リテンションマーケティングとは?メリットやポイントを解説

リテンションマーケティングとは?メリットやポイントを解説
2023年12月6日
マーケティング

近年、企業が顧客との関係性を良好に保つため、既存顧客とのつながりを深めるマーケティング手法に注目が集まっています。そのうちのひとつであるリテンションマーケティングは、安定的な企業の発展を目指せる手法です。本記事では、リテンションマーケティングのメリットや活用する上でのポイントなどを解説します。

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リテンションマーケティングとは?

そもそもマーケティングには、新規顧客の開拓と既存顧客との関係維持という、2種類の手法があります。このうち、既存顧客と継続的な関係を保つためのマーケティング手法をリテンションマーケティングといいます。「リテンション(Retention)」とは、日本語で「保持」「維持」を意味する単語であることから、リテンションマーケティングは、一度きりの購入ではなく、リピートもしくは定期的な購入を促し、安定した売上につなげるための施策を指します。

リテンションマーケティングの一例として、店舗などで利用できるクーポンやポイント制度、CRM(顧客関係管理)を活用したアプローチなどが挙げられます。例えば、実店舗での商品購入時に、次回利用できるクーポンを渡すことで、既存顧客に再度購入を促すことが可能です。また、近年ではCRMを導入し、顧客の属性や購入履歴を基にして、SNSやメールマガジンなどでアプローチすることが一般的になっています。

リテンションマーケティングが重視される背景とは?

リテンションマーケティングが重視されるようになった背景には、新規顧客の獲得が難しくなったことや、SNSの浸透などがあると考えられます。

市場が飽和状態になり、競合他社も増えてくると、商品やサービスの差別化が難しくなっていきます。この結果、価格競争によって収益が減っていき、新規顧客の獲得に必要なコストが捻出できなくなってしまいます。マーケティングにおける法則のひとつに「1対5の法則」と言われる法則があります。既存顧客を維持するコストに比べ、新規顧客の獲得には5倍の費用がかかるとされる法則です。売上を効率良く伸ばすために、費用対効果を重視した施策が重要となるでしょう。

特に、近年ではサブスクリプション型のサービスが増えており、顧客の継続利用によりビジネスが成り立つケースも少なくありません。そのためには、リテンションマーケティングによる顧客維持が必要不可欠です。

また、SNSの存在もリテンションマーケティングが注目されるようになった大きな要因です。近年では、SNSの浸透により、顧客が商品について積極的に情報発信をするようになりました。企業の公式アカウントをフォローすることで、顧客目線で見た商品情報がポジティブに広がる可能性も高まります。コメントなどを通じて、企業と顧客が直接やり取りすれば、顧客は特別感を得られるでしょう。

リテンションマーケティングのメリット

リテンションマーケティングの導入により、さまざまなメリットが得られます。既存顧客のリピート促進や休眠顧客の掘り起こしなど、リテンションマーケティングの効果を理解し、実際の施策に落とし込みましょう。

メリット①:既存顧客のリピート促進

「LTV(Life Time Value)」と呼ばれる指標があります。これは日本語で「顧客生涯価値」と訳され、製品の購入やサービスの利用などによって、顧客が生涯にわたって企業へもたらす利益を指します。LTVを算出する計算式は複数ありますが、簡単かつコストを考慮した計算式は以下の通りです。

LTV=ARPU(平均顧客単価)×収益率×購買頻度×継続期間-(新規顧客獲得コスト+既存顧客維持コスト)

LTVは、顧客を獲得・維持するコストが大きければ大きいほど、得られる利益は下がってしまいます。前述の通り、既存顧客の維持コストは、新規顧客の獲得コストに比べて大幅に抑えられるという特徴があります。そのため、LTVを最大化するとなれば、既存顧客を維持できるリテンションマーケティングは有効です。

また、ARPUや購買頻度を高める手法として、関連商品の合わせ買いやリピート購入の促進を実施することで、LTVの向上が可能となります。ECサイトにおいて、「この商品と類似した商品」や「この商品を買っている人は、こちらの商品も見ています」などと表示されるケースが増えていますが、これもリテンションマーケティング手法のひとつです。

リピート購入の促進が、LTV向上につながるのは「パレートの法則」によっても明確にされています。パレートの法則とは、顧客全体のおよそ2割が、8割の売上に貢献しているという法則です。継続して製品を購入してくれたり、サービスを利用してくれたりする顧客は、リテンションマーケティングがあってこその存在です。

メリット②:休眠顧客の掘り起こし

リテンションマーケティングでアプローチする既存顧客には、休眠顧客も含まれます。休眠顧客とは、1度でも製品の購入やサービスを利用した履歴があるものの、一定期間利用がない顧客を指します。

顧客に再度利用してもらうには、まず利用を中断した原因を探ることが重要です。原因が解決できれば、利用意欲を高められるためです。商品の使い方が分かりにくかった、問い合わせの対応に納得がいかなかったなど、原因は顧客それぞれで異なるため、購入データを基にしてアプローチしましょう。そのうえで、解決策を検討し、顧客がまた利用したいと思える環境づくりを行います。

商品の使い方が分からない場合は、サポート体制を充実させたり、動画による解説を付けくわえたりすると効果が見込めます。対応に不備があったのであれば、企業全体で顧客応対に関するスキルを高める取り組みが必要です。併せて、キャンペーンや購入特典などがあれば、定期的に案内することも重要です。

メリット③:ロイヤリティ向上による新規顧客の獲得

リテンションマーケティングは、既存顧客が企業に対して抱くロイヤリティ(忠誠心)を高めます。つまり、企業のファンとなる顧客を増やす効果が見込めます。

ロイヤリティを高めるには、サービスの利便性を高めたり、購入後のサポート体制を充実させたりする方法が効果的です。こういった施策の結果、既存顧客が新規顧客へサービス内容を勧めるといった効果も見られるようになります。

分かりやすい例が、ECサイトなどで見られる口コミやレビューです。実際に購入した人が、使い心地や企業の対応などを口コミとして発信することで、初めて購入する人の判断材料になります。評価の高い口コミやレビューであれば、良い印象をもたらすのは間違いありません。

事業の発展には、既存顧客の維持だけでなく新規顧客の獲得も欠かせません。双方のバランスを保ちながら、リテンションマーケティングを展開する取り組みが求められます。

リテンションマーケティングを活用する上でのポイント

リテンションマーケティングを効率良く活用し、既存顧客との良好な関係性を保つには、どのようなポイントを押さえれば良いのでしょうか。重要なポイントとしては、以下の5つがあげられます。

ポイント①:顧客データを分析し、顧客への理解を深める

マーケティング全般に言えることですが、リテンションマーケティングにおいても、顧客のデータ分析はとても重要なプロセスです。

分析する際のポイントは、既存顧客を属性ごとに分類するということです。年齢・性別・居住地・興味・家族構成などに加え、「RFM分析」と呼ばれる手法も取り入れましょう。これは、下記の3つから分析する方法です。

  • 「Recency(直近の購入日)」
  • 「Frequency(購入頻度)」
  • 「Monetary(累計購入金額)」

RFM分析によって、顧客を新規顧客・優良顧客・休眠顧客・安定顧客・離反顧客などに分類でき、各セグメントに合ったマーケティング施策を立てられます。

ポイント②:セグメントに合わせたアプローチと効果測定

顧客を分類したら、セグメントごとの最適なアプローチを検討しましょう。例えば、休眠顧客に対しては、興味を持ってもらうために目玉商品やセールの開催をお知らせしたり、過去のDMで開封率が高かった内容を再度案内したりすると良いでしょう。冒頭でも紹介しましたが、優良顧客には優良顧客限定のクーポンを配布、新規顧客にはサービス内容をアピールできるような案内をすると、効果が見込めます。

これらのアプローチを的確に行うには、高い分析力が必要です。仕組み化により、手間や時間の削減につながるMA(マーケティングオートメーション)の導入も検討すると良いでしょう。

アプローチを実施した後には、どのような効果が得られたのかを知るために、測定を行うことも重要です。効果測定により出されたデータで、施策の結果や現状の課題が可視化できます。

ポイント③:検証結果を次の施策にいかす

企業にとって、効果測定の検証結果は、顧客の動向や要望などを把握するための大切な財産です。課題をできるだけ早く改善しながら、次のリテンションマーケティング施策につなげることが大切です。

施策をブラッシュアップしていくためには、「PDCA」を意識すると良いでしょう。「Plan(計画)」→「Do(実行)」→「Check(評価)」→「Action(改善)」のサイクルを繰り返し、見えてきた課題の改善策を次の施策にいかすことで、より効果的なリテンションマーケティングが可能になります。

ポイント④:CRM(顧客管理システム)を導入する

顧客との関係を維持するには、CRM(顧客管理システム)の導入が効果的です。CRMとは、顧客の基本情報や購入履歴などを一元管理できるITツールです。

CRMの利用により、顧客情報が適切に管理・分析でき、顧客のニーズを正しく把握できるようになる他、営業やカスタマーサービスなどの他部署とも連携しやすくなります。その結果、個々の顧客に応じた細かい提案をすることが可能になります。

また、全てのデータを人の手で処理しようとすると、多くの時間や人員が必要となるだけでなく、人的ミスを引き起こすリスクも考えられます。CRMを導入すれば、業務を効率化・省人化でき、売上の向上につながるでしょう。

ポイント⑤:顧客とのコミュニケーションを継続させる

リテンションマーケティングで既存顧客とつながるには、継続的なコミュニケーションが不可欠です。特に市場が飽和状態となっている分野では、数多くのサービスから自社を継続して選択してもらえるよう、常に顧客へアプローチすることが鍵となります。

具体的な手法としては、ダイレクトメールやリマインドメールなどを活用したり、SNSや広告など顧客の目に入りやすい方法でアピールしたりすることがあげられます。

まとめ

リテンションマーケティングは、既存顧客と良好な関係を築くことで、企業の売上向上を目指す施策です。新規顧客を獲得したり、休眠顧客を掘り起こしたりするのにも大いに役立つでしょう。まずは、データの分析を行い、顧客について十分理解した上でアプローチしてみてはいかがですか。

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