があります

この中で、「ターゲット12.5」では、廃棄物の発生を予防、削減、リサイクル、再利用することで大幅な削減を目指しています。アップサイクルは、廃棄されるはずの物を素材として再活用し、新たな価値を持つ製品へと生まれ変わらせる取り組みであり、この目標の具体的な実現手段です。

他にも、「ターゲット12.6」における企業の持続可能な取り組みを促す観点でも、アップサイクルは深い関連性を持っています。企業がアップサイクルを導入することで、環境配慮型製品を市場に提供し、持続可能な生産活動を実践していることを示すことができます。

「ターゲット12.8」の持続可能なライフサイクルの啓発においても、アップサイクルは重要です。消費者がアップサイクル商品を選ぶことで、資源循環の大切さを理解し、環境負荷の低い選択を行うきっかけを提供します。

これらの活動は、目標12全体の実現に向けた具体的なステップとして機能し、アップサイクルの取り組みが持続可能な社会構築においていかに重要であるかを示しています

■関連記事:SDGsの達成に向けて私たちにできることとは?17の目標や取り組み事例を紹介

アップサイクルに取り組むメリット

アップサイクルは企業にとっても多くのメリットをもたらします。以下では、「ブランド価値の向上」「コスト削減と効率的な資源利用」「新たな市場や顧客層へのアプローチ」という3点から解説します。

ブランド価値の向上

アップサイクルは、企業の環境意識の高さを示す取り組みとして、社会的評価を向上させる大きな効果があります。持続可能性や循環型経済への関心が高まる中で、消費者は環境に配慮した商品や企業を指示する傾向が強まっています。

アップサイクルを導入することで、「環境に優しい」ブランドイメージを構築することができるほか、競争優位性を強化します。特に、若い世代やエシカル消費を重視する層にはその価値が響きやすく、新たなブランド認知やファン獲得につながります。また、こうした取り組みを発信することで、環境問題への企業の姿勢を積極的にアピールでき、社会的責任を果たす姿勢を示すことが可能です。

コスト削減と効率的な資源利用

アップサイクルは、廃棄物や不良品といった本来の生産過程で捨てられてしまう素材を活用するため、資源の利用効率を高める効果があります。リサイクルよりも手間が少ない場合も多く、廃棄のための処理費用を節約できるため、コスト削減にも直接的につながります。

また、アップサイクル製品が注目されることで素材の調達が多様化し、資源の枯渇リスクを低減することも可能です。資源利用の効率化は、企業としての持続可能性の向上のみならず、環境負荷の軽減にも貢献します。

新たな市場や顧客層へのアプローチ

アップサイクル製品は、従来の製品とは異なる独自性を持つことができます。この独自性により、環境配慮型の商品や個性的でストーリーのあるアイテムを求める顧客層へのアプローチが可能となります。ターゲットとしては、エシカル消費に関心を持つ層や、ユニークなデザイン商品を好む消費者が挙げられます。

さらに、環境問題への配慮が求められる公共機関や団体への販売機会が増加する可能性もあります。アップサイクルを取り入れた製品は、差別化された市場価値を持つため、多様な層への訴求力を発揮できる魅力があります。

アップサイクルの課題

アップサイクルは環境保護や持続可能性の観点で重要な取り組みですが、実現にはいくつかの課題があります。以下では、課題について解説します。

廃棄物の量と質の確保の難しさ

アップサイクルにおいて第一に必要なのは、材料として利用できる廃棄物です。しかし、実際には廃棄物の質や量を安定して確保することは容易ではありません。廃棄物は必ずしも均質ではなく、状態が悪いものや利用可能な素材が不足している場合もあります。また、廃棄物を収集するプロセスには時間や労力がかかり、質の高い素材を見つけるには吟味が必要です。

さらに、大量生産を行う場合、素材不足が生産スケジュールに影響を与える可能性があるため、材料確保の不確実性は事業運営におけるリスクとなります。こうした状況は、アップサイクルをスケールアップし、広く普及させる上で大きな課題となっています。

コストの問題

アップサイクルは廃棄物を活用することでコスト削減につながる側面がありますが、逆にコストが増大する場合もあります。まず、廃棄物を新たな製品に加工するためには、独自の技術や特別な工程が必要になります。その結果、通常の製品と比較して手間がかかり、製造プロセスにかかる費用が増加する可能性があります。

また、廃棄物の収集・選別・運搬にかかるコストも増えることがあり、全体的な事業運営における負担が高まるケースも少なくありません。特に、アップサイクル製品が商品として完成した際には、価格競争力が低下することも懸念されます。消費者が環境価値を認識していても、価格設定が高すぎると購入をためらう場合があるため、コストと価格のバランスを取ることは大きな課題です。

アップサイクルに取り組んでいる企業事例

アップサイクルは多くの企業で実践されています。ここでは、ファッション業界、飲料業界、家具業界の代表的な事例をご紹介します。

ファッション業界:Patagonia(パタゴニア)

アウトドア用品を展開するPatagoniaは、環境保護への取り組みで知られるブランドです。同社は回収した古い衣料品をアップサイクルし、新たな製品を作りだしています。

例えば、「Worn Wear」プログラムでは、着用済みのアイテムを修繕して再販売することを通じて、製品の寿命を延ばし廃棄物を削減しています。こうした活動により、パタゴニアは単なる製品提供に留まらず、消費者とともに廃棄物削減に取り組むモデルを構築しています。

参考:Patagonia:「Worn Wear

飲料業界:Coca-Cola(コカ・コーラ)

コカ・コーラは、飲料業界において循環型社会を推進する先進的な取り組みを行っています。同社は「World Without Waste(廃棄物ゼロ社会)」というキャンペーンに基づき、廃棄物削減とパッケージ再利用を推進しています。特に、回収されたペットボトルをアップサイクルする事例が注目されています。使用済みのボトルを原料として新たなボトルを製造するほか、衣類やバッグなどの異業種の商品に再利用する取り組みも行っています。

このような活動を通じて、環境保護と企業の社会的責任を果たしています。

参考:日本コカ・コーラ株式会社「World Without Waste(廃棄物ゼロ社会)を目指して コカ・コーラシステム、日本国内におけるPETボトルの循環利用の加速に向け、新たな環境目標を策定

家具業界:IKEA(イケア)

家具業界の代表的企業であるIKEAは、アップサイクルを通じた資源循環型モデルの先駆者として知られています。同社は「Circular IKEA」を掲げ、持続可能な設計や製品のリサイクルを組み込んだ活動を行っています。

具体的には、不要家具の買い取りプログラムを展開し、回収した家具を修繕して再版する取り組みを実施しています。また、リサイクル素材を活用して新しい家具の開発に取り組み、廃材から製造された商品を増やしています。その結果、廃棄物削減や資源効率の向上だけでなく、環境に配慮した消費を顧客に提案しています。

参考:IKEA「サーキュラーサービス

身近で実践可能なアップサイクルのアイデア3選

「だいたいはわかったけど、アップサイクルって実際にどんなものがあるのかイメージできない・・・」

という方もいらっしゃると思うので、ここで身近でできるアップサイクルのアイデアも含めていくつかご紹介します。

アイデア①:着なくなった服をエコバッグやポーチにする

サイズが合わなくなった服や、断捨離して捨てようと思っている服など、着なくなった服は、エコバッグやポーチなど、別の価値あるものにアップサイクルしてはいかがでしょうか。

衣類の廃棄を減らしつつ実用的なアイテムを手に入れることができます。

例えば、着古してしまったTシャツを使って軽量のエコバッグを作れば、自分のオリジナルバッグが楽しめます。また、デニムなど丈夫な素材を活用すれば、耐久性のあるポーチを作ることもできます。

アイデア②:ガラス瓶を活用したアートや収納アイテム

使い終わったガラス瓶は、アイデア次第でさまざまな用途に応用できる素材です。きれいに洗浄した瓶をペイントしてデコレーションすれば、花瓶やキャンドルホルダーなどのアートアイテムとして利用できます。

さらに、蓋付きの瓶を活用すれば、スパイスや調味料、アクセサリーなど小物を収納する便利なアイテムになります。

廃棄されるはずの瓶が、日々の生活を豊かに彩るアイテムへと生まれ変わります。

アイデア③:古い家具をリペイントして再利用

傷がついたり色あせたりした古い家具は、アップサイクルの可能性に満ちています。家具の表面を下処理して、ペイントやステンシルで新しいデザインを加えることで、部屋の雰囲気に合ったインテリアアイテムとして復活させることができます。

例えば、傷のついた木製テーブルをサンドペーパーで磨いてから鮮やかな色でペイントし、モダンなスタイルに変えることが可能です。

家具のペイントは初心者でも調整しやすい上に、大きな達成感を得られる作業です。

まとめ

アップサイクルは、廃棄物や不要なものに新たな価値を与えることで、環境保護や資源効率の向上に寄与する持続可能な取り組みです。SDGsの達成にも貢献し、ブランド価値の向上や新たな市場開拓など、多くのメリットが期待されています。

世界中でSDGsの重要性が叫ばれている中、企業としても個人としても、まずは身近な部分や小さなことから取り組み始めていくことが大切です。

これを機に、日常の中でもアップサイクルを意識してみると新たな発見があるかもしれません。

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