出版や紙やWebコンテンツ制作など、文章を公に発信する仕事をするうえでは欠かすことのできないプロセスのひとつが「校正」です。
校正というとなんとなく「文章を正しく修正する」というイメージがありますが、具体的には文章のどのような部分をどのように修正するのでしょうか。
本記事では、校正とは一体どのようなものでなぜ必要なのか、また、校閲との違い、校正をするうえでのポイントなどをわかりやすく解説します。
「校正とはなんなのか改めて理解しておきたい」
「校正と校閲の違いを知りたい」
「コンテンツの質を上げるためにも校正のポイントを押さえておきたい」
上記に当てはまる方はぜひご覧ください。
目次
校正とは?
校正とは、文章の中に誤字や脱字、表記のゆれ、スペルミスなど表記の誤りがないかを確認し、正しく修正するプロセスのことです。
媒体独自の表記ルールが定められている場合にはそのルールに沿って文章が書かれているかといったことも確認します。 具体的には次のような例が挙げられます。
種別 | 誤 | 正 |
---|---|---|
誤字 | 暖かい飲み物 | 温かい飲み物 |
脱字 | 3つの方法がありす | 3つの方法があります |
表記ゆれ | 子ども、子供、こども | →いずれかに統一 |
全角・半角 | 100(全角)、100(半角) | →いずれかに統一 |
送り仮名 | 売り上げ、売上 | →いずれかに統一 |
スペルミス | Unaited Stats of America | United States of America |
このように、校正では一つひとつの言葉や記号に誤りがないかを検査する作業ですが、校正の作業は大きく二つに分類できます。
まずひとつは「突き合わせ」です。
「突き合わせ」は、修正を指摘した原稿が、きちんと指摘どおりに修正されているかを1文字ずつ確認する作業のことをいいます。
もうひとつは「赤字照合」。
「赤字照合」は元の原稿に書き込んだ修正内容が、修正後の原稿に正しく反映されているかを確認する作業です。 「突き合わせ」が文字単位であるのに対し、「赤字照合」は修正点単位での確認となります。
校正と校閲の違い
校正が「文字の誤り」を正すプロセスとすると、校閲は「内容の誤り」を正すプロセスです。
校閲は具体的に、次のような点を確認します。
- 文章に書かれていることが事実であるか
- 文章が無許可で引用されていないか
- 差別表現や不適切表現を用いていないか
- 地名や固有名詞が正しいか
- データに誤りがないか
- 信頼のできるデータであるか
- 誤った図表や写真を用いていないか
- 同じ文章内で内容や論理構成に矛盾が生じていないか
このように、校閲で確認する範囲は多岐にわたり、修正や確認が必要な箇所についてはライターや編集者に再確認や修正を依頼します。
(場合によっては、校閲者自身が修正や加筆を行うこともあります。)
校閲の作業はおもに「素読み」と「事実確認」の2つです。
「素読み」は原稿を徹底的に読み込み、文章中の間違いがないかを探す作業で、ここでは、内容はもちろんのこと、誤字や脱字などあらゆる間違いを探します。
そして、素読みをさらに掘り下げて、内容が正しいのかを調べていく作業が「事実確認」です。
事実確認をする際は、その「事実」とする情報の出どころが信頼できるかどうかを見極めることも非常に重要です。 インターネットの情報だけではなく、文献や書籍などを確認することもあります。
校正・校閲が重要な3つの理由
校正・校閲がなぜ重要なのかというと、大きな理由としては以下の3つが挙げられます。
- 文章を読みやすくするため
- 文章の価値を高めるため
- トラブルを回避するため
文章を書くとき、誰しも意図的に間違った文章を書こうとはしません。しかし、意図せずとも間違いというのはどうしても発生してしまうものです。
とはいえ、「誰にでも間違いはある」といって間違いのある文章を放置しておくわけにもいかないため、校正・校閲が重要となります。
上記3点について以下で詳しく解説します。
1. 文章を読みやすくするため
どれだけ内容が充実した文章であっても、誤字や脱字が多かったり、文章の構成がチグハグになっていると、読みづらい文章になってしまいます。
それどころか、本来筆者が伝えたかったことさえも正確に読み手に伝わらなくなってしまう可能性もあります。
校正や校閲は文章を読みやすくし、その文章が持つ本来の目的を果たすためにも欠かせないプロセスです。
2. 文章の価値を高めるため
たとえ誤字脱字のない文章であったとしても、書かれている内容が事実と異なる場合、読み手はその文章に価値を見出すことはできません。
少し大げさに言うと、その文章を読むこと自体が無駄な行為になってしまいます。
そこで、校正や校閲によって文章を正確な内容へと正し、信頼性を持たせることで、その文章の価値を高めることができます。 そして、それは情報発信者の存在価値を高めることにもつながるのです。
3. トラブルを回避するため
校正や校閲をせず誤った情報を発信してしまった場合、発信者と受け手の両方が損害を被る可能性があります。
たとえば、製品カタログであれば、消費者が誤った情報を受け取り、商品を購入してしまうことで何らかのトラブルが生じ、カタログだけではなく製品を回収する事態にもなりかねないですし、医療や健康に関する情報であれば、情報を受け取った人の命に関わる問題が生じる恐れもあります。
このようなトラブルを回避するためにも、校正や校閲は欠かすことができません。
校正や校閲が必要不可欠なコンテンツ
基本的にはどんなコンテンツでも校正・校閲が必要ですが、特に必要不可欠なのは「社外に出るコンテンツ」です。
例えば、会社案内、カタログやチラシ、DM、カレンダーなどが該当します。
仮に、これらコンテンツが誤った表記や内容で社外に出てユーザーへ伝わってしまうと、誤解も招き企業としてのイメージダウンにつながりかねないですよね。
加えて、印刷物のコンテンツであった場合、刷ったあとに修正しようとしても「刷り直し」になり、余計なコストがかかってしまう恐れもあります。
なので、「社外に出るコンテンツ」は特に校正・校閲を行うように心がけましょう。
校正のポイント
校正を行う上でのポイントは、「内容を読まずに、文字を見る」ということです。
これは、文章の内容を読んでしまうと、たとえその文章に間違いがあったとしても、文章の前後の流れから脳が自動的に正しい文章に変換し、間違いがないものとして認識してしまうことを防ぐためです。
この思い込みによる見落としを避けるため、文章を逆から読む方法も効果的といわれています。
さらに、校正では表記ルールに関しての正しい知識をあらかじめ身につけておくことも大切で、この知識が無い状態で校正をしようとしても、そもそも間違いに気付くことすらできないためです。
校正をする上では、正しい知識である「軸」を持ち、常に「間違ってはいないか」という眼差しを向け続けることが大切です。
まとめ:校正は質の高い文章にするために欠かせないもの
校正や校閲を行っていない文章は、場合によってはその文章の存在意義すら危ぶまれる可能性があります。
校正や校閲は非常に地道な作業ではあるものの、情報を発信する側、受け取る側にとって非常に重要な意味を持つプロセスです。 膨大な情報が日々飛び交う現代だからこそ、情報発信者には校正や校閲を行った質の高い文章を発信することが求められます。
メールマガジンで「印刷」や「デザイン」に関するお役立ち情報を定期的にお届けしています!
▼メルマガ無料購読はこちらから!