エコな紙の選び方|環境に配慮した紙の種類と基準を解説

エコな紙の選び方|環境に配慮した紙の種類と基準を解説
2025年8月26日
SDGs

「紙を選ぶ」ことから始まるエコアクション。エコロジーやサステナブルという言葉が当たり前になったいま、身近な消費行動のひとつである「紙の選び方」そのものが、地球環境を守る大事なアクションになっています。しかし、「エコな紙」とは具体的にどんなもの?どう選べば良いの?そもそも紙を通して私たちができることは?と疑問を持つ方も多いでしょう。

本記事では、環境に配慮した紙の定義、豊富な種類と特徴、判断基準の詳細、実生活やビジネスで役立つ選び方まで、分かりやすく解説します。日常のちょっとした選択から企業の調達まで、「地球と未来のため」のヒントとしてぜひご参考にしてください。

環境に配慮した紙とは?

エコな紙の定義と特徴

「エコな紙」とは、限りある森林資源を守ること、温室効果ガスの排出を抑えること、多様な生態系への配慮、化学物質の制限など、さまざまな観点から環境負荷を低減した紙製品を指します。これは単にリサイクル紙を使うというだけでなく、原料調達から製造・流通・廃棄まで一貫して地球環境へのインパクトを抑える工夫がなされているかが重要です。

例えば、原料となる木が持続的に再生産されているかどうかや、不必要な漂白・着色を減らす工夫、製造工程での水やエネルギーの節約、廃棄時にリサイクルしやすい設計など、多くの要素で評価されます。こうした紙は、生活者が気軽に選択できるものから、企業による持続可能な調達・CSR活動にも結び付いています。

環境に優しい紙と従来の紙の違い

従来の紙は、主に天然林から伐採した木材を大量に使い、大規模な工場で生産されています。漂白や加色のために多くの化学薬品を使ったり、製造時に大量の水やエネルギーを消費したりする場合も多々ありました。これにより、森林減少や水質汚染、二酸化炭素の排出増加などさまざまな問題が生じています。

一方のエコな紙は、再生資源の活用や持続可能な森林管理による原料調達、余分な加工の抑制、環境負荷を減らす独自技術の導入など、「地球にやさしい」ことを最優先に設計されています。そのため、見た目や質感が従来製品と異なる場合があるものの、次世代のスタンダードとして急速に拡大しています。

環境に配慮するメリット

こうしたエコな紙を選ぶメリットは、単に森林資源を守るだけに留まりません。森林はCO₂を吸収する役割を持ち、循環型社会の基盤となります。古紙のリサイクルは廃棄物を大幅に削減でき、処理にかかるコストや資源の浪費も抑制します。さらに、現代では「サステナビリティ」は企業価値の大きな要素。エコな紙の採用は、取引先や消費者からの信頼構築、SDGs対応に直結する行動です。

個人にとっても、「身近な紙から地球を守る」という実感や社会的意義を得られることで、日々の暮らしに新たな価値をもたらしてくれます。

■関連記事:サステナビリティとは?意味やSDGsとの違い、企業や個人の取り組み事例をご紹介

環境に優しい紙の種類と特徴

環境に配慮した紙にはさまざまな種類があります。それぞれの特徴を知り、使用目的・価値観によって選び分けることが重要です。

リサイクルペーパー(古紙再生紙)

もっともなじみ深いのが「リサイクルペーパー」と呼ばれる古紙再生紙です。使用済みの新聞や雑誌、オフィスの印刷物、ダンボールなどをもう一度原料として利用し、再生して新しい紙製品に生まれ変わらせたものです。古紙配合率が高いほどエコ度は高まります。最近では、再生紙でも白色度・強度・なめらかさに優れた製品が増え、コピー用紙や封筒、名刺など多彩に利用されています。

古紙は新しい原料木材に比べて製造工程でのエネルギー消費が少なく、廃棄ごみの減量にも大いに役立ちます。日本は世界最高レベルの古紙回収率を誇り、企業でもリサイクル用紙の利用がスタンダードになっています。

【事例】学校や自治体のリサイクルペーパー活用

多くの自治体や学校では、公用文書の印刷物やノートにリサイクルペーパー利用を推奨しています。これにより、コスト削減と地域の循環型社会推進の両面で効果を生んでいます。

FSC®認証紙・PEFC認証紙

「FSC認証紙」「PEFC認証紙」は、森林持続可能な森林管理から生まれる紙です

• FSC認証(Forest Stewardship Council)

環境保全、社会的利益、経済的持続可能性を考慮した責任ある森林管理を促進する国際的な認証制度です。この制度により、適切に管理された森林や責任をもって調達された原材料から作られた製品にFSCラベルが付けられ、消費者はそれを購入することで森林保全に貢献できる仕組みです。

参考サイト:Forest Stewardship Council「FSC認証について

• PEFC認証(Programme for the Endorsement of Forest Certification)

世界各国の森林認証プログラムを承認し、持続可能な方法で管理された森の木材を使っていることが証明される仕組みです。世界最大級の森林管理認証を保持しています。

これらの認証付き紙を選ぶことで、消費者自身が「グリーン調達」の一翼を担うことができます。最近は、企業のCSR調達やパンフレット・カタログの印刷物などビジネス用途での採用が進んでいます。

参考サイト:Programme for the Endorsement of Forest CertificationPEFCの使命と展望・歴史

非木材紙(バガス・竹・草など)

木材以外の植物繊維を使う「非木材紙」が増えています。バガス(サトウキビの搾りかす)、竹、麻、ケナフなど、多様な原料が使われており、成長が早くて繰り返し収穫できる特徴が森林保護に貢献します。

バガスペーパーは、従来廃棄されていたサトウキビの副産物を活用。ノートや紙袋、食品トレーなど広範囲で使われ、東南アジアなど生産地の農業支援にもつながります。竹紙は成長サイクルが早く、木材以上の持続可能性を有しています。ケナフ紙は二酸化炭素吸収量が高く、環境印刷物向けに人気です。

その他の注目エコペーパー

エコ紙の世界は日々進化しています。例えばライフサイクル全体でカーボンニュートラル(CO₂排出量ゼロ化)を目指す「カーボンオフセット紙」、無漂白・無塩素処理で健康・環境に優しい「未晒クラフト紙」、廃棄されるコーヒー豆や野菜の繊維を混ぜ込んだアップサイクル用紙等、クリエイティブで持続可能な新商品が続々登場しています。

紙の選択肢が多様化している今こそ、自分らしい「エコ」を選ぶ楽しさ・意義を再発見できるでしょう。

■関連記事:印刷会社が選ぶSDGsに貢献するエコ・ユニークな用紙5選

環境に優しい紙を見分ける基準

「どの紙がエコ?」と迷ったら、各種認証ラベルや表示、メーカーの発信情報に注目しましょう。

主な環境認証マークの解説

環境認証マークは、環境に配慮した製品であることを第三者機関が審査・証明された製品に付けられます。代表的なものをご紹介します。

  • FSC認証マーク:森林環境や地域社会に配慮し、責任をもって調達された原材料で作られた製品に付けられるもので、森を守る仕組みの一環として提供されています。
  • PEFC認証マーク:FSCと同じくサステナビリティの世界基準をクリアされたものに付けられます。
  • エコマーク(日本):リサイクルや省資源性・化学物質の使用低減に配慮した日本独自の認証制度。さまざまな日用品で見られます。

これらのマークはパッケージや説明書、製品ロゴに記載されています。印刷物や文房具でも必ず調べてみましょう。

環境配慮型紙のラベル・表示

  • 古紙配合率●%:配合率が高いほど廃棄物削減や資源有効利用になります。
  • FSCミックス/100%:適切に管理されたFSC®認証林、再生資源およびその他の管理された供給源からの原材料で作られています。
  • エコマーク取得/未晒し表記:化学薬品・漂白の有無や省資源性などをアピール。

メーカーの公式サイトや製品情報ページには、製造過程でのエコ基準や原材料調達方法が詳しく記載されていますので、比較しながら選ぶのがお勧めです。

製造プロセスにおける環境配慮ポイント

近年、多くの製紙メーカーが環境配慮を企業方針に定め、さらなる技術革新に取り組んでいます。例えば、再生可能エネルギー(風力・水力など)の活用、節水型設備や廃水リサイクル、排出物の削減、CO₂削減目標の設定といった姿勢を公式サイト等で公開しています。志の高い企業を応援することもエコ消費者の大切なアクションです。

用途別・エコな紙の選び方

生活やビジネスシーンで、どのような紙が最適なのかは「用途」と「目的」によって異なります。ここでは具体的な選び方を解説します。

印刷・コピー用におすすめのエコ用紙

家庭やオフィスで頻繁に使われるコピー用紙やプリンタ用紙。コスト重視なら古紙配合率の高い再生紙を、印刷の美しさや耐久性重視ならFSC認証紙や高品質リサイクル紙などがおすすめです。

実際に、企業の報告書やPRパンフレットは「回収用リサイクルペーパー」「FSC認証上質紙」などと明記された紙を選ぶ事例が増えています。メーカー各社が環境基準クリアをアピールし、製品パッケージにも使用認証が明記されているので、用途や希望に応じて選んでみましょう。

【実例】大学の入学案内パンフレットでFSC認証紙を採用

教育機関も環境配慮に積極的に参加。「このパンフレットはFSC認証紙を利用しています」と明記することで、未来志向のメッセージ発信にも貢献しています。

包装・梱包・ノートなど用途別事例

包装紙やギフト、商品パッケージなどは、「未晒しクラフト紙」やバガスペーパー、竹紙の他、エコラッピング用パルプ紙も人気です。非木材紙は温かみのある風合いや、エシカルギフトのメッセージ性で評価されています。

ノートやダイアリー、名刺などには「非木材紙」「高古紙配合率紙」が広く使われています。最近はサステナブルな紙製ファイルやペーパークリップといった日用品も登場しています。

コスト・品質・環境のバランス

以前はエコ紙=高コスト・低品質のイメージがありましたが、近年はコストパフォーマンスが大幅に改善されています。国内外のメーカー努力や大規模導入によって、一般的なコピー用紙と遜色ない商品も増加。また、印刷画質や紙の手触りなど「品質」についても多様なグレードや選択肢が広がっています。

【ポイント】
・ムダな消費を抑え、必要な分だけ購入する
・価格だけでなく、認証や原料の由来を比較検討
・必要な場面では従来紙と使い分ける

エコな紙を選ぶ、使うときのポイント

購入時にチェックするポイント

紙を購入するとき、下記3点に注目しましょう。

  1. 環境認証マークの有無:「FSC」「エコマーク」等認証があるか?
  2. 古紙配合率・非木材原料の表示:どんな原料で、どれくらい再生紙なのか表示を確認。
  3. メーカーの透明性・社会貢献度:製造や調達方針、環境報告書なども事前に調べてみましょう。

店頭ポップやオンラインショップの商品情報欄もチェックポイントです。

使い終えた後のリサイクル方法

どれだけ良い紙を使っても、回収・リサイクルへの配慮がなければ循環型社会になりません。

  • 分別の徹底:他のゴミと混ぜず、雑誌・ダンボール・コピー用紙等種類ごとに分別
  • 異物除去:クリップ・ファイル・窓付き封筒のプラスチック部分は外す
  • 自治体の回収ルール確認:地域によって細かいルールが異なるので事前に調べましょう

身近でできる持続可能な取り組み

普段からできるエコ紙活用術をご紹介します。

  • 両面印刷や余白活用で無駄を減らす
  • 再利用:使用済みの紙をメモ帳や下書きに再活用する
  • 紙を選ぶとき「どこで・どう作られたか」を意識する
  • SNSや口コミでエコ紙製品を広める
  • 企業・団体の啓発活動に参加する

小さな心がけが多くの紙の循環・環境改善につながります。

まとめ:これからの紙選びにできること

エコな紙の選定は、私たちの日常や企業活動の中で、意外と身近に始められる「サステナブルアクション」です。数ある紙製品の中から、環境認証マークや原料、各社のエコ姿勢を比較し、用途や予算・品質に合わせて最適なものを選びましょう。

また、使い終えた後もリサイクルや再利用で「紙の輪」を循環させ、地球資源を無駄遣いせずに次世代につなげていくことが大切です

まとめとして、今日からできる紙選びのアクションを再確認してみましょう。

  • 買う・選ぶときに「エコ」「認証」「原料」をチェック
  • 使い終えたら適切に分別・リサイクル
  • 身の回りで「エコ紙」を話題にしたり、共有
  • 消費だけでなく「生産・流通・廃棄」全体でサステナブルを意識

こうした一歩一歩が、社会をより良い方向に変えていきます。今後は、エコ紙の技術やデザインもさらに進化し、私たちの選択肢はますます広がっていくと思われます。紙を選ぶ際は、ぜひ環境保全という視点も意識して取り入れてみてください。
FSC®C028818

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