検索ボリュームは、SEO対策やリスティング広告の運用時におけるサイト設計やキーワード選定に活用する指標です。SEO対策においては、検索ボリュームの仕組みを正しく認識することで、検索による流入を増やすことができます。
本記事では、検索ボリュームの重要性や調べ方、キーワードの選定方法について詳しく解説いたします。
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目次
検索ボリュームとは?

検索ボリュームは、Googleを代表とする検索エンジンでキーワード検索された回数のことを指します。主に、ネット広告やコンテンツのキーワード選定をする際の指標に用いられ、月単位の月間検索ボリュームを基準とします。
また、検索ボリュームは季節に関わりのある事柄やテレビ、SNSといったメディアの注目度により増減することもあるため、トレンドを探る指標としても活用することができます。
検索ボリュームを活用するには、ボリュームの大きさだけに注目するのではなく、季節や流行、サイトの目的・目標、サイトの成長フェーズなども考慮に入れたキーワード選びが必要となります。
無料ツールを使った検索ボリュームの調べ方

無料ツールを使用した効率的な検索ボリュームの調べ方を、以下の3STEPでまとめました。
【3STEP】検索ボリュームを調べる方法
- メインキーワードを決める
- 複合キーワードをリストアップする
- 関連SEOキーワードの検索ボリュームを調査する
それぞれ解説します。
STEP1. メインキーワードを決める
コンテンツを制作する際は、まず「メインキーワード1語」を決めてからそれに関連する複合キーワードをリストアップしていきます。
メインキーワードの選定をする際は、季節や流行にも注目しましょう。
キーワードに対する流行を調べるには、Googleが提供する「Googleトレンド」と呼ばれる無料ツールがおすすめです。
Googleトレンド
Googleトレンドは、検索ボリュームの推移や急上昇しているキーワードを調べることのできる無料ツールです。季節性や流行を取り入れたメインキーワードを洗い出すときに使用します。
【サイト】
https://trends.google.co.jp/trends/
Googleトレンドで出来ること
・ 調べる:検索キーワードの需要推移のチェック
・ 急上昇ワード:毎日・リアルタイムのトレンドチェック
・ Year in Search:過去のトレンドワードランキングチェック
ここでは、「調べる:検索キーワードの需要推移のチェック」の調べ方について解説します。
●調べる:検索キーワード需要推移のチェック手順
① Googleトレンドのページ左上にあるマーク「≡」をクリック
② メニューの「調べる」を選択
③ 画面上部の「検索キーワードを追加」にキーワードを入力
④ 入力したキーワードを検索すると、検索需要の推移がグラフで表示されます。
グラフは縦軸を人気度、横軸で期間を表しています。
指定した期間のうち最も需要の高い期間を100とし、他の期間でその割合を表示しています。
また、プルダウンメニューから「国」や「期間」、「カテゴリ」、「検索方法」を選択して、表示するデータの内容を変更することもできます。
STEP2. 複合キーワードをリストアップする
次に、メインキーワードと組み合わせる複合キーワードをリストアップします。
メインキーワード「マーケティング」の場合であれば、「マーケティング 勉強」「マーケティング 資格」といった複合キーワードがあります。
複合キーワードのリストアップは、Ubersuggestやラッコキーワードなどの無料ツールで一覧を抽出することができます。
Ubersuggest(ウーバーサジェスト)
Ubersuggestは、キーワードやWebサイト、被リンクの調査を行えるSEO対策ツールです。余計な設定を必要とせず、複合キーワードに加えて検索ボリュームや検索連動型広告のクリック単価、競争の激しさなどを簡単に表示してくれます。また、入力項目に検討しているメインキーワードを入力すれば、複合キーワードの一覧と月間検索ボリュームも表示することができます。
Ubersuggestは、無料版と有料版で利用回数と表示件数に違いはあるものの、キーワード選定に関しては無料版でも1日3回まで検索できるので、十分に情報を取得できます。まずは無料版を使い、Ubersuggestをもっと活用したい場合は、有料版を検討してみてもよいでしょう。
【サイト】
https://app.neilpatel.com/ja/dashboard
●Ubersuggestで複合キーワードをリストアップする手順
① Ubersuggestのサイトを開き「キーワードリサーチ」をクリック
② 「キーワード概要」をクリック
③ キーワードを入力し「検索」をクリック
④ 検索ボリュームなどが表示されます
ラッコキーワード(旧:関連キーワード取得ツール)
ラッコキーワードは、関連記事やコンテンツを作成する際に使用するキーワードリサーチツールです。検索欄にキーワードを入力すると、入力したキーワードの検索候補(サジェストキーワード)を手早く取得してリストアップしてくれます。
ラッコキーワードにも無料版と有料版があります。
無料で使う場合でも、新規会員登録は必要です。登録をしなくても検索をすることはできますが、利用回数に制限があるので、新規会員登録はしておいた方がよいでしょう。
【サイト】
https://related-keywords.com/
●ラッコキーワードで複合キーワードをリストアップする手順
① キーワードを入力し、検索
② 検査すると、複合キーワードがリストアップされます
③ 「全キーワードコピー(重複除去)」か「CSVダウンロード」を選択し、複合キーワードが保存できます
リストアップしたキーワードを一覧で残したい場合は、CSV形式でダウンロードしてください。不要な場合は、全キーワードコピーでクリップボードに保存します。
※ラッコキーワードで抽出した複合キーワード一覧をGoogleキーワードプランナーでまとめて検索したい場合は、「全キーワードコピー(重複除去)」を選択してください。検索ボリュームをキーワードプランナーでまとめて検索することができます。
STEP3. 関連SEOキーワードの検索ボリュームを調査する
複合キーワードをリストアップしたら、Googleキーワードプランナーを活用して検索ボリュームを調査します。
※キーワードプランナーを利用するには、Googleアカウントが必要です。アカウントを登録していない方は、アカウントを取得してからご利用ください。
キーワードプランナーは、リスティング広告出稿のためのツールです。
しかし検索ボリュームを高精度で予測できることから、サイトのキーワード選定にも利用されています。リスティング広告を運用していないユーザーには大まかな検索ボリュームを目安程度にしか表示してくれませんが、複合キーワードを選定するには十分すぎる機能を備えています。
【サイト】
https://ads.google.com/intl/ja_jp/home/tools/keyword-planner/
●Googleキーワードプランナーでの検索手順
Google広告にログインをする
① ログインしたら画面上部の「ツールと設定」をクリック
② 「キーワードプランナー」をクリック
③ 「検索のボリュームと予測のデータを確認」をクリック
④ 複合キーワードを検索欄に入力し「開始する」をクリック
複数入力する際は、入力欄に一行ずつ、またはカンマ(,)区切りで入力。
※ラッコキーワードで抽出したキーワードをまとめて検索する場合は、ラッコキーワードの「全キーワードコピー(重複除去)」を選択ください。クリップボードに保存したデータで、サジェストキーワードをまとめて検索することができます。
⑤ 開始をクリックすると、下記のような検索ボリューム(月間検索回数の平均値)の確認ができます
ここまで、無料ツールを使用した効率的な検索ボリュームの調べ方を解説しましたが、検索ボリュームは、Webサイトの成長フェーズを基準に活用することをおすすめします。
狙ったキーワードを自然検索で上位表示するには、サイトの規模や構造を考慮する必要があるからです。Webサイトの立ち上げ期は、検索エンジンに評価されていない可能性が高いため、検索ボリュームの大きいキーワードのコンテンツを作成しても上位表示される可能性は低いと考えられます。検索ボリュームを効果的に活用するには、Webサイトの規模や構造、成長フェーズに見合ったキーワードを選定するようにしましょう。
検索ボリュームの目安
Googleキーワードプランナーで調査することのできる検索ボリュームは、以下のように分類されています。

上記は、あくまでも目安です。
参考程度に特徴と検索ボリュームを紐づけてご理解ください。
検索ボリュームとサイト構造の関係

最後に、検索ボリュームの活用法を解説します。
検索ボリュームを活用するには、以下の2つを意識することが重要です。
検索ボリュームの活用法
- SEOとWebサイトの構造の関係を理解する
- Webサイトの成長フェーズに合わせる
- 検索ボリュームよりもコンバージョンに近いキーワードを選ぶ
1.SEOとWebサイトの構造の関係を理解する
一般的にWebサイトはトップページを頂点に、下層にカテゴリページ、その下層に詳細を記載した個別記事を並べるという「ピラミッド構造」でつくります。
ページ間の親子関係と導線をハッキリさせることで、クローラー(Webサイトの情報を収集する巡回プログラム)が回遊しやすくなりGoogleからの評価が得られやすいというメリットがあります。また、個別記事からカテゴリページに内部リンクを張ることで、リンクを通してGoogleの評価をカテゴリページに集約させることができます。そして集約された評価は、カテゴリページからトップページへと伝わり、サイト全体の評価を高めてくれます。
これをSEOとWebサイト構造の関係といいます。
検索ボリュームを活用してGoogleからの評価を高めるには、以下のような戦略が考えられます。
検索ボリュームの大きいキーワード:サイトの上層や集客用のまとめ記事で対策する
検索ボリュームの少ないキーワード:個別記事で対策する
個別記事で検索ボリュームの大きなキーワードを狙っても、企業サイトや専門家が運営するサイトなど強力なライバルに打ち勝つことはできません。まずは、検索ボリュームの少ないキーワードで個別記事を量産し、サイト全体のSEO改善につながるような構造をつくることが大切です。
2.Webサイトの成長フェーズに合わせる
個別記事は、「検索ボリュームの少ないキーワードを狙いましょう」と解説しました。
しかし、「どれくらいのボリュームのキーワードを狙えばいいかわからない」という方も多いはずです。ここでは、Webサイトの成長フェーズに合わせた検索ボリュームの目安について解説します。
Webサイトの成長は、以下の3フェーズに分かれています。

立ち上げ期
立ち上げ期は、検索ボリューム100以上のロングテールキーワードを優先して記事を作成します。サイトの評価が低い時期であるため、比較的上位表示されやすいロングテールキーワードを中心に記事をつくり、検索エンジンからの評価を少しずつ高めていきましょう。
「中古パソコン」をメインキーワードとするのであれば、「中古パソコン おすすめ デスクトップ」「中古パソコン ノート 秋葉原」「中古パソコン メーカー名 おすすめ」など2~3語程度のキーワードを選んでください。
検索ボリュームが100以上でも上位表示が取れないときは、100未満のキーワードやニッチなターゲットを意識して攻めてみてもよいでしょう。
成長期
ロングテールキーワードで上位表示できるようになれば、検索ボリューム500以上のミドルキーワードの記事をつくります。
「中古パソコン おすすめ」「中古パソコン ノート」「中古パソコン メーカー名」など、これまでより検索ボリュームの大きい記事に挑戦し、上位表示を目指してサイトのアクセス数を増やしていきましょう。検索ボリュームと競合の多さから上位表示の難しかったキーワードも、Webサイトを成長させることで上位表示を目指せるようになります。
発展期
ミドルキーワードを用いたコンテンツづくりが進めば、より大きなアクセス数を稼げるキーワードに挑戦しましょう。ミドルキーワードで上位表示できるようになれば、Googleから一定以上の評価をいただいていると考えて問題ありません。
発展期は、月間検索1,000回を超える1~2語のキーワードで上位表示できるよう個別記事やまとめ記事をつくります。まとめ記事に関しては、個別記事からのリンクを集めることができるので、Googleから評価のされやすい記事となります。
アクセス数の増加を目指して、Webサイトを構造化しながらコンテンツを量産していきましょう。
3.検索ボリュームよりもコンバージョンに近いキーワードを選ぶ
検索ボリュームが大きいキーワードは多くのトラフィックをもたらす可能性がありますが、SEO戦略において重要なのはアクセスだけではなく、コンバージョン(成約)をどれだけ獲得できるかです。ここでは、検索ボリュームよりもコンバージョンに近いキーワードを選ぶためのポイントを解説します。
検索意図を重視する
検索ボリュームが高いキーワードは、幅広いユーザーにアプローチできる一方で、検索意図が曖昧な場合も多いです。一方、具体的で明確な検索意図を持つキーワードは、購入や問い合わせなどの具体的なアクションを引き起こしやすいという特徴を持っています。
キーワードの例:
- 検索ボリュームが大きいキーワード:「パソコン」
- アクセス数コンバージョンに近いキーワード:「ゲーミングノートパソコン 価格 比較」「ビジネス用パソコン レンタル」
コンバージョンに近いキーワードの増加を目指して、Webサイトを構造化しながらコンテンツを量産していきましょう。
上記の通り、具体的な検索意図を持つキーワードは、非常に明確なニーズを持つユーザーにアプローチするため、コンバージョン率が高くなる傾向があります。
購買プロセスのステージを考える
ユーザーが購入を決定するまでには、いくつかのステージがあります。検索ボリュームが高くても、情報収集段階のユーザーに対してコンバージョンは期待しにくいです。反対に、購入決定寸前の「意思決定ステージ」にあるユーザーをターゲットにするキーワードは、より具体的で購買意欲が高いです。
ステージの例:
- 情報収集ステージ:「パソコンの選び方」
- 検討ステージ:「パソコン 比較レビュー」
- 意思決定ステージ:「最安値 ゲーミングノートパソコン」
意思決定ステージのキーワードを狙うことで、直接的な成約につながる確率が高まります。
LSIキーワードの活用
LSI(Latent Semantic Indexing)キーワードは、ユーザーの検索意図を深く理解するために役立つ関連キーワードです。これらのキーワードは、検索クエリに含まれていなくても、ユーザーの購買意欲を高めるための補完情報を提供します。
LSIキーワードの例:
- メインキーワード:「ゲーミングノートパソコン」
- LSIキーワード:「ゲーミング用パソコン 高速SSD」「ゲーミングPC おすすめモデル」
LSIキーワードをコンテンツに組み込むことで、ユーザーのニーズを的確に満たし、信頼性の高い情報を提供することができます。
コンバージョン率を計測し改善する
キーワード選定は一度で終わりではなく、これらのキーワードが実際にどれだけのコンバージョンを引き起こすかを継続的にモニタリングすることが重要です。
Google Analyticsやサードパーティのツールを用いてキーワードごとのコンバージョン率を計測し、効果的なキーワードを選定し続けることが成功のカギです。
検索ボリュームがSEO戦略において重要な指標であることは確かですが、最終的にはコンバージョンを得るためのキーワード選定が肝心です。
検索意図に合致した具体的なキーワード、購買プロセスに応じたキーワード、そしてLSIキーワードを活用することで、より高いコンバージョン率を達成することが可能です。
継続的なモニタリングと改善を行い、最適なキーワードを見つけ出しましょう。
検索ボリュームを調べる際の注意点
検索ボリュームの調査はSEO戦略において非常に有用ですが、いくつか注意すべきポイントも存在します。
ここでは、検索ボリュームを調べる際に特に注意すべき点について解説します。
YMYLに該当するキーワードは検索ボリュームに限らず難易度が高い
YMYL(Your Money or Your Life)とは、ユーザーの健康、財産、安全に影響を与える可能性のあるコンテンツを指します。
具体的には医療、金融、法律、ニュースなどのトピックが該当します。
YMYLキーワードは、検索ボリュームが多くても少なくても、SEOの難易度が非常に高い傾向にあります。Googleはこれらのトピックに対する評価基準が厳しく、E-A-T(専門性、権威性、信頼性)を重視します。
したがって、以下の点を注意する必要があります。
- 信頼性の確保:YMYLキーワードで上位を狙う場合、情報源や著者の信頼性を高めることが重要です。リンクや引用元を明確にし、専門的な知識を持つ著者を起用することが推奨されます。
- 高品質なコンテンツ:ユーザーにとって有益かつ正確な情報を提供することが必要です。曖昧な情報や誤った情報は、検索エンジンからペナルティを受けるリスクがあります。
- 競合分析:競合サイトのコンテンツを分析し、どのようにE-A-Tを満たしているかを理解することも有用です。自サイトに不足している要素を補完することができます。
検索ボリュームが少なくてもSEOの難易度が高いキーワードもある
多くのSEO初心者は、検索ボリュームが少ないキーワードは競争が少なく、簡単に上位表示できると考えがちですが、必ずしもそうではありません。
検索ボリュームが少なく、難易度の高いキーワードに関する注意点を以下に示します。
- ニッチな専門領域:検索ボリュームが少ないけれど、特定の専門領域に特化したキーワードは、専門家や既存の情報が非常に強力な場合が多いです。例えば、「希少病の治療方法」に関連するキーワードでは、専門性が非常に求められます。
- 高価値の商業キーワード:検索ボリュームが少なくても、コンバージョン率が高い製品やサービスに関連するキーワードは、広告主や業者間の競争が激しいことがあります。そのため、検索連動型広告のクリック単価が高く、自然検索でも順位を上げるのは難しいです。
- 歴史的な信頼サイト:一見ニッチなキーワードでも、検索結果の上位に歴史的な信頼性の高いサイトが多い場合、上位表示は困難です。政府機関や大学、著名な企業のサイトがトップを占めることがよくあります。
具体例を見てみよう。
例として、「高級ワインのレビュー」というニッチなキーワードを考えてみましょう。
検索ボリュームは少ないかもしれませんが、上位結果にはワイン専門誌や著名なワイン評論家のサイトが並ぶ可能性が高いです。
これらのサイトは長年にわたり信頼と権威を築いており、新参のサイトが簡単に上位に食い込むのは難しいと考えられます。
検索ボリュームを調査する際には、単に数値にとらわれるのではなく、キーワードの背後にあるコンテキストや競争状況を理解することが重要です。
YMYLに該当するキーワードや検索ボリュームが少なくても専門性や信頼性が求められるキーワードは、特に注意が必要です。
SEO戦略を構築する際にはこれらの点を踏まえて、総合的なアプローチを心がけましょう。
まとめ:検索ボリュームを調査し、Webサイトの状況に合わせたキーワードを選定する
Webサイトのアクセス数は、月間検索ボリュームの大きいコンテンツばかりを作成しても増えません。
メインキーワード(ビッグキーワード)を軸に複合キーワードを抽出し、サイトの成長に見合ったボリュームのキーワードを選定することが大切です。
ユーザーに使いやすいWebサイトを作成し、ロングテールキーワードのコンテンツを量産しながらGoogleの評価を高めていきましょう。
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⇒検索ボリュームの調べ方を解説!おすすめツールとキーワード選定の方法紹介(デジタルマーケティングメディア 株式会社ニュートラルワークス)
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