環境問題への関心が高まる中、「脱プラスチック」は企業や消費者が持続可能な社会を実現するために取り組むべき重要課題です。
本記事では、脱プラスチックの重要性やその背景、日本国内の現状と具体的な取り組み事例を取り上げます。また、プラスチックの代替品として注目される素材についても解説します。
目次
脱プラスチックが注目される理由
プラスチックはその利便性ゆえに私たちの生活に欠かせない存在となっていますが、その一方で環境問題への影響が深刻化しています。脱プラスチックが注目される理由を、地球温暖化、海洋汚染、そして社会的責任と消費者意識の変化という観点から解説します。
地球温暖化への影響
プラスチックの製造から廃棄に至るまでの過程で、大量の二酸化炭素(CO2)が排出されています。プラスチック製品の主原料である石油や天然ガスの採掘・加工はエネルギーを多く消費し、温室効果ガスの排出源となっています。特に、廃棄処理として焼却が行われた場合、さらに大量のCO2が放出され、地球温暖化を加速させる要因となります。
これにより、気候変動が深刻化し、自然環境や経済活動に影響を及ぼしているのです。脱プラスチックを進めることは、製造プロセスや廃棄処理の改善を通じて温室効果ガス排出を抑制し、持続可能な未来への一歩となります。
海洋汚染の深刻化
プラスチック廃棄物が適切に処理されない場合、最終的に海洋へ流出するケースが増えています。この結果、進行するのが海洋汚染の問題です。特に深刻なのは、プラスチックが分解されずに浮遊し続けることや、最終的に微小サイズの「マイクロプラスチック」として海洋生態系に浸透する現象です。
これにより、魚や海鳥がプラスチック片を誤飲し、食物連鎖を通じて人間社会にも影響を及ぼします。企業や自治体が脱プラスチックに取り組むことで、生態系の維持と海洋資源の保護に貢献できるのです。
社会的責任と消費者意識の変化
近年、環境問題への関心が高まり、脱プラスチックへの取り組みは単なるエコ活動にとどまらず、企業の社会的責任(CSR)の一環として重要視されています。消費者もまた、プラスチック製品に代わる環境に優しい代替品を選ぶ傾向が強くなっています。
具体的には、再利用可能な製品、リサイクル可能な素材、そして持続可能な製品を求める消費者が増加しており、これが企業の経営方針や製品開発に影響を与えています。「環境への配慮」が新たな価値として認識される時代では、脱プラスチックを実現する取り組みが、企業の競争力を高める要因となるのです。
■関連記事:CSR(企業の社会的責任)とは?意味やCSR活動の具体例をわかりやすく解説
日本のプラスチック問題の現状

日本は世界的に見てもプラスチック消費量が多い国であり、その使用の多さが環境問題の一因となっています。ここでは、日本が抱えるプラスチック問題の現状について、4つの視点から掘り下げます。
プラスチック廃棄物の排出量
日本では、 令和6年度版環境白書によると、2021年のプラスチック廃棄物の総量は約759万トンに上り、そのうち約18%が廃プラスチックとして処理されました。この数字は、国内におけるプラスチック消費の多さを示すとともに、廃棄物処理が重要な課題となっていることを浮き彫りにしています。特に使い捨てプラスチックが大きな割合を占めており、食品包装、飲料容器、レジ袋などの日常生活品がその例です。これらの廃棄物を削減し、適切なリサイクルを促進することが、持続可能な社会への鍵となっています。
参考:環境省「環境白書・循環型社会白書・生物多様性白書」
サーマルリサイクルへの依存
日本にはプラスチック廃棄物のリサイクル率が高いというイメージがありますが、その多くは「サーマルリサイクル」に分類されています。サーマルリサイクルとは、廃棄されたプラスチックを燃焼させ、その際に発生する熱をエネルギーとして利用する方法です。
しかし、これは厳密にはリサイクルではなく、焼却による温室効果ガスの排出を伴います。プラスチックの循環利用にはつながらず、持続可能なリサイクルの理想には程遠い状況です。この依存体質を脱却し、素材循環型のリサイクルの推進が急務となっています。
輸出に依存していた廃プラスチック処理
過去には日本の廃プラスチック処理の一部が途上国への輸出に依存していました。しかし、2018年、中国が廃プラスチック輸入規制を強化したことで、この流れは大きく変わりました。それ以降、東南アジア諸国に輸出する動きが見られましたが、各国も規制を強化し始めたため、日本国内での廃プラスチック処理は逼迫している状態です。この輸出依存型の処理方法は、国内のリサイクル体制が未発達であることを浮き彫りにしており、今後の対応が求められる課題となっています。
日本の脱プラスチックに向けた取り組み
日本では、プラスチックによる環境問題を改善するために、政府と企業がそれぞれの立場から積極的に取り組みを進めています。以下では、政府が推進する政策と企業が実施する具体的な行動について解説します。
政府
政府は、法規制や政策を通じて脱プラスチックを推進し、社会全体で持続可能な資源循環を目指しています。
プラスチック資源循環促進法

2022年に施行された「プラスチック資源循環促進法」は、プラスチックのリデュース(削減)、リユース(再利用)、リサイクル(再生利用)を総合的に促進するための法律です。この法律では、使い捨てプラスチックを削減することを目的とし、企業や自治体に対してリデュースの推進とプラスチック製品の設計段階から環境負荷の少ない素材を使用するよう促しています。また、リサイクルを容易にするためにプラスチック製品の分別回収が強化されており、循環型社会への移行に向けた重要な指針となっています。
■関連記事:プラスチック資源循環促進法とは?概要や対象事業者・製品をわかりやすく解説!
レジ袋有料化

2020年7月に開始されたレジ袋有料化は、日本における脱プラスチックの取り組みの象徴的な政策です。この制度により、コンビニやスーパーなどで提供されるプラスチック製レジ袋が有料化され、必要性のないレジ袋の使用を削減することに成功しました。有料化を通じて、消費者の環境意識が高まり、マイバッグやエコバッグを持参する活動が広まりました。レジ袋の削減という具体的な行動が、次の世代への環境負担を軽減する一歩となっています。
企業
企業は、脱プラスチックの取り組みを通じて持続可能な経済活動を目指しており、環境にやさしい製品やサービスを提供することで社会的責任を果たしています。
代替品の利用

プラスチックの代替品として、紙やバイオプラスチック、LIMEXなどが注目されています。紙はリサイクル性に優れ、食品包装や容器として広く活用されています。バイオプラスチックは植物由来の原料を使用し、環境負荷の軽減や生分解性の特性から利用が増えています。さらに、石灰石を主原料とした日本発の新素材LIMEXは、紙やプラスチックの代替として食品容器や名刺などに採用され、水や木材の使用を削減可能です。これらの素材の導入は、脱プラスチック社会への重要な一歩となっています。
■関連記事:LIMEX(ライメックス)とは?メリット・デメリットや活用事例を解説します!
リサイクルの活用

プラスチックリサイクルの活用も進んでいます。特に食品容器やボトルなどでは、回収されたプラスチックを再生素材として利用し、新しい製品を生み出す企業も増えています。また、リサイクルにより得られた素材を使用した製品は、消費者にも環境配慮型の選択肢を提供しています。企業間での技術共有や協力によって、リサイクルの可能性がさらに広がっています。
使い捨て製品の削減

使い捨てプラスチックを減らすための取り組みも数多く行われています。例えば、飲食店ではプラスチック製のカトラリーや容器を廃止し、再利用可能な食器への移行を進めています。また、ホテル業界ではアメニティの提供を見直し、リユース可能な素材を使用した製品を導入する動きも広がっています。このように、企業が率先して使い捨て製品を減らすことは、消費者の選択にも影響を与えています。
まとめ:脱プラスチックの課題と展望
脱プラスチックは、地球温暖化や海洋汚染といった環境問題の解決に向けた重要な課題です。日本国内では、政府による法規制の導入や企業の積極的な代替品活用、リサイクル促進など、多方面での取り組みが進んでいます。その中でも、紙や新素材LIMEXの活用は、環境負荷の軽減と持続可能な資源循環の実現において重要な役割を果たしています。特に環境にやさしい紙の導入は、企業の環境配慮型ビジネスへの移行を促す効果的な手段といえるでしょう。
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