時間と手間がかかる校正作業を効率化したい!と考えている担当者や経営者も少なくないでしょう。
そんな中で、“オンライン校正”という手段が広がってきているのはご存じでしょうか。
結論から言うと、校正作業の効率化はオンライン校正を導入することで解決できます。
しかし、
「そもそもオンライン校正ってどんなことができるの?」
「PDFと違いはあるの?」
「オンライン校正サービスを検討したいがポイントを知りたい」
など思う方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そこで本記事では、実際にオンライン校正サービスを提供している弊社が、近年広がりを見せているオンライン校正の概要やメリット・デメリット、PDFとの違いはもちろん、オンライン校正サービスを選ぶ際のポイントもじっくり解説します。
目次
そもそも校正とは?
校正とは、お客様から支給いただいた原稿とそれを元に作成したデータとの確認や、原稿に書かれている文言をチェックし、「誤字・脱字や文法の誤りを訂正したり、内容が正しいか精査したりすること」を言います。
具体的に説明すると、間違った漢字や送り仮名が使われていないか、日本語の文法として正しい言葉遣いがされているのか、原稿がレギュレーション(規定・指示)に沿って執筆されているか、さらには記載した数値やデータに誤りはないかなどを確認します。
校正に似ている言葉に「校閲」がありますが、校閲の主な作業は、書かれている内容の事実確認です。書かれている内容そのものが正しいのかをチェックし、根拠の有無や無許可で引用していないかなどといった点を見ていきます。
書いたものをそのまま世に出すのではなく、第三者の目を通して校正・校閲を行い、より良い文章にすることで読み手に伝わりやすく、わかりやすい原稿となります。さらに、間違った情報を相手に与えてしまうといった誤情報の発信や不適切な表現によってトラブルを生んでしまうといったリスクも回避できます。
オンライン(デジタル)校正とは?
オンライン(デジタル)校正とはその名の通り、従来の校正作業をオンラインで行うことです。
校正と聞くと、紙の原稿に赤ペンで印をつけていくといったアナログな作業を思い浮かべる方も多いかもしれません。しかし現在は校正作業そのものをオンライン(デジタル)で行う機会が増えています。
具体的には、紙(デジタルの場合だとPDF等)でやり取りしていた原稿をオンライン上に置き、ブラウザや専用のサーバー等から原稿にアクセスして校正を行います。インターネットに接続できる環境と端末があれば、場所を選ばず校正作業に取り組め、リアルタイムで進捗の確認もできます。
オンライン校正がより注目されるようになった理由のひとつに、新型コロナウイルス感染症の拡大があげられます。感染リスクを避けるため、多くの企業がリモートワークを導入した中、校正作業も遠隔で行える環境を整えていったのです。
オンライン校正とPDFの違いは2つ
「オンライン校正と、PDFを使った校正は何が違うのか?」といった疑問を持った方もいるでしょう。
PDFによる校正は、PDF化した原稿データを用いて行う校正で、メールなどで原稿を受け取った後にパソコン上で校正を行い、校正したPDFをまた送信するといった手順で行います。
厳密に言うと、PDF校正の作業自体はオンライン上で進めるわけではないため、進捗の共有などができません。加えて、有料プランでないと多様な校正機能が使えない点に注意が必要です。
このほか、大きく異なる2つのポイントについてまとめました。
違い①:アプリが不要
オンライン校正が広がりを見せる前は、PDFによる校正が主流でした。ただPDFで校正するには、PDFの閲覧や編集ができる専用ソフトやアプリが必要となり、クライアントと制作側の双方がPC環境を整えなくてはなりません。
一方、オンライン校正は専用ソフトやアプリのインストールが不要です。クラウドで提供されているサービスが多いため、手軽に導入できます。
違い②:差分比較が1ページで見られる
差分比較は校正において重要な機能のひとつであり、校正の前後で原稿がどのように変わったのかを比較できます。基本的に、オンライン校正ではひとつのページに校正前と校正後の原稿を表示できる機能があることが多く、効率よく変化をチェックできます。
PDFでも差分比較は行えますが、閲覧や注釈の追加などが無料で行えても、差分比較を見るのは有料といったケースが少なくありません。
オンライン校正5つのメリット
オンライン校正を活用すれば、さまざまなメリットが得られます。主な5つのメリットについてピックアップします。
メリット①:場所や時間を選ばず校正作業ができる
通常の校正だと、クライアントなどから文章の誤りや修正依頼を受けても外出先では対応できず、拠点へ戻ってから対応するといったタイムラグが生じてしまうこともあります。
一方、オンライン校正ならインターネット環境と端末があればオンライン上で校正が可能なため、外出先やフレックスタイムのような働き方などでも場所や時間にとらわれることなく校正作業が行えます。
このように、オンライン校正は通常の校正に比べてタイムラグを最小限に即時対応できます。
メリット②:回覧や連絡、郵送の手間が省ける
校正時に発生する、回覧や連絡、転送などの手間を省けるのもメリットです。
紙の原稿を用いる校正では、他の担当者やクライアント、印刷会社などへの回覧、連絡などの手間が発生します。PDF校正なら紙の原稿を用いるときほど手間はかかりませんが、複数での原稿チェックすることが難しく、他の担当者に見せるときはPDFデータをメールに添付して送信する必要があります。
一方、オンライン校正ならオンライン上で原稿データを複数人で確認できるため、回覧や連絡、郵送などの手間を削減でき、効率化が図ることができます。
メリット③:修正指示がリアルタイムでチェックできる
紙の原稿を用いた校正では、原稿を見るまで修正箇所や内容などはわかりません。特に郵送の場合だとさらに日数を要し、届いてから慌てて作業を開始するといったことも起こり得ます。
オンライン校正であれば、ブラウザ上でいつでも修正指示をチェックできます。指示の内容がリアルタイムに反映されるため、すぐ指摘された箇所の修正を行えます。
メリット④:社内外問わず複数人同時進行での校正が可能になる
校正作業は複数の担当者で行うケースも多く、紙の原稿やPDFの場合は、一人が作業してから次の担当者に渡す形となるため、その分時間がかかります。
オンライン校正だと、複数人で同時に校正作業を行えるため、複数の担当者で同時に作業を進められ、またクライアントにもリアルタイムでチェックしてもらえます。社内外問わず複数人で取り組めるため、業務効率が高まります。
メリット⑤:履歴が自動的に管理されて修正ミス・漏れ防止になる
紙を用いた校正は、人の目によって修正ミスや漏れがないか逐一確認しなければならないため、どうしても工数が多くなりがちです。
一方、オンライン校正では、作業履歴を自動的に管理する機能が実装されていることが多いため、「誰が・いつ・どこを修正したのか・どのように手を加えたのか」をチェックでき、修正ミスや漏れを防止できます。
上記のメリットを評価いただき、オンライン校正を採用いただいたお客様の事例は下記をご参照ください。
オンライン校正2つのデメリット
オンライン校正は、デメリットも存在します。ここでは2つのデメリットについて紹介するので、従来の校正との相違点を押さえておいきましょう。
デメリット①:インターネットがつながる環境下でしか作業ができない
先述の通りオンライン校正はインターネットを利用したサービスです。そのため、インターネットに接続できない環境下ではサービスにログインできず、校正作業が行えません。
外出先でもネット接続さえできれば利用できますが、場所によっては通信が不安定になるケースがあるため注意が必要です。例えば、地下や車や電車の中、土地の起伏が激しい場所、高層階などがあげられます。そのため、常に安定したインターネット環境が確保できるように整えておく必要があります。
デメリット②:操作に慣れるまでの時間が必要
オンライン校正は、従来の紙原稿やPDFを用いた校正と作業の仕方が異なるため、操作に慣れるまでの時間が必要となるケースがあります。
どのようなサービスやツールにも言えることですが、オンライン校正サービスに実装されている機能をうまく使いこなす必要があるため、導入する際は機能や操作方法をきちんと覚える時間が必要です。継続的に作業をしていれば慣れると考えられますが、コンピュータリテラシーが低いとなかなか慣れない可能性があります。
滞りなくオンライン校正を行うためにも、使い方をきちんと理解し作業の仕方をどのように周知していくかについても考えておくとよいでしょう。
場合によっては、サービスやツールを提供している企業から使い方の説明を受けることも検討してみましょう。
オンライン校正サービスを選ぶ際の3つのポイント
現在、さまざまなオンライン校正サービスが登場しています。優れた機能をいくつも実装したサービスもあれば、使いやすさに重点を置いたものもあります。
操作性やセキュリティ、対応デバイスなど、自社に適したサービスを選ぶ際に参考にしていただける3つのポイントをご紹介します。
ポイント①:わかりやすいUIか
サービスが”誰もが使えるUI(ユーザーインターフェイス)であるか”は非常に重要なポイントです。
例えば、画面のデザインが見づらい、機能の使い勝手が悪いといったサービスでは、担当者が使いこなせず校正作業が滞ってしまいます。またオンライン校正サービスを利用するのは、校正の担当者だけではありません。社外の関係者が利用するケースも多いため、UIを意識した選定が重要です。
そのため、オンライン校正サービスを選ぶ際には、わかりやすさや使いやすさを重視して選びましょう。サービスによっては、導入前にトライアル利用ができるため、事前に見やすさや操作性をチェックしておくこともオススメです。
ポイント②:セキュリティ面は問題ないか
セキュリティに脆弱性があるサービスでは安心して利用できません。オンライン校正はオンラインを用いたサービスゆえに、サイバー攻撃のターゲットとなり、データが外部に流出してしまうといった最悪のケースもあり得ないことではありません。オンライン校正で言うと、編集中の校正データが流出することは情報漏えいにつながり、自社の評判を下げてしまうことにほかなりません。
このようなセキュリティ面のリスクを回避すべく、堅牢なセキュリティ環境を構築しているサービスを選びましょう。具体的には、通信の暗号化やアクセス制限を採用しているサービスが安心です。アクセス制限ができないサービスでは、関係者以外の第三者による情報漏えいのリスクが高まってしまう恐れがあるため、担当者によって「ファイルの閲覧は認めるものの、操作はできないようにする」など細かく制限できるサービスがよいでしょう。
ポイント③:PC以外のデバイスにも対応しているか
PC以外のデバイスに対応していれば、よりオンライン校正による恩恵を受けられます。
例えば、オフィスや担当者の自宅ではPCを、外出先ではタブレット端末をといった使い分けが可能となり、先述のタイムラグを最小限にしたり、業務効率化にもなります。
外出先でも校正作業を行えることがオンライン校正の魅力ですが、PCのみ対応しているオンライン校正サービスを選んでしまうと、外出の都度PCを持ち歩く必要があり物理的な負担が増えます。そのため、サービス選定時にはPC以外にタブレット端末など複数のデバイスに対応しているかどうかを確認しましょう。
基本的にオンライン校正サービスの公式Webサイトでは、対応端末やOSなどを公開しています。「導入したもののPCでしか利用できない」とならないよう、あらかじめ確認しておくとよいでしょう。
まとめ
オンライン校正は、インターネット環境があれば時間や場所に制限なく作業を進められ、複数人で同時に校正内容の確認や編集ができます。
通常の校正作業は多くの工数も発生するため、オンライン校正による校正作業の効率化は企業全体の業務効率化に大きく寄与するでしょう。
現在校正作業に負担を抱えている方や、働き方改革に取り組もうとしている方は、この機会にオンライン校正サービスの導入を検討してみてはいかがでしょうか。
メールマガジンで「印刷」や「デザイン」に関するお役立ち情報を定期的にお届けしています!
▼メルマガ無料購読はこちらから!