企業が創業のきっかけや自社の歩みをまとめたものを社史と呼びます。社史というと大企業が作るものというイメージがあるかもしれませんが、近年では中小企業などが社史を編纂するケースも増えてきました。周年事業やブランディングといった目的で社史の作成を計画したものの、何から始めたらよいか分からずお困りの担当者もいるかもしれません。
そこでこの記事では、社史を作成する意義や具体的に盛り込みたい内容についてご紹介いたします。また、社史作成の手順も解説しますので、ぜひ参考にしてみてください。
\弊社で社史の制作も可能ですので、お気軽にお問い合わせください/
目次
社史とは何か?社史を作る目的は?

社史とは、会社の創業から現在までの歴史や出来事をまとめた史料のことです。多くの場合、社史の制作には社内の総務担当者や広報担当者、企業の歴史をよく知る従業員などが携わります。企業に深く関わっている当事者が創業からの歴史をしっかりと整理し記録することが、社史編纂の大きな意義です。
企業の経営は先へ先へと進んでいくため、記録を取らなければ企業がどのように歩んできたのかを把握できなくなるおそれがあります。社史を作成しておけば、創業時の思いや企業の歩みを社内外の人に効果的に伝えられるでしょう。
社史と似た意味として、「記念誌」や「周年誌」もあります。
社史の役割、発行するメリット

社史には会社の歴史やビジネスの内容が時系列でまとめられます。また、社史を見れば企業の特徴や独自性を把握することも可能となります。社史を作る大きなメリットは、やはり企業の歩みを半永久的に保存できるという点にあります。自社の歴史に関わる資料や古い写真は管理しなければ散逸してしまうことがあります。所有する資料を社史としてまとめておけば、企業のアイデンティティを保持できるでしょう。
作成した社史を従業員に共有すれば、自社への理解がより深まります。また、社史の公開は社内のエンゲージメント向上やモチベーション向上にも役立ちます。社史を顧客や取引先に対して公開し、イメージアップや企業PRにつなげるのもよい方法です。
社史を通して企業がどのような思いで立ち上げられ、成長のためにどのように努力してきたのかを伝えることで、顧客や取引先との関係性を強めていけるかもしれません。
社史制作の準備や制作方法は

ここからは、社史の具体的な制作方法や準備のポイントをご説明します。
社史制作を担当する部署、担当者
社史を作成するにあたってはまず、誰が編集を担当するのかを決めることが肝心です。まずは、広報担当者や総務担当者など社内の事情に詳しい人員を選んで社史編集のチームを立ち上げましょう。また、勤続年数が長い従業員や昔のことをよく把握している従業員をチームに加えるのもよい方法です。
各部門からバランスよく人員を選べば、社史の内容の偏りを防ぎやすくなります。決裁権のある役員がチームに加われば、社史制作がスムーズに進みやすくなるでしょう。社史制作は社内のメンバーで行われるのが一般的ですが、必要に応じて外部スタッフの手を借りるのもよいかもしれません。デザイナーやライター、フォトグラファーなどに外注すれば、社史作成の効率がアップしやすくなります。
社史が完成するまでの期間
社史の編集チームは、他の業務と兼任しながら制作作業を進めていくのが一般的です。社史制作の期間を短く設定してしまうと、編集チームに大きな負担が掛かってしまうおそれがあります。また、完成を急いだために満足のいく社史が出来上がらない可能性も考えられるので注意が必要です。
クオリティの高い社史を作り上げるためにも、無理のないスケジュールを設定しましょう。多くの企業では、社史の制作期間を1~2年程度に設定しています。周年事業に合わせて社史を公開したい場合なら、逆算して早めに社史制作に取り掛かるのがおすすめです。
手順とポイント
編集チームを発足したら、基本的な内容や方針、スケジュールや予算などを総合的に決めていきます。このタイミングで、社史の作成を依頼する制作会社や印刷会社を選定しておくと、後々スムーズです。
専門の制作会社や印刷会社などに相談すれば、社史のページ構成やデザイン、装丁に関するアドバイスを受けられます。社史の大まかな体裁が把握できれば、完成版のイメージがわきやすくなるでしょう。
体裁を把握したら、資料や掲載記事を収集し、年表を作成しながら時系列に合わせて整理していきます。続いて、必要な取材や執筆を依頼し、原稿を揃えていきましょう。実際の原稿が揃ったら校正を通し、デザインやレイアウトを調整していきます。あとは、制作会社や印刷会社に任せればハイクオリティな社史に仕上げてもらえるでしょう。
社史の制作は研文社で対応可能ですので、下記よりお気軽にお問い合わせください。
社史の内容について

ここからは、社史に掲載したい具体的な記事や原稿についてチェックしていきましょう。
社史の構成
多くの企業ではじっくりと時間をかけて、社史を一冊の本にまとめ上げています。企業の歴史をすべて網羅し膨大な資料をまとめあげた社史を、正史または通史と呼びます。社史を初めて作成するのなら、今後のことも考えて正史の構成を選びましょう。
かつて社史を発行し、その後年月が経過しているという場合には、略史と呼ばれる社史を作ることもあります。略史では既に発行済の社史に記載されていることを割愛するため、まだまとめられていない期間に重点を置いた構成となります。
社史を映像作品にしたり、パンフレットのように簡単にまとめたりする企業もあります。会社の歴史を簡潔にまとめたものや掲載項目を絞ったものは小史と呼ばれます。時間や予算が限られているときには、小史の構成を選ぶのもよいかもしれません。
社史の内容
社史の内容は企業によって異なりますが、表紙やカバーに企業名や企業ロゴなどを記載し、続いて前付にあいさつや謝辞、目次などを掲載するのが一般的です。社史の本文には企業が歩んできた歴史を時系列に紹介します。続いて、創業に関する談話や従業員の座談会など、特集記事を紹介していきましょう。
社史の後付には年表や各種資料、あとがきなどを掲載します。また、奥付として発行年月日や発行者、制作スタッフなどを明記しておくことも重要です。
上記以外に研文社が社史に記載している内容
- 定年退職された方による現役社員には分からない昔話
- 長年お付き合いのある協力会社の方からのメッセージ
- 昔の社屋の写真
内容の見せ方
社史に何を書くかは企業の方針によって異なりますが、自社の歴史や特性を明確にするような内容に仕上げていくとよいでしょう。自社の理念やサービス内容はもちろんのこと、創業者の思いや受け継がれてきたものについても詳しく掘り下げます。さらに、業界の中での立ち位置や、お客様や取引先との関わりについて述べるのもよいでしょう。
企業が長い歴史を歩む中でピンチに陥ることや、都合の悪い出来事に直面することもあるものです。こういった出来事を社史から省いてしまうと、その出来事を知る人達に不信感を与える可能性があります。こういったときには、事実をしっかり記載した上で、どのようにフィードバックしていくかを検討し、前向きにまとめるのがよいでしょう。
社史には企業の過去や現在だけでなく、未来の展望について記載することもできます。企業が今後どのように発展していくのか、新時代をどう歩んでいくのかといった見通しをまとめ、自社のこれからに期待が持てる内容に仕上げていきましょう。
社史の活用法

社史を単に作成しただけで終わらせてしまうのはもったいないことです。せっかくリソースを割いて社史を制作するのなら、社内活性化や広報活動などに活用してみましょう。
社史を活用した社内コミュニケーション
社史は自社の歩みや理念、事業内容などを可視化するための重要なツールです。創業者がどのような思いで会社を立ち上げたのか、いかなる困難を乗り越えてきたのかといった歴史を従業員が知る機会はそれほど多くはないでしょう。また、製品やサービスの変遷、込められた思いなどを深く理解しないまま働いている従業員もいるかもしれません。
会社にまつわるあらゆる情報を可視化させられるのが、社史作成の大きなメリットです。社史を制作し従業員に公開すれば、自社に対する理解が大きく深まるでしょう。従業員参加型の社史作成という方式を取るのもよい方法の一つです。
座談会やアンケートなど企画記事に従業員を巻き込み、ともに社史を作り上げていけば、社内コミュニケーションが活性化しやすくなります。
社史を活用した採用活動と人材育成
社史を公開すれば、自社を志望する応募者が企業イメージを把握する際にも役立ちます。企業の歴史だけでなく、企業文化や方針といったポイントの理解も進みやすくなるので、結果として採用活動の効率がアップします。
新入社員教育など人材育成の場で社史を活用するのも有効な方策です。社史を使って自社の方向性や価値を正しく伝えることで、従業員のエンゲージメントは高まりやすくなるのです。
社史を活用した広報活動とマーケティング
社史は顧客向けの広報活動やマーケティングに役立てられます。企業のチャレンジの歴史や、興味深い資料を豊富に盛り込んだ魅力的な社史を公開すれば、企業のファンを増やせるかもしれません。
最近では、顧客が社史に親しめるよう、漫画仕立ての社史を制作して公開する企業も増えてきました。また、社史を動画としてまとめ、YouTubeなどで公開するといった手法も注目されています。社史を本としてまとめて発行したりデジタルブックとして作成したりと工夫し、イメージアップやブランディング向上につなげていきましょう。
まとめ
社史とは企業の歴史にまつわる資料を一つにまとめた貴重な媒体です。情報量の多い社史を制作すれば、社史は社内外へのブランディングや広報ツール、採用ツールとして活用できます。情報や記事を効率よく集めながら内容の濃い社史を作成し、後世へと残していきましょう。
弊社では、専門のスタッフによる撮影からライティングまでトータルでサポートすることが可能です。
記念誌や周年誌などお考えの方は、お気軽にご相談ください。