SDGs(持続可能な開発目標)は、地球環境や社会課題を解決し、誰もが安心して暮らせる未来を目指すための国際的な目標のことです。
朝日新聞社が行ったSDGs認知度調査によると、「SDGs」という言葉を聞いたことがあると答えた人は88.7%にのぼり、多くの人に認知されています。しかしながら、「具体的に何を目指しているのか」「私たち個人がどのように関わればよいのか」を理解している人は少ないのではないでしょうか。
本記事では、SDGsの基本的な概念をはじめ、具体的な17の目標や私たちにできることを解説します。また、企業の取組み事例として研文社のSDGs活動にも触れ、実践例を紹介します。ぜひ参考にしてみてください。
参考:朝日新聞SDGs ACTION「【第10回SDGs認知度調査】若い世代でSDGsに高い関心 商品購入に影響も」
目次
SDGsとは

SDGs(エス・ディー・ジーズ)とは、「Sustainable Development Goals」の略で、日本語では「持続可能な開発目標」と訳されます。これは、地球上のすべての人々が安心して暮らせる、より良い未来を築くために国連によって定められた目標のことです。
2015年に国連加盟国が採択し、2030年までに達成することを目指しています。この目標はすべての国や人々が協力して取り組むべき課題を示しており、17の目標と169のターゲットで構成されています。
SDGsの17の目標とは
SDGsには2030年までに達成を目指す世界共通の17の目標がわかりやすく分けられています。この目標は「貧困や飢餓の根絶」「人権の尊重」「地球環境の保持」に向けた具体的な取り組みを示しています。以下では、17の目標を一つ一つ、紹介します。
ゴール | 説明 |
---|---|
1. 貧困をなくそう | 世界中のすべての人が最低限の生活を送れるように、貧困を根絶します。 |
2. 飢餓をゼロに | 誰もが栄養のある食べ物を手に入れ、飢餓をなくします。 |
3. すべての人に健康と福祉を | 医療や健康に関するサービスを充実させ、人々の健康を守ります。 |
4. 質の高い教育をみんなに | すべての子どもが平等に教育を受けられる環境を整えます。 |
5. ジェンダー平等を実現しよう | 男女の差別をなくし、すべての人が平等に扱われる社会をつくります。 |
6. 安全な水とトイレを世界中に | 安全な水と衛生的な環境をすべての人に提供します。 |
7. エネルギーをみんなに そしてクリーンに | 誰でも使える環境に優しいエネルギーを広めます。 |
8. 働きがいも経済成長も | 働きがいのある仕事を保証し、持続可能な経済成長を促します。 |
9. 産業と技術革新の基盤をつくろう | インフラや技術を整備し、産業を強化します。 |
10. 人や国の不平等をなくそう | 所得や権利の格差を減らし、平等な社会を目指します。 |
11. 住み続けられるまちづくりを | 誰もが安全で快適に住める街をつくります。 |
12. つくる責任 つかう責任 | 資源を大切に使い、環境に優しい生産と消費を進めます。 |
13. 気候変動に具体的な対策を | 気候変動を防ぐための取り組みを進めます。 |
14. 海の豊かさを守ろう | 海の資源や自然環境を保護します。 |
15. 陸の豊かさも守ろう | 森林や生態系を守り、自然環境を保全します。 |
16. 平和と公平をすべての人に | 戦争や暴力のない平和な社会を築きます。 |
17. パートナーシップで目標を達成しよう | 国や団体が協力してSDGsの目標を達成するための連携を推進します。 |
参考:外務省『JAPAN SDGs Action Platform』「SDGグローバル指標(SDG Indicators)」
SDGs の169のターゲットとは
SDGsの169のターゲットは、17の目標を具体的に達成するために設定された詳細な行動指針です。各目標を達成するために必要な具体的なアプローチや成果を示し、より分かりやすく、実施可能な形に分解されています。それぞれのターゲットは数値目標や具体的な基準を持つものが多く、各国や組織が取り組むべき内容を明確にし、進捗状況を測定しやすくする役割を果たしています。
169のターゲットの詳細については、外部省のサイト「JAPAN SDGs Action Platform」から確認できます。
日本におけるSDGsの進捗状況
日本におけるSDGsの進捗状況は、政府、企業、地方自治体、市民など広範な取り組みによって進展がみられる一方、2030年の目標達成にはいまだ課題が多く残されています。
日本は2024年のSDGs達成度ランキングで18位に位置しています。SDGs達成のための活動は進んでいるものの、世界的な達成レベルと比較すると遅れがある部分もあります。
そのため、2030年の達成には更なる取り組みが必要です。特に環境保護やジェンダー平等などの課題分野では進捗が遅れているため、これらを重点領域として日本全体での取り組みを強化する必要があります。また、世界全体でSDGs達成に向けて遅れ気味であるため、日本も国際協力の積極的な推進や新たなイノベーションを通じて貢献していくことが求められています。
参考:Sustainable Development Solutions Network(SDSN)「Sustainable Development Report, 2024」
SDGsの目標達成に向けて私たちにできること
SDGsは2030年までに達成を目指す国際的な目標ですが、達成するためには政府や企業だけでなく、私たち一人ひとりの日々の行動も非常に重要です。日常生活の中で少し意識するだけでも、SDGsの達成に向けた具体的な貢献ができます。ここでは身近な取り組みで私たちにできることをいくつか紹介します。
マイボトルやエコバッグの持参

使い捨てプラスチックの削減は、SDGsの「目標12:つくる責任 つかう責任」を達成するために欠かせない行動です。買い物でエコバッグを使用したり、水筒やマイボトルを持参してペットボトル飲料の購入を減らすことで、環境負荷を軽減できます。手軽で取り組みやすい上、地球環境に大きな影響を与える取り組みです。
省エネの徹底

省エネを意識することは「目標7:エネルギーをみんなに そしてクリーンに」に直結します。家でも職場でも、エアコンの温度設定を適切に保つ、使わない家電の電源をオフにする、高効率の家電製品を選ぶなど、簡単にできる省エネ行動を習慣化してみましょう。これにより、電力消費量を減らし、エネルギー資源の節約につながります。
ゴミの分別とリサイクル

リサイクルを徹底することは、「目標12:つくる責任 つかう責任」だけでなく「目標15:陸の豊かさも守ろう」にも大きく貢献できます。プラスチックや紙、缶などを正しく分別し、適切にリサイクルに出すことで、限りある資源を無駄にせず循環する社会を構築できます。ゴミの分別は家族全員で取り組むことも可能です。
食品ロスを減らす

食品ロス削減は「目標2:飢餓をゼロに」と深く関連する活動です。家庭でできる具体的な方法としては、冷蔵庫内の食材を計画的に使う、買い過ぎを防ぐ、余った料理を保存して無駄なく消費することなどがあります。食品ロスを減らすことで、環境への負担を軽減し、世界の飢餓問題の改善にもつながります。
地産地消

地元で採れた食品を購入して消費する「地産地消」は、「目標8:働きがいも経済成長も」や「目標13:気候変動に具体的な対策を」に貢献します。地域の農産物は輸送距離が短く、環境負荷が少ないため、地球を守る一助となります。また、地域経済の活性化にもつながる持続可能な方法です。
エコな商品を選ぶ

日常的に使用する商品を選ぶ際、環境に配慮した商品やフェアトレード商品を積極的に購入するのも大切です。これらの製品は、持続可能なつくり方や公正な取引によって販売されており、「目標10:人や国の不平等をなくそう」に貢献します。商品の選択が、途上国の支援や環境保護につながることを意識しましょう。
■関連記事:印刷会社が選ぶSDGsに貢献するエコ・ユニークな用紙5選
寄付やボランティア活動に参加

お金や時間を活用して、社会問題の解決に直接関わる方法として寄付やボランティア活動があります。たとえば、災害支援や環境保全活動などの団体に参加することで、「目標1:貧困をなくそう」や「目標4:質の高い教育をみんなに」に貢献できます。身近な活動から始めてみましょう。
SDGsの取り組みを発信

「目標17:パートナーシップで目標を達成しよう」に貢献するには、SDGsに関する情報を発信することも効果的です。SNSやブログで、自分の行動や取り組みをシェアすることで、周囲の人々に意識を広げ、共感や協力を促すことができます。自分の取り組みや気づいたことを発信することで、他の人の行動につながる可能性があります。
研文社のSDGsの取り組み事例
研文社は、印刷事業を通じて環境対応や社会貢献を積極的に進めることで、SDGsの達成に力を入れています。具体的なSDGsの取り組み事例についてご紹介します。
印刷物を環境対応商品に

研文社では印刷工程での省エネやリサイクル、汚染物質の除去などの取り組みはもちろんのこと、「環境配慮型プリント」というサービスを通じてSDGsの実現に取り組んでいます。
弊社の工場はすべて再生可能エネルギーを利用したカーボンゼロプリント工場として、Scope1,2のCO2排出量を実質ゼロで稼働しています。そのため、弊社で印刷した印刷物は「環境対応商品」になります。
このようにお客様に対して、環境対応商品の選択を提案することで、意識向上を促進し、企業全体でSDGsの実現に寄与できるサービスの提案を行っています。
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国際的なイニシアチブへの参画
企業としての持続可能な社会を実現するためサステナビリティイニシアチブに参加しています。具体的には「再エネ100宣言 (RE Action)」や「SBT(SCIENCE BASED TARGETS)」に参画しています。
再エネ100宣言(RE Action)は「再生可能エネルギーの普及」という視点から持続可能な社会の基盤をつくり、SBTは「科学的な排出削減目標」を定めることで実効性のある気候変動対策を促進します。どちらもSDGsの達成に不可欠な役割を果たし、企業が積極的に取り組むことで、より大きな地球規模での変化を生み出すことができます。
このような、企業が持続可能な未来の実現に向けて具体的な行動を起こしていくための国際的な枠組みに参画して、SDGsの実現に向けた取り組みを行っています。
中学生向けのSDGs教育や外部研修の実施
地域社会への参加や貢献という形で、SDGsの教育や外部研修などを行っています。
中学生向けのSDGsの教育では、次世代を担う子どもたちへSDGsの基礎知識を学ぶプログラムを提供し自分たちにできることを考え、実践するきっかけを提供しています。
他にも外部研修の形で幅広い世代や職種の人々でSDGsへの理解を深めてもらう活動を実施しています。
これにより、企業としての貢献だけでなく、地域全体で持続可能な未来を目指す流れをつくりだすことに成功しています。
SDGsの達成には一人ひとりの取り組みが不可欠
これまでご紹介してきたように、SDGsは私たち一人ひとりの意識と行動の変化を通じて達成されるものです。環境への配慮、資源の無駄遣いを防ぐ生活スタイル、地域や社会に対する思いやり、このすべてがSDGsの目標に向けた大切な取り組みになります。
「私たちにできること」を考え、行動に移すことは、未来の地域と社会のためになります。個人、企業、地域がそれぞれの役割を果たし、SDGsの輪を広げることで、持続可能な社会を実現することができます。
小さな一歩でも、それが積み重なることで大きな変化へとつながります。この機会にぜひ生活や活動の中でできるSDGsの取り組みを行ってみてください。
弊社では、印刷物の視点からSDGsへの取り組みを支援しております。
もしまだ印刷物に関する環境対応を行っていない場合は、下記リンクより資料をご請求いただき、ぜひご参考ください。
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