ピンクなら可愛らしさ、青ならクールさといったように、色の持つイメージはそれぞれ異なります。Webサイトやチラシなどをデザインするときには、それぞれの色のイメージがもたらす心理的効果を十分に知っておきましょう。また、複数の色を使って視認性の高いデザインのコンテンツに仕上げるコツについても把握しておくと役立ちます。そこで今回は、色の基礎知識を詳しく解説していきます。
目次
色の基礎知識!色相や彩度、明度とはどのようなもの?
色のイメージを考える際にはまず、色の三属性である色相と彩度、明度について把握しましょう。
色相
色相とは色の変化や色みを区別することをいいます。絵の具や色鉛筆などには赤や青、緑や黄色といったさまざまな色がありますが、これらの色みはすべて色相に該当します。一般的に「色」とだけいった場合には、色相を意味していることがほとんどです。
色相は、色相環やカラーサークルのグラデーションで表せます。色の微妙な違いを円形に配置すれば、色の対比を一目で把握できるのです。色相環やカラーサークルで隣り合っている類似色は馴染みやすく、反対側にある補色にはお互いの色を目立たせる効果があります。Webデザインやチラシデザインの際には、類似色や補色の性質を上手に使うことが重要です。
彩度
彩度とは色の鮮やかさ、または色の強さの度合いを指します。鮮やかな色合いや冴えわたった色合いは高彩度と呼ばれます。これに対し、くすんだ色合いや鈍い感じの色合いを低彩度といいます。
高彩度は英語ではビビッドと表現します。派手で目立つ高彩度の色合いには、元気でパワフルなイメージが漂います。一方で、グレーの割合が高くなった低彩度の色合いには、落ち着いた雰囲気があります。彩度の低い色は、地味または渋いと表現されることもあります。なお、彩度が特に低い白や灰色、黒といった色は無彩色と呼ばれています。
明度
明度とは色の明るさの度合いのことです。パッと目を引くような明るい色合いは高明度と呼ばれます。逆に、暗い色合いは低明度と表現されます。最も明度が高い色は白、明度が低い色は黒になります。明度が高くなるほど色は白に近づき、逆に明度が低い色合いは黒っぽく見えやすくなります。
色にはそれぞれ反射率があり、白や黄色、黄緑などの色はかなり明るく見えるものです。黄色や黄緑は明度が高いため、よく反射して明るく見えます。一方で、青や紫といった反射率の低い色は明度も低めです。
色の持つイメージ
色によって、その色が持つイメージや雰囲気は異なります。ここからは、色ごとのイメージについて詳しくみていきましょう。
赤
赤という色に対して、パワーやエネルギーといったポジティブなイメージを感じる人は多いと思います。目を引きやすい赤は購買色や販売色ともいわれ、店舗のセールなどの情報を目立たせるときによく使われます。一方で、赤には警告や危険といった意味合いも含まれます。また血液の色である赤には、不吉さなどネガティブな印象もあります。
白
どのような色にも染まっていない白は、無垢で清潔な印象を表現したいときに最適です。他の色と組み合わせやすい万能さが、白という色ならではの良さといえます。ただし、白のみでデザインすると、やや味気ない風合いになってしまいます。また、手抜きをしたような雰囲気が出てしまうこともあるので注意が必要です。白を使ってデザインをするときには、他の色を上手に取り入れてメリハリを持たせることが大切です。
黄色
黄色には、さんさんと輝く光のイメージ、幸せや希望といったイメージが伴います。また、暖色系の中でも特に明るいため、快活な雰囲気が生まれやすいのも黄色の特徴です。黄色には警戒や注意といった意味合いもあり、黒と組み合わせることで特に強い印象を与えられます。
ピンク
ピンクには柔らかく優しい印象、女性的な印象があります。可愛らしさや幸福感を表現できることから、女性向けの商品やサービスには、特にピンクがよく使われます。淡いピンクには穏やかな雰囲気がある一方、ビビッドなピンクには激しさや色気を感じさせる効果もあります。ピンクを使うときには、濃淡のイメージの違いを十分に理解しておきましょう。
青
寒色と呼ばれる青には寒さや冷たさ、清涼感といったイメージが付随します。空や水の色でもある青は、明度を上げたときに空色または水色と呼ばれることもあります。青に対して誠実さやクールさ、爽やかさ、落ち着きといった印象を持つ人も多いでしょう。一方、青は憂鬱さや陰鬱を象徴する色合いでもあります。
緑
植物の色合いである緑には、大自然の穏やかさや安らぎといったイメージが伴います。また、緑は若々しさやフレッシュさを表現する際にも使われます。環境に配慮した、エコな製品のデザインなどには緑が使われやすい傾向にあります。緑はそれほど主張しない色なので、あらゆるデザインに上手に馴染んで活用できるでしょう。
紫
紫は高貴かつ神秘的な色合いです。ファッションに取り入れれば、優雅で品のあるイメージを演出できます。ワインレッドまたはレッドパープルと呼ばれる赤紫と、ヴァイオレットと呼ばれる青紫では印象が変わってくるため、上手に使い分けることが肝心です。
オレンジ
太陽や果実をイメージさせるオレンジは、活発さや陽気さを連想させるポジティブな色です。またカジュアルで親しみやすい雰囲気が漂うのも、オレンジの特徴です。オレンジは親しみやすく庶民的な印象があることから、企業ロゴなどにも多く採用されています。
黒
黒には明度や彩度がなく、一色のみで使った場合には重く硬質なイメージが漂います。一方で他の色と組み合わせれば、その色の効果が際立ちやすくなります。黒には鋭さや高級感を表現しやすいという特徴があります。ただし、闇や死、恐怖などを象徴する黒には暗く冷酷なイメージもあるため、使い方には注意が必要です。
金銀
金や銀は、豊かさや高価であることを表現したいときにぴったりな色です。光り輝く金や銀には、他の色にはないオンリーワンの特別感があります。一方で、金や銀を多用すると派手で品のない雰囲気になってしまう場合もあります。デザインに金や銀といったカラーを取り入れるときには、シャープでスタイリッシュな雰囲気を意識するのがおすすめです。
Webサイトやチラシ制作における色選びのコツ
Webサイトやチラシのデザインをする際には、見やすさにこだわって色選びをしましょう。色選びに慣れていない場合には、つい多くの色を使ったり派手にしたりしてしまいますが、かえって見にくくなってしまうこともあります。
ここからは、Webサイトやチラシ制作の色選びのポイントを解説していきます。
色数はできるだけ少なくする
Webサイトやチラシのデザインで色を使い過ぎると、まとまりや統一感が失われてしまいます。ごちゃごちゃとした印象を与えてしまったり、ターゲットへの視線誘導がうまくいかなくなったりするおそれもあるので注意が必要です。
特別な意図がないのなら、デザインで使う色は3色ほどに絞りましょう。色数を絞れば強調させたい部分が明確になり、意図が伝わりやすくなります。目立たせたい部分には、メインのカラーやアクセントカラーを使います。それから、色相が近い色を選んで周辺のデザインをして整えていくのがおすすめです。
色で意味を伝えようとしない
Webサイトやチラシデザインの際に、色で内容や意味の違いを表現しようとする人もいます。色にはそれぞれの色が持つイメージや雰囲気の違いがあるため、情報が伝わりやすいと思われがちです。しかし、色自体には意味や情報を伝える機能はありません。例えば注意を引きたいときには赤や黄色が使われがちですが、色の印象は受け取り手の感覚によって異なります。色の機能に限界があることを把握しておけば、デザインのミスマッチを減らせます。デザインをする際には色に頼りきりになるのを避け、文字や文脈でしっかりと説明をしましょう。
コントラストの低いテキストは使わない
コントラストとは対比や対照を意味する言葉で、デザインにおいては明暗や鮮やかさの差のことを指します。文字色と背景色のコントラストが似通っている場合、テキストはどうしても読みにくくなります。最近ではあえて低コントラストのテキストを採用する例もありますが、見にくいテキストを提供するのは得策ではありません。コントラストに着目して色選びをすれば、視認性の高いWebサイトやチラシに仕上がります。情報をしっかりと伝えるためにも、背景色や文字色のコントラストにこだわりましょう。
アクセシビリティを忘れない
アクセシビリティとは近づきやすさ、利用しやすさといった意味の言葉です。Webサイトデザインにおいて、すべての閲覧者がWebページを問題なく利用できるようにすることをアクセシビリティと表現します。あらゆる人が情報を適切に受け取れるよう、見え方や見やすさにはこだわりが必要です。例えばカラーブラインド対策のためには、色だけに頼らないデザインが必須です。テキストや背景の色合いに十分配慮し、読みやすく情報が伝わりやすいデザインに仕上げていきましょう。
まとめ
Webサイトのデザインやチラシデザインでは、色が持つイメージをうまく反映することが重要です。色の使い方によって、デザインのイメージや内容の伝わりやすさは大きく変わってきます。情報を正確かつ効果的に伝えるためにも、状況に応じて適切に色を使い分けてみましょう。
色について、「RGB」と「CMYK」について解説している記事もあるので合わせて読んでみてください。