水なし印刷とは?SDGsに貢献できる印刷技術とそのメリット・デメリット

水なし印刷とは?SDGsに貢献できる印刷技術とそのメリット・デメリット
2025年6月10日
SDGs

近年、「SDGs(持続可能な開発目標)」に取り組む企業が増えています。その中で注目されているのが、環境にやさしい印刷技術「水なし印刷」です。

この技術を導入することで環境負荷を大幅に削減できるだけでなく、高品質な印刷物を生み出すことが可能です。この記事では、水なし印刷の基本的な仕組みやメリット・デメリットについて、分かりやすく解説します。

水なし印刷とは?

水なし印刷は、従来のオフセット印刷とは異なり、「湿し水」を一切使用しない印刷方式です。通常のオフセット印刷では、インクが必要な部分だけ紙に転写されるように特殊な液体(湿し水)を使用します。

しかし、水なし印刷では特殊な版材とインクを用いてこの工程を省略します。これにより、有害な廃液の排出が減るだけでなく、作業環境の改善や印刷品質の向上が可能になります。

SDGsに貢献できる理由

水なし印刷は、環境負荷を大幅に軽減する技術です。湿し水を使用しないことで、有害な化学物質や廃液の排出を極限まで抑えることができます。これにより、印刷工場からの排水処理負荷が低減されるほか、大気汚染防止法などの法規制にも対応しやすくなります

また、水なし印刷を採用することで、企業が環境への配慮を積極的にアピールできる点もポイントです。この技術を導入することは、企業がSDGsの目標達成に寄与する手段として注目されています。

日本水なし印刷協会のバタフライマーク

日本WPA(日本水なし印刷協会)は、この環境負荷の少ない印刷技術に賛同する企業や団体を支援しており、取り組みの象徴として「バタフライマーク」を制定しています。

このマークは環境保護の象徴であり、水なし印刷方式で印刷された製品を認定する印として活用されています。マークのデザインは、環境保全の理念を視覚的に伝えるインパクトがあるとして注目を集めています。

水なし印刷のメリット

  1. 環境への配慮
    湿し水を使用しないため、廃水やVOC(揮発性有機化合物)の発生を防ぎます。これにより、印刷工程での環境負荷が劇的に削減されます。また、廃水処理の必要がなくなることで省エネにもつながります。
  2. 高品質な印刷物
    湿し水を使用しないことでインクのにじみが減り、網点の再現性が高くなります。その結果、高精細な印刷が可能になるほか、特殊な紙素材(和紙やクレープ紙など)でも美しく仕上げることができます。
  3. 作業環境の改善
    湿し水による臭気や有害物質が発生しないため、作業者の健康リスクが低減され、安全で快適な作業環境が実現します。これにより、従業員満足度の向上も期待できます。

水なし印刷のデメリット

  1. 導入コストが高い
    水なし印刷に必要な特殊な版材やインクは、従来の印刷方式よりもコストが高くなる場合があります。そのため、初期投資が大きくなる点はデメリットです。
  2. 適応可能な印刷物に制限がある場合も
    使用する紙の種類やデザインによっては、水なし印刷が最適ではないケースもあります。特に、大量の印刷が求められるプロジェクトでは慎重な検討が必要です。

水なし印刷を導入する意義

環境問題への関心が高まる現代において、水なし印刷を導入することは、企業の持続可能な取り組みを示す有効な手段といえます。SDGs目標を達成するための具体的なアプローチとして、また印刷プロセスの効率化と品質向上を実現する技術として、導入を検討してみてはいかがでしょうか。

まとめ

水なし印刷は、環境への配慮が求められる企業にとって、SDGsへの貢献を具体的に示す印刷技術として注目されています。環境負荷の軽減や高品質な印刷物の提供が可能である一方、初期投資の高さや技術的制約という課題もあります。導入を検討する際は、企業のニーズやコストパフォーマンスを総合的に考慮することが重要です。

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