【2022年4月施行】プラスチック資源循環促進法とは?概要や対象事業者・製品をわかりやすく解説!

【2022年4月施行】プラスチック資源循環促進法とは?概要や対象事業者・製品をわかりやすく解説!
2022年10月14日
SDGs

昨今、プラスチックによる環境問題が世界中でも課題になっていますが、日本でもプラスチック資源の利用を合理化し、再利用・再資源化を目指すために、「プラスチック資源循環促進法」という法律が2022年4月に施行されました。

同法では、プラスチック製品に関わる全ての主体が一丸となり資源循環に取り組むことを求められており、多くの企業が関わりのある法律のため、その内容を理解することが大切です。

しかし、

「プラスチック資源循環促進法って聞いたことあるけど一体何なのかをよくわかっていない」
「自分たちに関係あるのか知りたい」
「どんなことをすればいいのかアイデアを探している」

このような方もいらっしゃるのではないでしょうか。

そこで本記事では、プラスチック資源循環促進法とは何か、施行の背景や措置内容、対象製品、企業に求められる取り組みについてはもちろん、対象企業が「プラスチックを減らすためにできる代替アイデア」も2つご紹介しているので、上記に当てはまる方はぜひご覧ください。

プラスチック資源循環促進法とは?

プラスチック資源循環促進法とは、プラスチック資源の循環促進を目的とした法律で、正式名称は「プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律」といいます。

同法では、プラスチックの製造・販売・排出・回収に至る全ての工程で、事業者、消費者、国・地方自治体など、関係主体が一丸となって進めるよう求めています。

なお、同法は次に紹介する「プラスチック資源循環戦略」をベースに策定されたため、後ほど解説する同戦略の基本原則の理解も必要です。

プラスチック資源循環促進法の背景

プラスチック資源循環促進法が施行された背景には、以下のようないくつかの理由が存在します。

  • 廃プラスチックによる海洋汚染
  • 廃プラスチックの世界的再利用率の低さ
  • 日本国内では一人当たり容器包装廃棄量が世界で2番目に多い
  • 廃プラスチックの輸出規制が進んでいるため国内での資源循環が求められる

世界的に見れば、風化により分解されたマイクロプラスチックが生態系に及ぼす影響が懸念されています。
また、国内に目を向ければ、プラスチック製品のリサイクル率は高い反面、その多くが焼却されたり、埋め立てられたりしているのが現状です。

これらの課題に対応するため令和元年5月に策定されたのが「プラスチック資源循環戦略」です。同戦略では以下の3R+Renewableを基本原則とし、段階的にプラスチック製品の循環を進めていく方針です。

  • Reduce:プラスチック利用の合理化、無駄の削減
  • Reuse  :使用済みプラスチック製品を繰り返し利用する
  • Recycle:廃プラスチック製品を原材料として再利用する
  • Renewable:廃棄を前提としないプラスチック製品の制作

これらの対策により、2035年までに使用済みプラスチックの100%再利用・再資源化などを目指しています。

プラスチック資源循環促進法の5つの措置内容

3R+Renewableを踏まえ、プラスチック資源循環促進法では以下の5つの措置を講じるよう、関係各所に求めています。

  1. 環境配慮設計指針の策定
  2. ワンウェイ(使い捨て)プラスチックの使用を合理化
  3. 市区町村による分別収集や再商品化を促進
  4. 製造・販売事業者等の自主回収を促進
  5. 排出事業者に対する排出抑制や再資源化を促進

それぞれ詳しく見ていきましょう。

1. 環境配慮設計指針の策定

プラスチックを使用する製品の製造業者は「プラスチック使用製品設計指針」に則り製品を設計するよう求めています。具体的には製品の減量化や分解の容易化などに努め、製品ライフサイクルの評価や、ホームページでの情報発信が必要です。

また、特に環境配慮に優れたプラスチック製品には認定制度を設け、認可されれば特定の支援を受けられるようになります。

2. ワンウェイ(使い捨て)プラスチックの使用を合理化

「プラスチック資源循環戦略」では、2030年までに使い捨てプラスチックの累積25%排出抑制を目標としています。このため、“特定プラスチック製品使用製品提供事業者”に該当する事業では削減目標を設定し、プラスチックの変わりになる製品の活用などにより、利用の合理化に取り組む必要があります。

なお、対象事業者や製品は後ほど解説しますが、特定プラスチックの提供が5トン以上である事業者は“多量提供事業者”として、勧告や公表・命令などの措置が取られる恐れもあります。

3. 市区町村による分別収集や再商品化を促進

市区町村が行う従来のプラスチック製品の回収方法では、容器包装リサイクル法の指定法人に委託し再商品化を行う以外、リサイクルの手段がありませんでした。しかし、プラスチック資源循環促進法施行により、市区町村が再商品化計画の認定を受けることで、従来の方法に加え再商品化実施者と連携して再商品化を行うことができるようになりました。

簡単にいうと、従来可燃ごみとして処分されていたバケツやおもちゃのような、プラスチック使用製品廃棄物のリサイクルも可能となるということです。これにより、資源回収の拡大が期待されます。

4. 製造・販売事業者等の自主回収を促進

プラスチック製品は形状も多岐にわたります。そのため製品への理解が深い製造・販売元が自主的に回収し再資源化することで、より資源循環を促進できると期待できます。

同制度では、製造・販売業者が「自主回収・再資源化事業計画」を策定することで、廃棄物処理法の許可がなくても使用済みプラスチック製品を回収できるようになります。

5. 排出事業者に対する排出抑制や再資源化を促進

事務所や工場、店舗等の排出事業者は「再資源化事業計画」を策定し、事業に伴うプラスチック製品の排出抑制や再資源化の具体的な目標を定め達成するよう求められます。また、排出量が250トン以上の事業者は“多量排出事業者”として、勧告・公表・命令が行なわれる恐れがあるため注意しましょう。

なお、これらの取り組みは小規模企業者等を除くすべての事業所に求められます。ボールペンやクリアファイルなど、企業活動に伴う製品も排出抑制対象のため、業種・業界を問わず多くの事業所に関係のある内容です。

対象となる事業者と製品12品目

プラスチック資源循環促進法ではほぼ全ての事業者で、何らかの形でプラスチック資源の循環に向けた取り組みが求められます。
ここでは、特に合理化が必要な「特定プラスチック使用製品提供事業者」について詳しく解説します。

対象となる事業者

特定プラスチック使用製品提供事業者は以下の業種に該当する事業者です。なお、項番A・B・Cは次に紹介する12品目と対応しています。

項番対象業種
A●各種商品小売業(無店舗を含む)
●飲食料品小売業(無店舗を含む)
※ただし、野菜・果実小売業・食肉小売業・鮮魚小売業・酒小売業を除く。
●宿泊業
●飲食店
●持ち帰り・配達飲食サービス業
B●宿泊業
C●各種商品小売業(無店舗を含む)
●洗濯業

国が特定プラスチック使用製品と定めた12品目

次に、対象業種ごとに対応が必要な特定プラスチック使用製品は以下のとおりです。

項番対象製品
A●フォーク
●スプーン(レンゲ、先割れスプーン含む)
●テーブルナイフ
●マドラー
●飲料用ストロー
B●ヘアブラシ
●くし
●かみそり
●シャワーキャップ
●歯ブラシ
C●衣類用ハンガー
●衣類用のカバー

上記の例でいうと、宿泊業では項番Aのカトラリー類の製品だけでなく、項番Bのヘアブラシやかみそりなどの製品も排出を抑制し合理的な利用を進めなければいけないため、これまでよりもプラスチック製品に対する意識を高め対応していく必要があります。

対象企業がすべき3つのこと

プラスチック資源循環促進法の規定は多岐にわたります。そのため、対象企業ではまずは以下の3つの対応をしましょう。

1. プラスチック資源循環促進法を理解する

1つ目はシンプルですが、「プラスチック資源循環促進法を理解する」ところから始めましょう。
というのも、プラスチック資源循環促進法では必要な計画書や認定申請の方法は事業者により異なります。そのため、まずは同法の理解を深めることが重要です。

2. プラスチック製品の自主回収に取り組む

2つ目は「プラスチック製品の自主回収する」ことです。特に製造販売業者では、製品設計自体の変更や排出抑制、自主回収が求められます。その中でも自主回収は早期に始めやすいでしょう。

3. プラスチック製品の提供方法を検討する

3つ目は「プラスチック製品の提供方法を検討する」ことです。販売・サービス業者では、対象12品目の削減方法を検討しましょう。例えば、「これまで無償提供していたものを有償提供に変更する」「プラスチック以外の製品に変更する」などの対策が挙げられます。

プラスチックを減らすための代替アイデア2選

プラスチック資源循環促進法では、リユース・リサイクルだけでなく、プラスチック製品そのものの利用削減も求めています。そこで、ここではプラスチック製品の代替につながるアイデアを2つご紹介します。

アイデア①:紙・木製品に代える

プラスチックの代替品として取り入れやすいのは「紙や木でできた製品」です。

マーケティング・リサーチ会社のクロス・マーケティングが実施した以下の調査によると、プラスチック製品ではなく紙製や木製でよいと思うものは以下の通りでした。(図左)

マーケティング・リサーチ会社のクロス・マーケティングが実施した脱プラスチックに関する調査

画像引用:マーケティング・リサーチ会社のクロス・マーケティング「脱プラスチックに関する調査(2022年)」

プラスチックの代替製品を取り入れる際には、上記のような調査結果を参考にしながら上位3位にある「飲料カップ」「お弁当の容器」「お店で貰うカトラリー」などの“消費者の抵抗が少ない製品”から始めるとよいでしょう。

アイデア②:LIMEXに代える

代替アイデアの2つ目は「LIMEXに代えること」です。LIMEXは“プラスチックと紙の代替となる新素材”で注目されているのでご存じの方も多いかと思います。

LIMEXについてご存じのない方は、「LIMEXとは?メリット・デメリットなどLIMEXの魅力を解説します!」で解説していますので、ぜひご覧ください。

そんなLIMEXですが、実は先述した「国が特定プラスチック使用製品と定めた12品目」のうち、5品目がLIMEXで代替できます。
LIMEXで代替できる5品目は以下の通りです。

  • ヘアブラシ
  • カミソリ
  • 歯ブラシ
  • 衣類カバー
  • ハンガー

また、LIMEXに代える優位点として「アップサイクルできる」という点が挙げられます。アップサイクルとは、“元の製品や素材よりも次元・価値の高いモノを生み出すこと”を言い、この概念は循環型社会実現に寄与するとして注目されています。

アップサイクルについてもっと詳しく知りたい方は「アップサイクルとは?メリットや身近でできる例もあわせてご紹介します!」をご覧いただければ理解を深めていただけると思います。

特に、ホテルや旅館などの宿泊業や、クリーニング店やアパレル企業などは、自社や自店でLIMEX製品を回収できるため、アップサイクルの仕組みに乗せやすいというメリットもあります。

このように、今回のプラスチック資源循環促進法の対象となった事業者は、LIMEXに代えることによるメリットが他の事業者にくらべて大きいため、LIMEXに代えることも手段の1つとして視野に入れていただくと良いでしょう。

まとめ

プラスチック資源循環促進法では、3R+Renewableを基本原則とし、関係主体が一丸となって資源循環に取り組むことを求めています。特に、飲料カップやストロー、食品容器などの再資源化は、多くの企業が該当する項目でしょう。

これらの製品は代替製品を取り入れることでも同法の達成につながります。LIMEXのようにSDGsを達成しながら食品容器やくしなど多彩な製品を成形できる新素材も登場しているため、自社事業に取り入れてもよいでしょう。

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