印刷物を発注するときは、印刷物のサイズ、用紙、色数、加工、部数についての情報を印刷会社に伝える必要があります。印刷物の見積依頼をするときも、この5点の情報を相手に伝えれば大丈夫です。
また印刷物の発注から納品までの流れを知っておくと、印刷会社の担当者とスムーズにやりとりできます。本記事では、印刷物を発注する前に知っておきたい見積依頼の仕方、印刷物の基本的な仕様、製作の流れについて解説します。
目次
印刷物の見積依頼の仕方

印刷物の発注に当たって、まず印刷料金の見積依頼を出す必要があります。しかし正確な印刷料金は、印刷物の仕様が確定してからでなければ分かりません。
そのため正確な見積もりが欲しい場合は、印刷会社の担当者に対し、事前に印刷物の仕様をきちんと伝えておく必要があります。電話やメールフォームで問い合わせる段階で印刷物の仕様を伝えておくと、その後の見積もりの流れがスムーズです。
また印刷物の仕上がりや、完成品のイメージを正しく伝えることも大切です。正確な情報を共有できていないと、後で必要な印刷工程が増えてしまい、追加料金が発生する可能性があります。見積依頼を出すときにどのような情報を担当者に伝えるべきかを把握しておきましょう。
印刷物の仕様

印刷物の見積依頼をする際は、以下の項目を担当者に伝えてください。
- 印刷サイズ
- 用紙
- 色数
- 加工
- 部数
印刷物の仕様を正確に伝えるには、この5つの情報が必要です。
印刷サイズ
1つ目の項目は、印刷物のサイズ(長辺と短辺の長さ)です。印刷物は以下のとおり規格サイズが決まっているため、当てはまるものを担当者に伝えましょう。
A判 | B判 | ||
A0 | 841mm×1,189mm | B0 | 1,030mm×1,456mm |
A1 | 594mm×841mm | B1 | 728mm×1,030mm |
A2 | 420mm×594mm | B2 | 515mm×728mm |
A3 | 297mm×420mm | B3 | 364mm×515mm |
A4 | 210mm×297mm | B4 | 257mm×364mm |
A5 | 148mm×210mm | B5 | 182mm×257mm |
A6 | 105mm×148mm | B6 | 128mm×182mm |
A7 | 74mm×105mm | B7 | 91mm×128mm |
A8 | 52mm×74mm | B8 | 64mm×91mm |
A9 | 37mm×52mm | B9 | 45mm×64mm |
A10 | 26mm×37mm | B10 | 32mm×45mm |
ビジネス向けの印刷物でよく使われるのは、A4判やB5判、A5判などの規格サイズです。規格以外のサイズ(正方形など)で印刷物を製作したい場合は、担当者に長辺と短辺の長さを伝えてください。
用紙
2つ目の項目は、印刷に使用する用紙です。用紙は大まかにコート紙・マット紙・上質紙・特殊紙の4種類に分けられます。
用紙の種類 | 特徴 |
コート紙 | 表面が加工され、ツルツルとした光沢感のある用紙 |
マット紙 | 表面のつや消し加工により、光沢感が抑えられた用紙 |
上質紙 | 表面加工がなく、鉛筆やボールペンで書き込みができる用紙 |
特殊紙 | 箔押しや凹凸加工(エンボス加工)など、特殊な加工が施された用紙 |
どの用紙が最適かは、印刷物の用途によって変わってきます。例えば、保存用か、配布用か、ボールペンなどで書き込みをするのか、といった条件によっておすすめの用紙が異なるため、問い合わせの際に相談してください。
色数
3つ目の項目は、印刷物の色数(いろかず)です。印刷物を依頼するときは、印刷に使う色の数を担当者に伝える必要があります。
例えば、黒いインクしか使用しないモノクロ印刷の色数は1色です。一方、カラー印刷の場合は、基本的に4色として数えます。4色になる理由は、カラー印刷ではシアン、マゼンタ、イエロー、キープレート(黒)のレギュラー4色(CMYK)の掛け合わせにより、さまざまな色を表現しているためです。
また片面印刷ではなく、両面印刷にする場合は、裏面の色数も伝える必要があります。印刷物の見積依頼をする際は、以下の表を参考に色数を伝えてください。
印刷の種類 | 色数 |
モノクロ印刷(片面) | 1/0 |
モノクロ印刷(両面) | 1/1 |
カラー印刷(片面) | 4/0 4C/0C |
カラー印刷(両面) | 4/4 4C/4C |
※カラー印刷でも、特色1色の場合は色数を1または1Cと表現します。
加工
4つ目の項目は、印刷物の加工についてです。印刷工程でどのような加工を行うかによって、印刷物の見た目や仕上がりが大きく変化します。
加工の種類 | 内容 |
折り加工 | 製本作業でページをどのような形で折るかを決める(二つ折り、三つ折り、観音折りなど) |
綴じ加工 | 製本作業で冊子をどのような方法で綴じるかを決める(中綴じ、平綴じ、無線綴じ、ミシン綴じなど) |
表面加工 | 印刷物の表面をどのように加工するかを決める(PP加工、プレスコートなど) |
その他の加工 | 印刷物に特殊な加工をするかどうかを決める(箔押し、スジ押し、ミシン入れなど) |
詳しい加工方法については、印刷会社の担当者に問い合わせてください。見積依頼の段階では、印刷物の加工について大まかなイメージがあれば十分です。
部数
最後に印刷物の部数(ロット)を伝えましょう。一般的な傾向として、印刷物の部数が多くなるほど、印刷料金の単価が低くなります。
ただし、少部数(小ロット)での印刷ができないわけではありません。少部数での印刷に適した印刷方法(オンデマンド印刷など)もあるため、担当者に相談してください。
契約・発注までの流れ

印刷物の契約・発注までの流れは以下のとおりです。
- 問い合わせ
- ヒアリング
- 見積もり
- 契約・発注
特に初めて印刷物を依頼する方は、大まかな発注の流れを確認しておきましょう。
問い合わせ
まずは電話やメールフォームなどから、気軽に問い合わせを行ってください。問い合わせの段階で、印刷物の仕様についての希望を伝えておくとスムーズに進みます。
ヒアリング
次に印刷会社の担当者から折り返し連絡があり、印刷物の仕様について細かくヒアリングを行います。ヒアリングの内容に基づいて、印刷サイズや色数などの項目を見直し、印刷物の仕様を確定させます。印刷物について分からないことがある場合は、この段階で担当者に質問してください。
見積もり
確定した仕様に基づいて、印刷料金の見積もりを行います。もし見積内容に納得できない場合は、予算に合わせて印刷物の仕様を見直し、印刷料金を調節することも可能です。
契約・発注
見積内容に納得できたら、正式に契約・発注を行います。この段階で、印刷物が出来上がるまでのスケジュールや納品方法、印刷料金の振込方法などが伝えられるため、忘れないように控えておくとよいでしょう。
印刷データの製作・納品の流れ

印刷物の発注が決まったら、印刷データを入稿し、いよいよ製作工程に移ります。
- 校正
- 印刷
- 加工
- 納品・請求
この工程では、印刷物の依頼者も関わる箇所がいくつかあります。例えば、印刷データの校正確認などの工程です。
印刷物の納期は、依頼者のレスポンスの早さによっても変わってきます。スムーズに印刷物が納品されるように、印刷データの製作・納品の流れを把握しておきましょう。
校正
まずは入稿データをチェックし、色校正やサンプル校正を行います。色校正とは、印刷データを実際に出力し、色味やサイズ、雰囲気などをチェックする校正です。別途費用がかかることが多いものの、本番と同じ紙を使用した本紙色校正、本番と同じ印刷機を使用した本機色校正などを選択できる場合もあります。
また平面の印刷物ではなく、ノベルティなどの立体物を製作する場合、実際に組み立てて仕上がりを確認するサンプル校正が選べる印刷会社もあります。
校正が終わったら、問題があった点や修正を行った点を依頼者に伝えなければなりません。校正作業は、依頼者の確認の後完了となるため、なるべく早くレスポンスすると流れがスムーズです。
なお、校正が完了した状態を校了(こうりょう)と言います。校了後、いよいよ印刷や加工を行っていきます。
印刷
校正が終わった印刷データを使用し、印刷機で印刷します。事前に印刷OKの連絡をしないと印刷が始まらないケースもあるため、印刷会社からの電話やメールをこまめにチェックしてください。
また写真集や画集など、仕上がりが重要な印刷物の場合、立ち会いでの確認が可能な場合があります。立ち会いでの確認を希望する場合は、事前に担当者に相談してください。
加工
次に印刷物の折り加工、綴じ加工、仕上げ断ちなどの加工を行っていきます。特殊加工が必要な場合は、自社の印刷工場でなく、外部の協力工場に加工を依頼するケースもあります。
納品・請求
印刷・加工が完了したら、印刷物の納品を行います。印刷会社によっては、自社以外の指定の場所や、複数拠点に印刷物を届けることが可能です。ただし、その場合運賃は別途請求されることがあります。
印刷物の依頼は前払いが基本のため、出荷日までに印刷料金の支払いを済ませておきましょう。
【まとめ】初めての方は印刷物を発注する流れを知っておこう
印刷を依頼するのが初めての方は、印刷物の発注から納品までの流れを知っておきましょう。印刷物の製作工程には、印刷会社が作業する箇所だけでなく、依頼者が関わる箇所もたくさんあります。
例えば、印刷料金の見積依頼を出すときは、依頼者自身が印刷物の基本的な仕様を理解した上で、担当者に対し正確に伝えなければなりません。問い合わせの段階で、少なくとも印刷サイズ、用紙、色数、加工、部数の5つの情報を伝えるようにしてください。
また印刷物の発注後は、印刷データの入稿や、印刷会社による校正・データチェックへのレスポンスといった作業も必要です。印刷物を依頼する前に、印刷物の大まかな仕様や発注の流れといった基礎的なことを把握しておきましょう。
印刷会社を選ぶときに見るべきポイントについて、下記ダウンロード資料で解説してるので、あわせてぜひご覧ください。
