STP分析とは?効果的なマーケティング戦略を立案するためのやり方や注意点を解説

STP分析とは?効果的なマーケティング戦略を立案するためのやり方や注意点を解説
2023年10月16日
マーケティング

STP分析は、新規事業を展開したり、ライバル企業との差別化を図ったりするときに役立つ分析手法です。業種に関係なく活用できるため、理解を深めておきましょう。

この記事では、STP分析の概要や必要性、分析のやり方について詳しく解説します。効率よく事業を展開したい人は、ぜひ参考にしてください。

STP分析とは

STP分析とは、マーケティングの分野で活用されるフレームワークのひとつです。S(セグメンテーション)、T(ターゲティング)、P(ポジショニング)の3つで構成されており、新しい事業を展開したり、商品やサービスを効率よく販売したりするために用いられます

STP分析の大きな特徴は、どのような業種でも活用できることです。具体的には、市場の全体像を把握したうえで細分化し、狙うべき市場や自社の立ち位置を決定します。常にユーザー目線で分析を行い、事業を展開していくことが重要です。

STP分析の必要性を3つのポイントで解説

STP分析を行うことで、効果的なプロモーション戦略のヒントを得られます。ここでは、STP分析の必要性について解説しますのでチェックしておきましょう。

1. 顧客やニーズの存在を具体的に把握できる

顧客やニーズの存在を把握できることは、STP分析の特徴のひとつです。STP分析では市場を細分化して捉えるため、どのような顧客やニーズが、どの市場に存在しているのかを具体的に把握できます。STP分析を行うことで正確なペルソナを設定でき、効果的なプロモーションを実施できるでしょう

2. 自社の製品やサービスの強みを明確にできる

自社の製品やサービスの強みを明確にするためにも、STP分析は必要です。STP分析を通して、設定したペルソナに対するアピール方法を検討することで、特徴や強みを明確化できます。明確になったポイントを社内で共有しておけば、営業力の強化にもつながるでしょう。

3. ライバル企業との差別化ポイントを把握できる

STP分析を活用すれば、ライバル企業との差別化ポイントを把握することも可能です。STP分析においては他社の製品やサービスの分析も実施するため、自社との違いを明確化できるでしょう。マーケティング戦略を比較し、競争を回避しながら販路を広げることもできます。

STP分析における3つの要素

次に、セグメンテーション・ターゲティング・ポジショニングのそれぞれの要素について詳しく解説しますので、確認しておきましょう。

【S】セグメンテーション

セグメンテーションとは、市場の全体像を把握したうえで細分化することです。市場全体だけをざっくりと捉えるのではなく、細かな属性やニーズに応じて顧客を分類します。分類するときの指標としては、年齢や性別、ライフスタイルなどが挙げられます。

顧客を細かく分類しておかなければ、自社のターゲットを設定したり、効果的なプロモーション戦略を立案したりできません。効率よく事業を展開するためにも、セグメンテーションをしっかりと実施しましょう。分類するときの具体的な指標は次のとおりです。

人口動態変数(デモグラフィック変数)

年齢や性別、職業や学歴などは、セグメンテーションにおける代表的な指標です。顧客ごとの基本的な属性といえるでしょう。統計調査などから把握できます。

地理的変数(ジオグラフィック変数)

住んでいるエリアや、その地域の文化などもセグメンテーションに用いられる指標です。事業を展開するエリアが限定されている場合などに、役立つ指標といえるでしょう。統計調査や地図などから把握できます。

心理的変数(サイコグラフィック変数)

心理的変数とは、性格や価値観、ライフスタイルといった心理に関する指標です。製品やサービスを利用した動機なども心理的変数に含まれます。顧客へのアンケート調査などから把握しましょう。

行動変数(ビヘイビア変数)

購入の頻度やタイミングなどは、行動変数に該当します。顧客ごとの購入履歴や行動データから把握しましょう。

【T】ターゲティング

ターゲティングとは、狙うべき市場やターゲット層を決めることです。セグメンテーションによって細分化した市場のなかから、自社の製品やサービスにマッチしそうな市場を選びます。

優れた製品やサービスであっても、ターゲット選定がしっかりとできていなければ効率よく販売することはできません。自社の強みや特徴を把握しつつ、狙うべき市場を選ぶことが重要です。以下、ターゲティングの具体的なやり方を紹介します。

無差別型マーケティング(例:食料品、日用雑貨)

無差別型マーケティングとは、自社の商品やサービスをあらゆる市場にて販売することです。営業力や販売力のある大企業に向いている手法で、食料品や日用雑貨などを販売するときに実施されます。ひとつの市場に特化せずに販路を広げるため、成功すれば認知度や利益がアップするでしょう。

差別型マーケティング(例:自動車、アパレル製品)

差別型マーケティングとは、いくつかの市場をピックアップし、それぞれのニーズにマッチした商品やサービスを販売する方法です。市場ごとの特徴を把握したうえで最適な料金に設定したり、ユーザーが興味をもちそうなキャンペーンを実施したりします。

集中型マーケティング(例:高級ブランド)

集中型マーケティングとは、特定の市場に対して商品やサービスを提供する手法です。高級ブランドや専門性の高い商品の販売戦略として、頻繁に活用されます。特定の市場に集中できるため、コストを抑えつつ事業を展開できますが、失敗すると売上がまったく伸びないケースもあるため注意が必要です。

【P】ポジショニング

ポジショニングとは、市場における自社の立ち位置を明確にすることです。ライバル企業の有無やマーケティング戦略などを把握したうえで、料金プランやキャンペーン内容で差別化を図ります。ライバル企業が多い市場でも、うまく差別化することで、大きな利益を得るチャンスが生まれるでしょう。

STP分析のやり方を5STEPで解説

ここでは、STP分析のやり方を具体的に解説します。

STEP① STP分析の目的を明確にする

まずは、STP分析を行う目的を明確にしましょう。新しい事業を展開するうえでの売上金額や新規顧客の獲得数など、具体的な数値を設定しておくことが重要です

STEP② セグメンテーション(市場を細分化する)

市場の全体像を把握したうえで細分化しましょう。年齢や性別、住んでいるエリアなど、自社の商品やサービスに合った指標で細分化することが大切です。

STEP③ ターゲティング(狙う市場を決める)

セグメンテーションによって細分化した市場のなかから、狙うべき市場を決めます。自社の商品やサービスに対するニーズがある市場を選びましょう。マーケティング戦略によっては、複数の市場を狙っても問題ありません。

STEP④ ポジショニング(市場における立ち位置を明確にする)

狙う市場における自社の立ち位置を明確にしましょう。ライバル企業の戦略を分析して差別化を図ることで、激しい競争を避けつつ販路を拡大できます。

STEP⑤ 具体的なマーケティング戦略を決定する

狙う市場や立ち位置が明確になったら、具体的なマーケティング戦略を決定します。ユーザーに対してどのようにアプローチするのか、ライバル企業とどのように差別化を図るのか、といったポイントを検討しておきましょう。

STP分析を行うときの4つの注意ポイント

STP分析を行うときは、次のような点に注意しましょう。

1. 多角的な視点で考える

STP分析を行うときは、多角的な視点で考えましょう。ニーズのある市場を見つけたとしても、アプローチが難しかったり、将来性がなかったりすると意味がありません。ひとつの要素に固執せず、さまざまな視点から検証しましょう

2. 順番にこだわりすぎない

セグメンテーション、ターゲティング、ポジショニングの順番に関する絶対的なルールはありません。どの要素から分析を始めても問題ないため、自社の状況に応じて順番を決めましょう。

3. ユーザー目線で考える

常にユーザー目線で考えることも大切です。自社のマーケティング戦略ばかりに注目していると、ユーザーのニーズを無視してしまうケースもあります。STP分析を行っても商品やサービスを利用してもらえなければ意味がないため、ユーザーの存在を忘れないようにしましょう。

4. STP分析以外のフレームワークも活用する

事業を拡大するためには、STP分析以外のフレームワークも活用して、分析内容をブラッシュアップすることが重要です。PEST分析やSWOT分析なども併用して、より効果的なマーケティング戦略を立案しましょう。

下記記事では、PEST分析やSWOT分析などさまざまなフレームワークを解説しているので、ぜひご覧ください

◆関連記事◆

STP分析の活用事例

ここでは、STP分析を活用して事業拡大に成功した企業の事例を紹介します。

1. スターバックスの事例

スターバックスは、居住エリアや職業といった指標に注目してセグメンテーションを行いました。さらに、カフェのニーズがありそうなエリアを選択して出店し、事業を拡大しています。他社との差別化を図るうえでは、「オシャレで高級感のあるカフェ」という立ち位置を明確にしています。

2. ユニクロの事例

ユニクロは、カジュアルなファッションを好む人をターゲットとして、マーケティング戦略を展開しています。「高品質で低価格」という立ち位置を確立することで、他社との差別化を図っている点も大きな特徴です。

まとめ

今回は、STP分析について解説しました。STP分析を活用することで、狙うべき市場や自社の強みが明確になり、効果的なマーケティング戦略を立案できます。ライバル企業との差別化も図れるため、激しい競争を避けつつ販路を拡大できるでしょう。

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